小川と切っても切り離せない「生物多様性」の問題


明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、年末年始いかがお過ごしでしたでしょうか?

私は年末にかけて、「<生物多様性>入門」(鷲谷いづみ/岩波書店)を夢中で読んでおりました。

「地球温暖化」というキーワードは今や多くの人に知れ渡った境問題の1つだと思いますが、「生物多様性」の問題というと、まだまだ認知度の低い問題かと思います。
生き物のあまり興味のない私の妻や母に聞いても、やっぱり「生物多様性」という言葉は聞いたことが無いと。。。

小川の生態系にとって、切っても切り離せない「生物多様性」の問題。「生物多様性」の問題とはいったいどんな問題なのでしょうか?

生物多様性とは

一般的に次の3つの意味があると言われています。

  1. 生物の種類がたくさんあること。
  2. 同じ種類であっても、形や色彩や大きさ、行動の違いといった「個性」があること。
  3. 樹林・草原・水路・水田・ため池など、異なる性質の生態系が多く組み合わされていること。

生物の種類がたくさんあって、同じ種類でも個性がたくさんあって、樹林・草原・水路などの異なる性質の生態系が多く組み合わせれていると生物多様性が高いということになります。

生物多様性の問題とは

まず、人間の暮らしって、「豊かな自然」に支えられているってことはなんとなく理解できるのではないかと思います。

例えば、

  • 食料や燃料などの資源
  • きれいな水や空気
  • 災害防止機能
  • さまざまな喜びや楽しみ、癒し

などを、人間は豊かな自然から得ていますよね。

先ほどの生物多様性は、人間が得るこれら恩恵の源泉であることを認識しないといけません。だから生物多様性が低くなると、人間が得られる恩恵も減るということなのです。

では、今得られている恩恵を維持するために、現時点で人間に利用されている生物のみを保全すればよいのでしょうか?

答えはノーなのです。

現時点では人間に利用されていない生物も、将来よく利用される可能性があるのです。

古来より人間は、生物が環境に適応して獲得してきた形質(戦略)から学んできたといいます。

例えば、オナモミのかぎ状のとげは、マジックテープ(面ファスナー)からヒントを得ているそうです。そして、最近では、群れて飛ぶ鳥に関する理論から車の自動運転技術への応用が検討されているとか。

「生物が長い年月をかけて獲得してきた貴重な戦略情報を、人間がそれを解明し、認識し、利用し、楽しむひまもなく、絶滅によって永久に失わせてしまうことは愚かである。」という言葉に問題の本質が伺えました。

つまり、人間にとって宝であるこの戦略情報を、後世の人たちに残せないことは問題であるということなのです。

だから、生物多様性の保全が必要であるということだったんですね。

小川の生物多様性を考えるうえで、とても理解が深まった1冊でした。

より詳しく見てみたい方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。