先日、西東京市(エコプラザ西東京)が主催する講演会を聴講してきた。
「知られざる環境変化-都市河川の温暖化-というタイトルで、東京工業大学 環境・社会理工学院 木内教授のお話しを聴かせて頂いた。
温暖化の問題は、気温の事がよく取り上げられるが、都市河川の温暖化という現象が発生しているとは知らなかった。
河川の温暖化のスピード
地球の平均気温は、100年で0.72℃上昇しているそうだが、都市河川の温暖化のスピードは、それ以上だという。多摩川の過去20年間の水温変化でみると3℃以上上昇している地点があるのだ。
原因
で、その原因が下水処理水だという。
下水処理水が河川へ放流されているのだが、その下水処理水の温度が過去に比べて上昇しているからだという。
これは生活様式の変化のためで、お風呂や厨房で使用された、暖かい排水が下水へながれていることに起因している。
蛇口をひねったときの水温も、ヒートアイランド現象によって、以前より上昇しているが、それを差し引いても、風呂や厨房からの排水に起因する部分が大きいのだ。
夏場は、河川水より処理水の温度が平均的に低いので、影響はあまりないが、冬場は、処理水の温度が河川水より高いので、河川水の水温を上げているのだ。
そういえば、同じようなことを聞いた事がある。東久留米市に黒目川という湧水の小川がある。川沿いの清涼飲料水工場からの処理水が黒目川に放流されているが、そのせいで冬場でも水温が比較的高く、魚がよく確認できるそうだ。
影響
河川の温暖化がこのまま続いた場合、河川の生態系への影響が懸念されている。個々の魚が繁殖や生息に最適な水温があるが、高水温が苦手な生き物にとっては好ましい状況でない。
すぐ直接的な影響がでる現象ではないそうだが、影響については注意を払う必要がありそうだ。
簡単にできる対策
最近流行りの「冷めにくいお風呂」は次の日でも暖かいというのが売りであるが、暖かいお湯をそのまま下水へ流すと、河川の温暖化に手を貸すことになるので、注意をされたいところだ。排水する前に、風呂蓋を外し、水温を少しでも下げてから排水を心がけたいところである。
また、厨房では必要以上に暖かいお湯を使わないという心がけも良いだろう。
下水処理水のエネルギー利用という点では、ヒートポンプ技術を使ったシステムが実用化されているということだが、広がりはこれからのようだ。今後の下水処理水エネルギーの利用拡大に期待したい。
ちなみに自宅の風呂はすぐ冷めるタイプである。よしよし!