先日、養父志乃夫(やぶしのぶ) さんの著書『里山里海』を読んだ。
里山の暮らしでは、資源の循環がとても効率的に行われてきたというのがとっても良くわかる本だった。
その1つに水の効率的な利用の事が書かれていた。使い回し術がほんとうに凄すぎて感心する。
本書の一節を要約すると以下になる。
- 沢からの水を上・中・下の3段の水槽へ導く。
- 上段水槽では沢水から塵を池底に沈殿させて、うわ水を飲料水とする。
- 余水は、中段水槽へ落ち、ここで食器や鍋釜を洗う。
- 余水は、下段水槽へ落ち、この水が洗濯に利用される。
- この余水と母屋からの排水(風呂水など)が一緒になり池に集まり、含まれる飯粒や野菜屑などの有機物がコイのえさになる。
- この池から出る余水は下方の水田に落とされ、イネに養分を吸収させて、浄化された(有機物がより除去された)残り水が里川(小川)へ流れる。
このように、水質浄化の機能を兼ね備えていたため、小川は清い水を保つ事ができていたのだ。
食器洗いや風呂の排水には、程よく有機物が含まれていて、イネの生育にプラスに働き、なおかつ、排水が浄化される。(もちろん当時の洗剤は合成洗剤はなく、米ぬかなどの自然物が洗剤として使用されていた事を断っておく。)
誰かが得をすると誰かが損をするという経済が身近にある一方で、得なことしか起きていないという点に注目したい。しかも、お金もいっさいかかっていないのだ。
生態系の物質循環のおかげである。
それに比べると現代の暮らしは、水をどれくらい使い回しているだろうか?
私の家で実践できている事と言えば、せいぜい次の2つくらいだ。
- 毎日の洗濯に風呂の残り水を利用する。
- 植木の水やりに米のとぎ汁を使う。(気付いた時)
雨水を貯めて利用するケースは増えてきているが、我が家では未だだ。
まとめ
里山での水利用方法について学んだが、今の生活スタイルに合わせた、より効率的な水の使い回し術は、考えればもっとありそうだと思う。
程よく有機物が含まれている風呂の残り水が植物の生育にちょうどいいのであれば、もっと積極的に再利用を考えてみたいものだ。
そのまま下水にいけば、下水処理のコストがかかるが下水に流さなければ、その分のコストは浮くわけだ。
雨水タンクをうまく利用して、風呂の残り水を、雨水タンクへ移せたら、再利用もしやすいかもしれない。
お風呂メーカの方にぜひ開発してほしい!