籾の直播をやってみた〜その後〜


先日、稲刈りをしてきた。今年の稲作は、終始コロナ禍であったが、稲の方はつゆ知れず、収穫できるまでに成長してくれた。今年もなんとか自然農で作ったお米を頂く事ができそうだ。

さて今年は、田植えした苗とは別に一部、種籾の直播を試している。直播とは、文字通り、種籾を直接田んぼに播くやり方のことだ。で、田んぼに直播した稲と田植えをした稲の成長ぶりが気になる点であったので、稲の刈り取りの際に、株の分けつ数を見ながら稲刈りを行った。その結果をお伝えしたいと思う。

まずは香り米のシフクと黒米のチベット黒。直播稲では、20数本分けつしている株がいくつも確認できたが、田植え稲では、20本以上の分けつがあまりみられず、およそ10本から15本程度の株が目立った。そして、赤米のカンニホ。直播稲では、20数本の分けつしている株が確認できたが、田植え稲でも同様に分けつをした株がいくつも見られた。その意味で直播稲と田植え稲で大きな差は感じなかった。

以上の結果を踏まえると、結論づけるには、少々いい加減な判断であるが、直播の方が、分けつが多かったという印象だ。

今年の田植えでは、特にカンニホについては、田植え後、まだ根が張る前に、カモられた(カモに苗を倒される事)苗が多く、補植を2回ほど行ったにも関わらず、稲が植っていない空間が残ってしまった。

なので、このカモられる問題を解決する方法として、直播に期待を寄せている。田植えの場合だと、田植えをした後に水が張られるので、根が活着する前に水面を求めてカモが来ると苗が倒れてしまう場合が多かった。しかし、直播では水を張る前に苗がしっかりと根を張ることができるので、水を張った後、カモがやって来ても、苗が倒れにくい状態にすることができるのだ。

加えて、直播のメリットとしては田植えが不要になる事であるが、直播のデメリットとしては、一般的に、雑草との競合に負けてしまうことである。しかし、ここの田んぼでは、水草がほとんど生えないという特殊な環境なので、水が張られる前の雑草と苗が競合しても、水が張られてしまえば、その雑草は生きていけないので、苗が残ることになる。水が張られるまでの間の雑草の抑制がポイントとなる。

今回、ある程度、直播の手ごたえをつかんだので、来年は直播する範囲を増やして実験したいと思う。

最後に、稲刈り時に見つけた、稲穂にくっ付いていた謎の塊について話したいと思う。始めは作業しているときに跳ね上げた泥かと思ったが、同じようなものがいくつも発見できたので、後で調べてみたところ稲麹とよばれる菌の塊であった。稲麹があると収量が減るとかあるようだが、実害はないようなので、特に気にしないことにしよう。