「環境保全」タグアーカイブ

三宝寺池のヘドロを再利用してみる(その1)

こんばんは。

先日、東京都練馬区の石神井公園内にある三宝寺池へ行って来ました。石神井川の水源になっている池です。

井の頭公園の井の頭池、善福寺公園の善福寺池と並び、かつて武蔵野三大湧水池と呼ばれていました。

しかし今は湧水は減少してしまい、深井戸から電動ポンプで地下水を汲み上げて池の水を維持しているんだそうです。

IMG_6329

三宝寺池には昭和40年前後まで多様な生き物がいたそうです。
(参照1)

ムサシトミヨ、タナゴ、ヤリタナゴ、ゼニタナゴ、オイカワ、キンブナ、ナマズ、ウナギ、メダカ、ムギツク★、タモロコ★
★:国内外来種

2012年の石神井公園再生フォーラムさんの調査によると、以下の魚類が確認され、外来種がたくさんいることが分かります。
(参照2)

モツゴ、コイ★、ギンブナ、ゲンゴロウブナ★、ウナギ、タウナギ★、トウヨシノボリ、カムルチー☆、オオクチバス☆、ブルーギル☆
★:国内外来種、☆国外外来種

さて、そんな三宝寺池に来た理由は、池底に溜まっているヘドロがとっても良い肥料になるんではないかと思い、ヘドロを採取しにきた訳でありす。

IMG_6324

ここは汲み上げた地下水が池に流入する付近です。

IMG_6325

さすがに水は濁っておらずクリアでした。

IMG_6326 IMG_6327

で、池底を救う前に、このあたりの池の中を覗くと、なんと二枚貝の貝殻を発見(約12cm)。

正確に同定ができませんが、カワシンジュガイのようにも見えます。

意図的に誰かが移入した可能性もありますが、生きた個体が池に生息しているのか気になるところです。

IMG_6328

話は戻りまして、早速ヘドロを採取しました。やっぱり臭います。いわゆるドブの臭いです(笑)

脱線ばかりで長くなってしまったので、次回に続きますね。

参照1:有識者による千鳥ヶ淵の水域生態系再生への助言と都内淡水域の生物分布変遷について
http://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/topics/data/110311_5.pdf

参照2:石神井公園再生フォーラム
http://shakujii-koen-iinkai.blogspot.jp/2013/09/blog-post_23.html

東京に小川を!(その2)

こんばんは。

前回は、古老による白子川の昔の様子を少しご紹介させて頂きました。

前回書き足らなかった分も合わせて白子川の昔の様子を再度整理してみます。

  • 水草が良く茂っていた。
  • マコモやヨシがたくさん生えていた。
  • フナ、メダカ、ドジョウ、砂もぐり、タナゴ(ミヤコタナゴ含む)、エビもずいぶんいた。
  • ヤツメウナギ、ゲバチ、カワニナ、タニシ、イモリなんかもいた。
  • かいぼりでウナギやナマズも捕れた。

ほんとたくさんの生き物がいたことがうかがい知れます。

白子川がこんな小川に再生されたらどうでしょう?

ワクワクわくしてきます^^

私なら毎週末遊びに出かけたいです。

さて、再生に向けてはどういった手法で取り組むのが良いのでしょうか?

ボランティア活動したい人をたくさん集める。

それもきっと良いでしょう。

でも、やっぱり経済活動に結びつけて、再生活動ができたら一番良いでしょう。

例えば、以前自生していたマコモは、水質浄化作用があることが知られています。霞ヶ浦や琵琶湖などでマコモを使用した水質浄化事業が行われているそうです。

また、マコモの茎が肥大化してできるマコモダケは中華料理の高級食材として扱われるそうです。

葉はお茶にすると血液の浄化と細胞の活性化になるとか。

小川にマコモを植えて、水質浄化を図りつつ、マコモダケを収穫しておいしく頂いてしまう。

そして、マコモのまわりは水生生物が集まる場所になり、生物多様性が増す方向にもなる。

楽しみながら小川再生ができるんではないかと思ってきませんか?

IMG_3326

参考:
「白子川を知っていますか-水辺再生に向けて-」白子川汚濁対策協議会
菰野の真菰(http://www.komono.org/makomo/useful.html)

東京に小川を!(その1)

こんばんは。

かねてから気になっていた本を図書館で見つけることができました。

IMG_6080

「白子川を知っていますか-水辺再生に向けて-」白子川汚濁対策協議会によって平成6年に発行されています。

この本から、水循環のこと、水害との戦いの歴史、水質汚濁がひどかった苦難の時代からの脱出の歴史が学べます。

お勧めの1冊ですね。

特に私が興味を持ったのは、昔の白子川の様子です。

小川がきれいだったと言われる昭和30代のようすを知るには、古老のが語りはとっても貴重です。

その古老の語りの一部を紹介させてください。

『水はきれいで、流れはゆるやかでした。魚も、えらくいました。フナ、メダカ、ドジョウ、砂もぐり、タナゴ、エビもずいぶんいました。ドジョウはずいぶん捕りました。6月ごろ、夜真っ暗な中をカンテラをつけて、えさをつけた流し針で、ナマズやウナギも捕りました。マコモやヨシもずいぶん生えていました。(中略)子どもたちは、いぬかきをして泳いだり川遊びをよくしていました。』

※砂もぐり=カマツカのことと思われる
※カンテラ=携帯用の石油灯

『白子川の西武池袋線の鉄橋の南側ではよく魚とりをして遊んだものです。ここは水の中に草が茂っていたので、ビンドウを仕掛けるのに適していました。(中略)この中に糠(ぬか)の炒ったものや残りごはんを入れて、流されないようにヨシの茎などに紐をつないで夕方仕掛けておきます。翌朝行くと、ドジョウ、フナ、ミヤコタナゴなどが入っていました。』

水草が良く茂り、魚や二枚貝がたくさんいて、子どもが泳いで遊べるくらい水がきれいだったことが伺えます。

IMG_6081

現在の都市地域にこんな場所があるでしょうか?

ほとんど見かけないですよね。

こういう場所で、子どもが遊べば、子どもは、自然からたくさんのことを自ら学びます。川のどこが危ないとかも学びます。

そして、毎日残業でがんばっている大人は、日々のストレスをここで忘れることができます。また明日がんばろうという気持ちが持てるようになります。

さらに親子で一緒に遊ぶことで、親子の絆も深まります。

小川で遊べば、現代社会の問題が解決できてしまうのです。

都市地域には、今こそ、こういったあそべる小川が必要なのです。

最近は、これまでの垂直のコンクリート護岸から、緩やかな傾斜で水辺にに近づけるような場所も少しづつ目にするようになってきましたが、まだまだごくわずかです。

今以上にあそべる小川が増えていくように、活動していくことが求められます。

『東京に小川を!』

昔のような小川が、もし復活したら、遊びたくないですか?

里山の雑木林の利用は滑川町のミヤコタナゴを救う(その2)

こんばんは。

昨日のつづきです。

ミヤコタナゴがため池の自然環境に根付くようになるにはどうしたらよいでしょうか?

まず、産卵母貝であるマツカサガイなどの二枚貝が育ちやすい環境が保たれることが必要です。

沼の周辺の雑木林から落ち葉が沼に入り、底に溜まると最終的にヘドロになります。ヘドロがたまると二枚貝は窒息状態になり生きられません。なので落ち葉が沼に入らないようにすることが重要です。

IMG_5961

昔の人は里山の雑木林をよく管理していたとよく言われています。枝や落ち葉を拾って、燃料や堆肥にしていたのです。なので里山の雑木林はきれいだったそうです。そのおかげで、沼に枝や落ち葉が入りにくかったようです。

また、年に1回沼の水を抜いて沼干しをしていたため、ヘドロも定期的に排出され二枚貝が生息しやすい環境が保たれていたそうです。

しかし、現在は生活様式が変化してしまったので、枝や落ち葉を拾うこともなく、沼干しも行われなくなりました。ヘドロが溜まり、二枚貝にとっては生息しにくい環境になっているのです。

 

つまり、二枚貝が育ちやすい環境を作るには、昔のように沼を管理することがとっても重要なんですね。人の経済活動に結びついて雑木林の枝や落ち葉が利用されることが今とっても求められます。

対策が分かっていても簡単には上手くいかないんですね。そういった管理をしてくれる人が集まらないのが現状の問題のようです。

とは言え、里山の雑木林の上手な利用で経済活動にうまく結びき、結果的にミヤコタナゴが自然環境に根付くという将来は必ず来ると思います。

滑川町が本当の意味でミヤコタナゴの住む町になるように応援したいと思います。

IMG_5952

里山の雑木林の利用は滑川町のミヤコタナゴを救う(その1)

こんばんは。

日曜日は久しぶりに小川調査に出かけました。

IMG_5902

まず訪れたのは、埼玉県比企郡滑川町(ひきぐんなめがわまち)にある「滑川町エコミュージアムセンター」です。

IMG_5943

ここでは、国指定天然記念物ミヤコタナゴ(日本固有の淡水魚)を見ることができます。

関東地方に生息するミヤコタナゴは以前はどこにでも見られた魚だったのですが1960年ごろを境に急激に姿を消し、絶滅危惧種に指定されています。現在は千葉や栃木でわずかに生息するのみです。

埼玉県でも絶滅したと考えられていたのですが、1985年に滑川町のため池で偶然発見されて、さいたま水族館で人工繁殖が行われます。その後、1992年に水族館から譲り受けられてエコミュージアムセンターで飼育されています。

IMG_5963

2002年には町内のため池に稚魚200匹を試験放流したそうです。

同施設の担当の方にその後の経過について伺いました。

何回か生息の調査をしたそうですが、うまく自然環境に根付いていないかもしれないとのことでした。

自然を回復するということは簡単でないということを改めて感じさせられます。

では、自然環境に根付くようになるにはどうしたらよいでしょうか?

つづきは、次回のコラムに書きますね。

あなたにとって良い川って、どんなイメージですか?

こんばんは。

最近の寒さですこし喉の調子が悪くなってきました。皆さんはお風邪などひかれていないでしょうか?

本日は、とある川沿いを歩いているときに作業をされていた男性のお話をします。

その方は、川沿いを歩きながら、先端にかぎ爪が付いた棒を使用して何やら川底から緑色のものを採っていました。声をかけてその緑色のものをみせてもらうと、アオミドロ(緑色をした糸状の藻類)のようでした。

「川が汚れているからアオミドロがすぐ増えてしまうんだよね~」とのことでした。汚れているとは、窒素やリンなどの栄養塩が多い状態(つまり富栄養化した状態)を指していると思いますが、確かに、富栄養化状態では、アオミドロが増えやすい状態ではあります。

さらにその方は、アオミドロ以外にも川底に生える水草も除去していました。水草は、その川に広く生えているナガエミクリのようです。「えっ」と思いながら理由を聞くと、「これ(水草)が増えちゃうと川の流れを悪くしちゃうんだよね~」と。

環境省のレッドリストによるとナガエミクリは準絶滅危惧種にランクされています。

川を良くするという思いでは皆さん一緒だと思うのですが、人によって良い川のイメージが異なるのだな~と考えさせられました。

恐らく、その方のイメージは、川底に水草もアオミドロもない、清流を目指しているのかもしれません。

私の良い川のイメージは、水草も川の構成要素の1つと考えます。水草が、水中の栄養塩を吸収して、水を浄化する働きがあるからです。なので、水草をむやみに除去する必要はないと思いますね。水草を増やせば逆にアオミドロの増加は抑えられるのではと思います。

流れを悪くするといっても、水草を完全除去しなくても、ある程度の流れは確保できると思うのですが。

あなたにとって良い川って、どんなイメージですか?

湧水豊かだった頃の井の頭池への取り組み

IMG_3857こんばんは。

今回は、井の頭池復活への取り組みから学びたいと思います。

井の頭池では、2017年までに、池底が透き通って見えるようにすることを目標に、具体的な取り組みが行われています。その一つに、池の湧水を増やす取り組みがあります。

池の湧き水を増やすには、地下水涵養重要です。

地下水涵養とは、雨や川の水などが地下に浸透して地下水になること指します。
地下水涵養
雨水が地面に浸透する量は、昔に比べて減少しているそうです。理由は、都市化により、地表が舗装され雨水が地面に浸透しづらくなったことや、浸透能力が高い森林が減少したことが挙げられます。

つまり湧き水を増やすためには、地下水を増やすことが必要。そして、地下水を増やすには、雨水を地下にたくさん浸透させることが重要なんですね。

舗装するにしても雨水が浸透しやすい舗装技術(透水性舗装)をもっと活用することや、森林を増やすことが必要ですが、ご家庭でできることとしては、住宅への雨水浸透桝の設置などもあります。

三鷹市、武蔵野市では、雨水浸透桝を各家庭へ普及するために助成制度を設けているようです。

地下水の涵養は、小川を増やすことにもつながりますので、一人でも多くの人が地下水の涵養に興味をもってもらえれば嬉しいですね♪