小川に親しめなかった谷間世代はどの世代?

こんばんは。

突然ですがあなたは故郷の小川の記憶はありますか?

私は子ども時代は埼玉県の大宮で過ごし、2つの小川の記憶があります。

小学校にあがる前(1970年代後半)だと思うのですが見沼たんぼをうるおす農業用水 見沼用水で遊んだ記憶があります。母や近所のお兄ちゃんたちと一緒にザリガニ捕りに出かけた記憶です。

当時は素掘りの水路だったのですが、その後は三面コンクリートと化し金網が張られ近づけないものとなりました。カッパのイラストが描かれた「入るな危険」の看板を思い出します。

もう一つは芝川です。見沼たんぼには芝川という川も流れていましたが、当時は悪臭が漂う汚染された川で有名でした。

なので私にとって故郷の小川の記憶は見沼用水や芝川の記憶になりますが、たっぷりと小川で遊んだという記憶ではありません。

「川はあっても遊べない」そんな時代だったのです。

小川に親しめなかった谷間世代

でも私だけが不運な時代を過ごした訳ではなく、この時期は広く河川の汚染が生じていた時期なんですね。

だから、私だけでなく、同世代の人たちは、子供の頃に小川で遊んだという経験が少なめな世代なのです。

私はこの世代のことを「小川に親しめなかった谷間世代」と呼ぶことにしています。

では谷間世代は具体的にどんな世代なんでしょうか?

水質基準の1つであるBOD値が環境基準の5mg/lを上回っている時期が「川で遊んでない」時期と考え、この時期を10歳前後の年齢で過ごした世代が谷間世代だと定義しようと思います。(10歳前後としているのは子ども時代をキリよく現すためなんであまり深い意味はありません。)

全ての川の汚染の時期が全く同じではありませんので、一概には言えませんが、代表的な川である多摩川の水質汚染の歴史から検証してみようと思います。

多摩川での水質汚染の歴史

この資料によると、だいたい1970年が汚染のピークであり、BOD値は1990年代前半で環境基準の5mg/lをクリアするようになりました。

では、汚染が始まり環境基準の5mg/lを超えるようになったのは具体的にいつだったのでしょうか。探しましたが簡単には見つかりませんでした。それもそのはずです。そもそもBOD値を気にするようになったのが、汚染がピークになった1970年代以降からなので、1970年代以降の水質データは見つかるのですが、それ以前のデータとなるとほとんど見つからないのです。

そんな中、上記資料の中には「多摩川のアンモニア性窒素」の1934年から2009年の75年間の経年変化が記載されていました。

その記載によるとグラフ1960年頃からアンモニア性窒素が急激に高くなっていました。

1960年頃のBOD値は分かりませんでしたが、この頃から汚染は始まったということが、アンモニア性窒素のデータからも裏付けられているようです。

結論

小川に親しめなかった谷間世代とは

1960年から1990年代前半を10歳前後で過ごした世代

と言えると思います。

つまり1950年から1980年代前半生まれの世代ということになります。

※東京近郊で10歳前後を過ごした方が対象

「いやいや俺は十分に小川で遊んだよ~」という方もいるかもしれませんが、そんなあなたは小川に恵まれた幸せ者だと思ってくださいね!

将来再び谷間世代が生じない事を祈ります(^^;

 

自然観を高めよう!

こんばんは。

自然観(しぜんかん)という言葉をご存知でしょうか?

先日「自然はそんなにヤワじゃない 誤解だらけの生態系」(花里孝之/新潮選書)という本を読みましたが、この本に書かれている自然観にとても共感しました。

  1. 人類は、他のあまたの生物種と同じく、地球生態系の一員である。
  2. 人類は、すべての生物たちの活動によってつくられているバランスの中で生きている。
  3. 人類が健やかに暮らしていけるように生態系のバランスを維持することが必要である。

1つめについては、紛れもない事実であることはすぐに解ります。

2つめについても、なんとなくバランスの中で生きていることは実感できます。例えば、空気。人間に必要な酸素ばっかりがあっても、二酸化炭素がなければ、植物に必要な光合成ができないので、両方必要ですよね。

そして3つめ。先の例で言うと、植物の光合成のために二酸化炭素は必要だけど、二酸化炭素は温室効果ガスと言われて、地球温暖化の原因なので多すぎると人間にとって困る。人類が健やかに暮らしていくのにやっぱりバランスが大事というのが解ります。

でもバランスを崩す状態って、ここまでは持ちこたえられるけど、この先はダメといった、境界値みたいなものがありそうですが、この境界値がほとんどの場合わからないから困ったものです。

境界値に達するまでは、普通まったく気づくことはないですからね。

そこで、この本の最後ではこんな言葉も記されています。

「我々は常に生態系全体のバランスを意識しながら行動すべきだ。」

人間が生態系になんらかの影響を与えると、必ずなんらかのバランスが変化するので慎重な対応が求められるということです。

例えば、田んぼの脇をながれる小川(水路)を管理のしやすいコンクリートに変更しようとした場合、どんなふうにバランスがくずれるでしょうか?

こういったことは、ほ場整備でたくさん行われてきましたが、失ったものはないのでしょうか?

この自然観が正しければ、バランスは変化して、何かを失っているはずです。

それは生物種の絶滅の話も当然ありますが、それだけではないでしょう。

それまであたりまえだった、何気ない景色だったり、小川のせせらぎだったり、その小川からあふれる子供の笑顔だったりね。

小川を舞台とした感動ストーリー

こんばんは。

先日はある講演会で、小川を舞台とした感動的な話を聞いたので是非シェアしたいと思う。

昔、埼玉県のとある中学校で、問題が起きていた。

たくさんの窓ガラスが割られ、荒れに荒れた中学校。校長は困り果てていた。

そんな中、ある研修会社と知り合い、生徒をとある研修に参加させることになった。
その研修とは、農業研修である。

一方、受け入れ先の農家は、手伝って欲しい作業を考えていた。素人に重要な稲の収穫作業を任せる訳にもいかない。また、田植え作業もイベント的な要素が強い。実際には田植え機でやってしまうのが一番効率がよい。

であれば本当の意味で役に立つ作業をしてもらいたいと考えた。

農家のじいちゃんばあちゃん達にとって、一番骨の折れる作業。それは田んぼのそばを流れる小川(土水路(どすいろ))の泥上げ作業だ。

この土水路の泥上げ作業をやってもらうのが一番嬉しい。

研修当日、生徒達はなんとか作業を終えたという。

そして、農家の人は、生徒達へは心から感謝を伝えたそうだ。

すると次の日、生徒に明らかな変化が起きたという。

「おはようございます」とあいさつをするようになったと。

いままで聞いたことはなかったという。

校長はこう振り返る。「この研修のお陰だ、農家の人の力になれた実感、そして感謝されたことが彼らを変えたのではないか」

農家の人と生徒達の心の繋がりが大きいと思うが、そこに小川があったからこそ起きたキセキと言えるかもしれない。

小川を舞台に繰り広げられるストーリーを今後も探してみたいと思う。

講演会で聴いた地域づくりの秘訣とは?

こんばんは。

先日、水辺からはじまる生態系ネットワーク全国フォーラムという講演会に参加してきました。

河川を軸とした生態系ネットワークを作ることで魅力ある地域づくりを
実施してきたいくつかの事例のお話を聴くことができました。
その中で、兵庫県豊岡市の中貝市町のお話がとても印象に残りました。

豊岡市の取り組み

豊岡市では、円山(まるやま)川流域においてコウノトリと人が共生する環境の再生を目指して多様な主体が連携してコウノトリの野生復帰を果たし、現在も活動をしています。

コウノトリといえば赤ちゃんを運んでくる幸せの鳥というイメージがありますよね。

しかし、そのコウノトリですが、生息環境の悪化により数を減らし、1971年に日本の空から姿を消したというのです。国内最後の生息地であった兵庫県豊岡市では、コウノトリの野生復帰に向けた取り組みが進められました。

例えばこんなこと…

  • 飼育下での保護増殖や放鳥
  • 「コウノトリを育む農法」と呼ばれる無農薬・減農薬農法の普及
  • 湿地の再生(ハチゴロウの戸島湿地)2012年7月にラムサール条約に登録

そして、現在はこの取り組みの結果個体数も187羽になったとのことです。

地域づくりの秘訣は?

パネルディスカッションでは、地域づくりの秘訣について聴くことができました。

同じ夢をみることが大事

この言葉はとても響きました。いざ再生に向けて多様な人が集まったとしても、それぞれに違った価値観をもっているというのです。

ある人は、環境が一番、ある人はお金が一番などと。

だからそこで対話を重ね、同じ夢を見る必要があると。

「環境をよくすると、経済がよくなる」という流れに持ってゆき、それが共有できれば、お金一番の人も味方になって行く。

そして、その夢は、思いを強く持っている人がトップを口説き落せれば話は次第に進んで行くと。

とても聴き入ってしまいました。

夢を持つことは素晴らしいことですが、自分の中だけで持っていてもダメなんですね。その夢をみんなに(特にキーとなる人にも)話し、どんだけ素晴らしいことが起きるかを語ることが大事なんですね。

自分の小川への思いと重なる部分があり、小川の素晴らしさを発信することはとても意義深いことなんだと改めて思うことができました。

最後にこんなお話もされていました。

川の水より魚が多かった」という70年前の話。

実際にはあり得ない表現かもしれませんが、70年前に比べて、我々は明らかに何かを失っているのです。

できることならその頃の川で遊んでみたいと思います。

我々はその時期に戻ることはできませんが、同じ時間をかければ、失ったものを取り戻せる可能性があるのです。

「川の水より魚が多かった」時代、見てみたいですね~

小川と切っても切り離せない「生物多様性」の問題

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、年末年始いかがお過ごしでしたでしょうか?

私は年末にかけて、「<生物多様性>入門」(鷲谷いづみ/岩波書店)を夢中で読んでおりました。

「地球温暖化」というキーワードは今や多くの人に知れ渡った境問題の1つだと思いますが、「生物多様性」の問題というと、まだまだ認知度の低い問題かと思います。
生き物のあまり興味のない私の妻や母に聞いても、やっぱり「生物多様性」という言葉は聞いたことが無いと。。。

小川の生態系にとって、切っても切り離せない「生物多様性」の問題。「生物多様性」の問題とはいったいどんな問題なのでしょうか?

生物多様性とは

一般的に次の3つの意味があると言われています。

  1. 生物の種類がたくさんあること。
  2. 同じ種類であっても、形や色彩や大きさ、行動の違いといった「個性」があること。
  3. 樹林・草原・水路・水田・ため池など、異なる性質の生態系が多く組み合わされていること。

生物の種類がたくさんあって、同じ種類でも個性がたくさんあって、樹林・草原・水路などの異なる性質の生態系が多く組み合わせれていると生物多様性が高いということになります。

生物多様性の問題とは

まず、人間の暮らしって、「豊かな自然」に支えられているってことはなんとなく理解できるのではないかと思います。

例えば、

  • 食料や燃料などの資源
  • きれいな水や空気
  • 災害防止機能
  • さまざまな喜びや楽しみ、癒し

などを、人間は豊かな自然から得ていますよね。

先ほどの生物多様性は、人間が得るこれら恩恵の源泉であることを認識しないといけません。だから生物多様性が低くなると、人間が得られる恩恵も減るということなのです。

では、今得られている恩恵を維持するために、現時点で人間に利用されている生物のみを保全すればよいのでしょうか?

答えはノーなのです。

現時点では人間に利用されていない生物も、将来よく利用される可能性があるのです。

古来より人間は、生物が環境に適応して獲得してきた形質(戦略)から学んできたといいます。

例えば、オナモミのかぎ状のとげは、マジックテープ(面ファスナー)からヒントを得ているそうです。そして、最近では、群れて飛ぶ鳥に関する理論から車の自動運転技術への応用が検討されているとか。

「生物が長い年月をかけて獲得してきた貴重な戦略情報を、人間がそれを解明し、認識し、利用し、楽しむひまもなく、絶滅によって永久に失わせてしまうことは愚かである。」という言葉に問題の本質が伺えました。

つまり、人間にとって宝であるこの戦略情報を、後世の人たちに残せないことは問題であるということなのです。

だから、生物多様性の保全が必要であるということだったんですね。

小川の生物多様性を考えるうえで、とても理解が深まった1冊でした。

より詳しく見てみたい方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

川にいるコイについて

こんばんは。

先日コイに関するお話を聞いたのでシェアしたいと思います。

コイを都市河川でよく見かける事があります。川に泳ぐコイを見ると「おっ、この川もコイが棲める良い環境になったか~」と感じている方が意外に多いようです。確かに池の錦鯉は昔から親しまれている観賞魚なので、その延長で川のコイもかわいがりたくなる気持ちは分かります。

何も知らなかった時の自分もそう思ってた時期がありました。それがいい事なのか悪いことかなんて、あんまり考えないし、教わる機会なんて滅多にないですもんね。

本来コイは大河川の下流域や大きな湖に生息すると言われ、河川にゴミを捨てさせない対策で都市の中小河川へ盛んに移入した例があり、実際に自治体がやっていたそうです。

しかしこのコイ、肉食に近い雑食性で、貝類や水生昆虫、他の魚の稚魚や卵、水草など、口に入るものは何でも食べてしまうので、その場所の生態系に少なからず悪い影響を与えるという事が後から認められるようになったのです。

悪影響を知ってか、さすがに最近ではコイの移入は無いそうですが、コイは長いと30年くらい生きるので、いまだに移入されたコイを見かける機会が多いのだとか。

コイだけがいる川がはたして良い河川環境と言えるでしょうか?少なくとも、いろんな生き物がいた方が良い河川環境と言えるような気がします。

よくコイにパン屑などの餌を与えている人を見かけますが、あまり宜しくないようです。コイの成長を促し、さらに根こそぎ食べることに繋がる可能性があるというのです。

そういえば以前、井の頭公園の池のコイに餌をあげるのが一種の名物になっていましたが、最近は、食べ残したパン屑が水質を悪くすることや、池の生態系を元に戻そうということで、コイへの餌やりは禁止されるようになってました。

コイに対する考え方は少しずつ見直しされているということを感じますね。。

今では希少種と呼ばれるような生き物や植物が、普通に見られるようになり、子どもたちが身近にあそべる小川が増えることを願っています。

 

 

すてき過ぎる酒匂川水系のとある小川

こんばんは。

先日、酒匂川(さかわがわ)水系のとある水路を訪れてきました。

酒匂川が流れる足柄(あしがら)平野は、水が豊富であると言われており、この日に降り立った小田急線 富水(とみず)駅も、「水が富むところ」に由来しているそうです。夏は冷たく、冬は暖かい清水(せいすい)がたくさん湧き出るため、昭和の頃までには多くの家に掘り抜き井戸があったそうです。

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実際に周辺を散策してみると、小川(水路)がたくさん発見できます。

そして、水が豊富なためか、水中の水草や水底がはっきり見えるくらい水がとてもクリアです。私が大好きな本当にすばらしい光景です。小川自体が貴重な財産だということを強く感じてしまいます。

img_7675ちなみに、水草はオオカナダモと思われます個体が繁生してました。

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で、とある水路を眺めながら歩いていると、ちょっとした深場に魚群を発見しました。魚種の確認はできなかったのですが、その数軽くⅠ100匹は超える数でした。こういった深場で越冬するのでしょうか。

余談ですが、TV番組で誰かを密着取材するように、ある1匹を1年間追い続け密着取材できたら面白いのにな~と思います。

そんな魚群をもう少し水中から見てみたと思う方は、ぜひこちらをご覧ください。

設定で「画質=1080p」を選ぶと最高画質でご覧いただけます。

水鉢ビオトープのその後

こんばんは。

今年も残すところ1か月を切ってしまいました。やり残したことは今年のうちにやっておきたいですね。

さて、以前記事に書きました水鉢ビオトープのその後についてリポートしたいと思います。

お掃除をしたのが2016年1月でした。その後、約11か月間、水の濁りや、夏場のアオミドロの大発生といった問題は、特に発生せずなんとかやってこられました。

もちろん、管理作業として、減った分の水を足すことと、増えたアオミドロを割り箸で絡め取ることは適宜やりました。適宜と言っても月1回とかいうレベルですね。

それ以外は餌を与えることもなく、自然に任せて何もしてません^^

で、この日は、水鉢ビオトープの水草や生き物がどうしているか確認してみました。

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カワニナの繁殖!

驚いたポイントその1、カワニナが繁殖してくれました。

img_7633数えたら、5㎜程のものから25㎜程のものまで、なんと全部で48匹もいました!

カワニナが生息・繁殖に適した水質条件がうまく揃ったんでしょうね。

必要な水質条件については、今度改めて調査してみようかと思います。

シジミの長期飼育!

驚いたポイントその2、シジミが生きていてくれました!

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まず、このシジミが、マシジミなのかタイワンシジミなのか同定が非常に難しいところです。というのも、殻の表面の黄色度がマシジミよりタイワンシジミの方が強いと言われていますが、環境による個体差も大きく、殻表面の色だけでは判断できない場合もあるそうです。一方、殻の内側の色での区別もあるようですが、それを見るには殻を開く必要があり、生きたまま、殻の内側を見るのは不可能となっています。

なのでここでは、殻の表面の黄色度が少ないことからマシジミということにしておきます。

で、マシジミの飼育なんですが、水質の条件や餌となる微生物やプランクトンが十分でないと長期の飼育が難しいと言われています。

そんな中、1年近く生育してくれたのは嬉しい限りです。

どこまで成長するか楽しみです。

カワリヌマエビ

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以前、ヌマエビと称して記事を書いておりましたが、正確にはカワリヌマエビ属の一種だったようです。

【カワリヌマエビ属の特徴】
目が少し斜め前に飛び出ている。(上から見ないとわかりません。)
腰は比較的真っ直ぐ伸びている。

ヌカエビとカワリヌマエビ属の違いについてはこちらに記事を書いております。

いづれにせよ、1匹だけ元気にしております。

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オオトクサ(長いヤツ)やマツモも1月の時と比べてだいぶ増えました。

これらの水草が水中のリンや窒素を吸収して成長し、水中の富栄養状態を抑える働きを担っているのでしょう。

そう言えば、ホトケドジョウの姿を見ませんでした。どこかに隠れてじっとしているのでしょうか。。。

またしばらく様子をみようと思います。

小川の生き物たちとの再会は春かな。

 

小田原メダカとか藤沢メダカってなんですか?

こんばんは?

先日小田原市の小川にいるメダカについて記事を書きましたが、そこにいるメダカは小田原メダカと呼ばれたりします。小田原産とかいう言い方もあります。

また、「藤沢メダカ、60年ぶり里帰り」という産経ニュースの記事では藤沢メダカと呼ばれたりします。

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いったい、小田原メダカとか藤沢メダカってどういう意味なんでしょうか?

地域個体群が重要

小田原メダカとか藤沢メダカという種や亜種に付けられた名前という訳ではありません。

種で言えば、以前は1種類とされていましたが2012年にキタノメダカとミナミメダカの2種類に分類されました。

そして、キタノメダカはさらに3グループ、ミナミメダカは9グループの亜種に分けられています。

では何?

小田原メダカとか藤沢メダカというのは、亜種群をミトコンドリアDNA分析により、局所的な地域個体群を分析した結果、ホタルなど移動能力の小さい昆虫と同様、地域ごとに遺伝的変異が認められることにより、その地域個体群に付けられた便宜的な名前ということだそうです。

地域ごとに遺伝的な違いが認められるので、地域個体群を、ある地域から他の地域へ移す場合、遺伝子撹乱が生じてしまい、長い間かけて生じたその地域特有の遺伝的特徴が失われていくことに繋がります。

メダカの保全ということで、他の地域にいた地域個体群を放流する例があったとよく言われますが、これが、安易な放流はダメという理由です。

地域個体群に対する理解を深めないといけないですね!!

 

 

 

特定外来生物 オオタナゴについて

こんばんは。

先日は、外来生物法における特定外来生物に追加指定されたオオタナゴの形態と取扱いに関する勉強会(主催:土浦の自然を守る会)に参加してきましたので、知らない人にも知ってもらいたいと思い記事にしてみました。

オオタナゴとは

皆さんは、オオタナゴという淡水魚をご存知でしょうか?

タナゴの仲間で、イシガイなどの二枚貝に卵を産み、産卵期のオスは体表が薄いピンク、腹部が薄い黒、尻ビレに白と黒の縞模様といった婚姻色を呈する魚(外来種)です。

2001年に霞ヶ浦で確認されて以来、爆発的に増えて、在来のタナゴ類(タナゴ、アカヒレタビラ)の生息が危ぶまれています。

これは、オオタナゴが大型になるため、産卵に使用する二枚貝争奪戦に在来のタナゴ類が負けてしまい、共存せずに、排他的にオオタナゴが増えているという事態が起きているからと考えられています。

そもそもなんで、オオタナゴが霞ヶ浦に侵入したのでしょうか?

いくつか説があるようですが、真珠養殖用として中国から輸入されたヒレイケチョウガイの卵や胚から浮出した説が有力のようです。

img_7512写真は今年生まれで体長約5cm。

特定外来生物へ指定

現在は霞ヶ浦だけでなく、千葉県、東京都、埼玉県、栃木県の利根川水系にも生息域が拡大しているということです。

そんなオオタナゴが、外来生物法における特定外来生物に追加指定され、2016年10月1日より、飼養、保管、運搬、放出、輸入等の規制が開始されました。

罰則には厳しく、例えば、
個人が「許可なく飼養等をした場合(愛がん(ペット)等の目的)
⇒「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」
個人が「許可なく野外に放った場合」
⇒「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」
一方、法人が「許可なく野外に放った場合」
⇒「1億円以下の罰金」

詳しくは環境省のホームページ「罰則について」に記載されています。

具体的な取扱い方

この日は、環境省の職員の方が講師として招かれていて、具体的な取扱い方を解説してくれました。

※以下、解説頂いた内容を記載しておりますが、法律的解釈を保証するものではございませんので、ご留意ください。

オオタナゴを釣ってしまったら

【キャッチ&リリース】
釣ったその場所へ放すことは規制されていません。「殺すことしたくない」と思う方は、放すのがよろしいでしょう。しかし、本来は「居てはいけない魚」であり、在来タナゴ類の生息を脅かす存在なので、釣ったその場所へ放つよりは、死に至らしめた方が生物多様性を高めることに繋がるでしょう。それと、「釣ったその場所」というのも曖昧な表現ですが、釣った河川・湖沼の河岸・湖岸と同じ岸であっても、明らかに遠い場所で放つ場合は、アウトになるとのことですので注意が必要です。

【運搬】
釣ってしまったオオタナゴを、釣った河川・湖沼の河岸・湖岸に隣接する道路に至らない範囲で生きた個体運び移すことは出来ます。ですが、生きた個体を持って、釣った河川・湖沼の河岸・湖岸に隣接する道路へ出たらアウトになるとのことですので注意が必要です。

釣った河川・湖沼の河岸・湖岸に戻すか殺処分することが明らかな状況で、数時間生きた個体を取り扱うことは出来ます。(食べるためとか殺処分するための運び移しはセーフとのことでした。)

弱らせる方向にあるかどうかはポイントで、エアーポンプを使って生きた個体をキープしていると弱らせる方向とは言えないのでエアーポンプの使用は避けた方が良いでしょう。

随伴移入

タナゴ類に関しては産卵母貝である二枚貝を媒介して、非意図的な移入が起こって問題になっています。霞ヶ浦へ移入された経緯も、随伴移入が疑われていることは先に述べました。

最近では、観賞魚店のみならず、水質浄化対策を目的として、二枚貝が流通・放流されています。二枚貝の購入や移動には、体中のタナゴ類の卵や胚の存在に注意しないといけません。

最後に

オオタナゴは、定着段階が「侵入初期/限定分布」にあることから、今回の追加指定によって、これ以上の分布拡大は絶対に阻止するという強い意志があるとのことです。

広く周知されて、在来タナゴ類が守られることを期待します。

img_7515写真は、勉強会の参加者がこの日釣り上げたオオタナゴです。この後オオタナゴは、主催者によって殺処分されたとのことです。

参考文献
萩原富司『外来種の防除:初期コントロールを目指して-霞ヶ浦におけるオオタナゴに関する調査-』

葛島一美・熊谷正裕『日本タナゴ釣り紀行』 つり人社