小川の〇〇は微笑みを与える

小川についての思い出を会う人に聴くようにしている。共通して言えるのが、子どもの頃に遊んだ楽しい記憶だ。

  • 友達と30分歩いて小川へ行き、魚を眺めていた
  • 小魚を捕まえた
  • ザリガニを捕った(釣った)
  • シジミをとって味噌汁にして食べた

IMG_8459この記憶を思い出していくと、自然に微笑みが生まれてくる。故郷の思い出も蘇ってくるからだろう。

今の子ども達が、小川で楽しく遊んだ記憶を、大人になってから語る事ができるのか、心配してしまう。

1960年代の高度経済成長前であれば、小川の汚染や破壊が少なく多くの子どもが小川で遊んだ経験を持っているのに比べ、都市部の小川が希少になっている現在、今の子どもは小川で遊ぶ機会がとても少なくなっていると考えられるためだ。

都市部に暮らす子どもは田舎に暮らす子どもに比べ、その傾向は顕著だと思う。

都市部の子どもが小川に触れるため、田舎へ行くのは良いと思う。大人に連れて行ってもらうパターンだ。でも大人に田舎に連れていってもらわなくても、身近に小川があったら、子どもたちだけでも小川に行ける。前述の思い出は、子ども達だけで小川へ行ったというものも含んでいる。

なので、都市部の子どもが身近な小川へ行きやすいよう、もっと小川が増えたら良いと本気で思っている。

安全目への配慮はもちろん考えないといけない課題であるだろう。

楽しい思い出は、たくさんあった方が良いに決まっている。その一つである「小川で遊んだ楽しい記憶」が、生まれやすい状態になっている事が、良い状態だと思う。子ども世代にそんな状態を与えてあげるのが、大人の役割である。

小川の流れを辿ると地域の〇〇が見えてくる

小川の流れを地図で辿っていくと、いろいろな地名を目にすることになる。その中でも、地形に関係する漢字を含む場合は、そこへ実際に行ってみると、その高低差を感じことができ面白い。

地域の地形が見えてくる。

私の住んでいる西東京市並びに近隣地域の例を挙げてみたいと思う。

谷戸(やと)

西東京市に新川という川がある。といっても雨が降った時に水が流れるだけで普段は水は流れていない。流路のほとんどは暗渠になっている。

その川の上流を辿ると、西東京市谷戸町にあたる。ちょうど谷戸小学校の前あたりだ。

IMG_5824新川の暗渠

谷戸というだけあってゆるい谷状の地形になっていて、昔はこの谷戸から水が湧き、新川を形作っていた可能性がある。

Google Earthで標高差を見ると、新川の始まりの場所は、周辺より2m程低い地形をしている。実際に行ってみると、そのような土地の高低差を見ることができる。

沢(さわ)

東久留米市を流れる落合川の周辺には、沢(さわ)が付く地名がいくつかある。南沢、前沢だ。落合川やその支流の流れが「沢」であり、ここから地名が付いたと思われる。

沢の中心部(水の流れ)へ近づくにつれて土地が低くなっていくのが感じとれるだろう。

沢については辞書によって定義が異なるようだが、落合川の支流を例にとると、低地、浅い、植物が茂っている、細い川という要素をもっている。

IMG_7652沢頭(さがしら)の流れ(落合川支流)

沢登りをするような、山間の小さな流れとはまた異なる趣である。

沢は小川のひとつと言えそうだ。

窪(くぼ)

西東京市芝久保という地名がある。一般的に「久保」は「窪」の当て字なので、窪地がある可能性が高い。芝久保の場合は、例外ではなく、実際に窪地は存在する。

芝久保の地名が地形に由来していることが想像できる。

ちなみに「さいかち窪」という小平霊園にある窪地は黒目川の最源流部であり、2~3年に一度くらい水が湧き出る状態が見られるそうだ。

このように「窪」が小川の源流部になっているケースもある。

まとめ

地名に見かける地形に関係する漢字を3つ紹介した。

小川へ訪れる際、この漢字を含む地名を発見したら、その漢字が示す地形をしているか、歩きながらぜひ確かめてみて欲しい。

地域の地形が見えてくるはずだ。

辛いだけの上り坂は、地域の地形を感じる貴重な資源に見えてくることだろう。

小川と硝酸態窒素との関わり

硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)というものをご存じだろうか?

硝酸態窒素とは

硝酸イオン(NO3-)のように酸化窒素の形で存在する窒素(N)のことをいう。人間を含む動物が硝酸態窒素を大量に摂取すると、メトヘモグロビン血症などの酸素欠乏症を引き起こす可能性があることが指摘されている。なので、水道水質基準にも基準値が設けられ管理されている。

河川では

現在、河川の環境基準では、硝酸態窒素の項目は含まれていないが、河川の水質調査では、継続的な水質観測が行われている。

以前参加させて頂いた、新河岸川水系を対象にした身近な川・里川の一斉調査という川の水質調査活動では、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素に加え硝酸態窒素に関しても調査していたことを思い出す。

魚への影響

ところで、以前こんな話を聞いた事がある。絶滅危惧種のムサシトミヨは、埼玉県熊谷市の元荒川上流部にしか生息しない淡水魚で、保護増殖活動が行われている。保護増殖が成功した後には、昔に生息していた地へ移入する話があったようだ。しかし移入先の水質として、硝酸態窒素の濃度が、生息していた当時より高いという事があり、移入した場合の問題が心配されていた。

なぜ高いのか、正確なところは不明だが、農地で施される肥料が原因しているのではということだ。過剰に施された肥料成分(硝酸態窒素)が水に溶け、地下水として流れ、河川に流入しているのだ。

冒頭で触れた、硝酸態窒素による酸素欠乏症という事も、魚への心配事の一つであったのかもしれない。

アクアリウムでも

私は自宅の水槽で淡水魚を飼育を楽しんでいる。元気な野菜を育てるには土づくりからと言われるが、元気な魚を飼育するには、水つくりが大事である。魚のフンなどの有機物が、水中のバクテリアによって分解され、有機物→アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩へ変化していく課程がある。

水つくりがうまくいっていても、硝酸塩が最終的に蓄積されていくので、硝酸態窒素の除去として、定期的な水替えが必要になるのだ。

まとめ

硝酸態窒素について、理解は深まっただろうか?

体内に取り込み過ぎると人間にリスクがあるように、小川の魚にとってもリスクがあるので、注意しておくべき物質であるだろう。

野菜作りでは、ついつい化学肥料を多めに撒いてしまうことってあると思うが、地下に浸み込み河川への汚染に繋がっていくという事実をぜひ知っておきたい。

 

 

 

小川の傍にも生えるシロツメグサなどマメ科の植物がもつ特徴とは?

問い

小川の傍にも生えるシロツメグサなどマメ科の植物がもつ特徴とは?次の4つのなかから1つを選んでください。

  1. 根粒菌と共生し、根粒菌が作る窒素化合物を得て生育する
  2. 根粒菌と共生し、根粒菌が作るリン化合物を得て生育する
  3. 根粒菌と競争する
  4. 毎日恋人を気にかけメールする

ヒント

根粒菌は大気の約80%を占める○○を使います。

 

 

 

 

正解

1.根粒菌と共生し、根粒菌が作る窒素化合物を得て生育する

解説

小川の傍にはマメ科の雑草が生えていますが、よく知られているマメ科の雑草といえば、シロツメグサではないでしょうか。四つ葉を探すのに夢中になった経験は誰にでもありそうですね。

そんなマメ科の植物は、根に根粒という器官をもち、その中に根粒菌というバクテリアの一種が棲んでいます。根粒菌は、大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定という)、植物の生育に必要な窒素を提供する機能を持っています。一方で根粒菌は、植物から光合成で得た栄養をもらいます。マメ科植物と根粒菌はお互いにメリットを享受している「共生」の関係にあるといいます。

なのでマメ科の植物はやせた土地でも育ちやすいようです。

自然栽培というのをご存知でしょうか?農薬も肥料も使用しない栽培方法です。肥料が無かったら畑はやせる一方ではないかという疑問がでますが、マメ科植物の窒素固定の働きが自然栽培のプロセスに一役買っているといということです。

さて解説です。

根粒菌が作るのはリン化合物ではなく窒素化合物(アンモニア)ですので2は不正解となります。マメ科植物は、根粒菌と競争している訳ではなく、「共生」の関係にあります。3も不正解となります。4のように「マメ」な性格な人はきっと異性にモテるに違いありません。

参考

「奇跡のリンゴ」石川拓治 幻冬舎

「すごい畑のすごい土」杉山修一 幻冬舎

かつて東京都に多く生息していた国の天然記念物に定められている魚は?

問い

かつて東京都に多く生息していた国の天然記念物に定められている魚は?次の4つのなかから1つを選んでください。

1. ミナミメダカ
2. トウキョウタナゴ
3. ミヤコタナゴ
4. ミヤコハルミ

ヒント

その名前は東京都に多く生息していたことに由来します。


 

 

 

 

 

正解

3.ミヤコタナゴ

解説

タナゴという魚は、二枚貝の中に卵を産む淡水魚です。日本には18種のタナゴ類が生息しており、その中の1種がミヤコタナゴです。

茨城県を除く関東地方でのみ生息が知られており、丘陵地や平野部における湧水を水源とするような水のきれいな小川やため池に生息します。

しかし、生息環境の悪化等によって、その数が激減し、1974年に国の天然記念物に定められ、採取や飼育が禁止されました。野生の生息地としては、現在、栃木県と千葉県の一部のみとなり、保護されています。

ミヤコタナゴが新種として発見されたのは、1909年で、小石川植物園の池だそうです。

井の頭公園の池善福寺川にもかつて生息していたといわれます。古老による昭和30代の白子川の生息の記憶には次のようにあります。

情景を想像してみるとなんだか楽しい気分になってくるのは私だけでしょうか。このような小川とミヤコタナゴが普通に見られるようになって欲しいですね。

さて、解説です。
1.ミナミメダカは東京に多くいたとは思いますが、国の天然記念物という意味では違います。2.トウキョウナタゴはひっかけですね。トウキョウではなくミヤコと命名した人のセンスが光る気がします。4.は有名な演歌歌手ですね。ミヤコつながりです。『アンコ椿は恋の花』というヒット曲がとっても有名ですね。

参考

「白子川を知っていますか-水辺再生に向けて-」白子川汚濁対策協議会

「日本の淡水魚」山と渓谷社

メダカの元々の生息地ともいえる場所はどこでしょうか?

問い

メダカの元々の生息地ともいえる場所はどこでしょうか?次の4つのなかから1つを選んでください。

  1. 水がきれいで流れが急な渓流
  2. 田んぼや田んぼとつながっている小川
  3. 大河川の下流
  4. ペットショップ

ヒント

メダカの属名はOriziasと言って稲に由来しています。


日本人にとって最も馴染みのある淡水魚といへばメダカではないでしょうか。

アクアリウムショップや最近ではフラワーショップでも売っているのをみかけることもあります。

お店で販売しているメダカは養殖で、ヒメダカなど品種改良されたものが多いようです。

しかし、都会に住んでいる人が、自然の中に生息しているメダカを見かける機会はとても少ないように思えます。

これは、メダカの生息地が、開発や田んぼのほ場整備、河川改修などによって減少したことや、農薬の影響などにより個体数が減少した事が理由として考えられています。

なのでかつて身近にいたメダカが生息しているところを見たことがないという子どもも多いのではないでしょうか?

正解

2. 田んぼや田んぼとつながっている小川

解説

メダカの属名が稲に由来している通り、メダカは田んぼや田んぼにつながっている小川に多く生息しています。
メダカは遊泳力が小さいので、流れの緩い小川を好みます。なので流れの急な渓流にはいません。
大河川の下流にも生息していることは否定できませんが、「本来の生息地という点」で不正解です。
ペットショップが本来の生息地だとしたら、店員さんがメダカを作ったのかな?いえいえ、店員さんも初めは田んぼや小川で採取したはずです。不正解ですね。

補足

メダカといっても日本のメダカは2種類に分けられています。キタノメダカとミナミメダカです。キタノメダカはさらに3グループ、ミナミメダカは9グループの亜種に分けられています。そして、地域ごとに遺伝的な違いが認められる場合があり、その地域個体群を他の地域へ持って行ってしまうと、雑種が生まれ、長い間かけて生じたその地域特有の遺伝的特徴が失われていくことに繋がります。

地域個体群については以前のコラムにも書いてますのでこちらも参照ください。

地下水は誰のもの?

小川の水源の一つとして湧水があるが、湧水は地下水が地表に湧き出た水である。

地下水の二つの視点

そんな地下水であるが、所有権について最近は二つの視点があるという。

地下水は私水であるという考えと、地下水は共有資源だという考えだ。

これまでは、土地所有権の範囲を定めた法律(民法)に求める考えとして、地下水は私水であるという考えが主流であったようだ。土地所有権に付随する地下水は土地所有者の自由な使用が当然の条理とされていた。

しかし近年、地下水が地球もしくは流域の水循環の一環として流動していることは良く知られてきており、地下水は共有資源であるという考えがでてきている。水循環とは、降雨→地下へ浸透→地下で流動→地表へ流出→蒸発→降雨→…である。

昭和41年の松山地裁の判決でも、地下水は「流動する性質」を持つため「共有資源」であるとし、利益(損益)の公平かつ妥当な分配の原則を適用したという。

近隣の土地で、地下水が大量に汲み上げられた結果、自分の敷地の井戸から採取する地下水が少なくなってしまうのは道理に合わないと思う。

現時点で、地下水の所有権について明確に規定したルールは確立していないが、地下水が共有資源であるという考え方は、今後主流の考えになっていくだろうと思う。

井戸水を使用する場合は、自戒を込めて、共有資源であることを理解した上で妥当な使用を心掛けたいものだ。

おまけ

流動するものと言えば、大気も流動している。

そういえば、大気中の水蒸気を集めて水をつくるプロジェクト(WARKA WATER)の話を思い出した。飲み水が得られない乾燥地域において画期的なプロジェクトだ。

今のところ、この装置で水を作っても、大量に作れるわけではないので、周辺の人達から、「そっちで水作り過ぎだぞ!」とクレームを受けることはないと思うが、この装置が進化したときは、大気の水蒸気も共有資源として考えられる時代がくるかもしれない。

 

参考
「育水のすすめ 地下水の利用と保全」 GUPI共生型地下水技術活用研究会 著 西垣 誠・瀬古 一郎・中村 裕昭 編著

ビオトープ池と監視システム

ビオトープ池

我が家の庭に作ったビオトープ池もリニューアルしてからちょうど1年が経過した。

残念ながら飼育していた小魚はいなくなってしまったが、タニシやカワニナなどは元気にしている。

そして、最近新たに、小川で採取したメダカを仲間に加えた。メダカ池のビオトープとして生態系を保つようにする予定だ。

念のため言っておくが、ビオトープなので、人間がメダカに餌を与えることは当然しない。

自然のままに飼育する。人工的であるが小さな生態系を創り出す事が、ビオトープの楽しさの一つだ。

メダカが繁殖する条件が整うまで,試行錯誤して、働きかけをする予定だ。

しばらくの作業は、夏場の太陽光で異常に増える緑色の糸状の緑藻(アオミドロの仲間)を取り除くことだ。これが水面を覆ってしまうと、メダカが泳ぐ水面が制限されてしまうし、その下の水草に光が届かなくなって良い状態とは言えなくなるからだ。

ビオトープ池の監視システム

IMG_8779もう1つの作業は、この1年悩まされてきたネコ被害の対策だ。自宅周辺に野良猫が数匹棲みついているのだが、ビオトープ池が数回被害を受けている。池の魚を狙ったり、トイレの代わりにもされた。

この被害をなんとか打開しようとして始めたのが、このビオトープ池の監視システムの構築だ。

ネコが近づいて、水面を覗きこむと、カメラが動体(ネコ)を検出し、水中ポンプを駆動する。ネコを軽く脅かしてビオトープ池に近づいて悪さをするネコを遠ざけるためのシステムだ。

以前コラムに書いた「【ホビープロジェクト】 ネコから庭の畑を守るシステム」で作成した監視システムを、ビオトープ池に再利用を図ったものだ。そもそもは、ビオトープ池監視用であったのだが諸事情で家の畑の監視に先に使ったという経緯だ。

IMG_8780
ビオトープ池の隅っこに取付した。24時間、365日、監視してくれる強い味方だ。

ビオトープ池監視画面
ちなみに赤外線カメラに映る画像はこんな感じだ。赤外線カメラなので通常のカメラのような色にはならない。通常のカメラは可視光線を中心とした光を受けるので赤、青、緑が映るが、赤外線カメラは可視光より波長が長い赤外線を受けるので、赤色っぽい画像になる。その代り、夜でも映像を撮ることができるのだ。

しばらく様子を見て、効果の程をまたリポートしてみたいと思う。

 

 

 

 

 

小川から得られる価値

先日、会社でCanvasというものを初めて知った。

組織や個人のビジネスモデルを分析し描くためのカギとなるツールだそうだ。

顧客、与える価値、チャネル、顧客との関係、収入、キーリソース、キーアクティビティ、キーパートナー、コストという9つの要素を分析する。

その使い方の資料を見ていたら、個人的にとても響いたフレーズがあった。

そんなのそうだよ、と思われる方も多いかもしれないが、少なくとも私は今まで、与える価値というものへの向き合い方が足りていなかったようだ。

例えば、小川を再生するという活動が仮にあったとする。

これは活動の組織にとってのキーアクティビティであり、与える価値ではない。

では、価値ってなんだ?

  • 一生の思い出をつくることができる(親子が川遊びすると)
  • 気持ちが晴れる(仕事で疲れたサラリーマンが小川沿いを散歩すると)
  • 健康の増進につながる(シルバーが組織で活動すると)

いろいろな人達にとっての価値がたくさん挙げられる。

自分にとっての小川での一生の思い出はいくつかあるが、一つは母にせがんで連れて行ってもらった綾瀬川へ釣りだ。

東武野田線の電車から見つけた小川にどうしても行ってみたかったのだ。

当時、小学3年の頃だ。釣りの経験も浅く、餌を付けないという斬新な釣り真似をしていたのでもちろん全く釣れなかった。

だけど自分で見つけた場所に行って、もしかしたらの期待感を味わっただけでも嬉しかった。おぼろげながら当時の光景や母との会話も覚えている。

小川は、きっと一生の思い出が作られる場所だと思う。

 

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【ホビープロジェクト】 ネコから庭の畑を守るシステム

はじめに

実は、1年程前から、庭に小さい畑を作って家庭菜園を楽しんでいる。

しかし、しばしばとある問題が発生して困っているのだ。

その問題とは、ネコが畑で用を足すことだ。

半年くらいの間に2回もやられた。しかも、用を足した後、糞に土をかけるため、畑の小さい苗が荒らされたりもした。

これは、黙ってはおれん、ということでネコから庭の畑を守るシステムを作ることにした。

実は、タラ船によるビオトープ池も庭にあるのだが、こっちの被害が先であった。こっちでもネコが池の中に用を足すわ、小魚を狙うわで困っていたのだが、畑を守るシステムを先ず作成してみることにした。

システムの目標

ネコが近づいてきたら、水を出して驚かし、退散させる。

いたってシンプルな目標だ。

システムの構成

  • Raspberry pi 3
  • 電源
  • Raspberry pi用赤外線カメラ: 3 Fisheye Lens 160 Degree Night Version Noir Camera 1080p 5mp
  • 水中ウォーターポンプ: DC 3.5V-9V 3W USB
  • 鉛筆のキャップ: 先端に穴が開いているもの
  • トランジスタ: s8050
  • 抵抗: 1kΩ
  • ブレッドボード
  • ジャンパーワイヤー
  • ショーケース: 百円ショップで売っているもの

システム構成図4

作り方のポイント

動体検知には、Motion-MMALというフリーのライブラリーを使用した。動体を検知をしたらRaspberry piのGPIO13ピンをHighにしてトランジスタのスイッチ回路をOnにする。On期間は0.5秒とした。

水中ウォーターポンプの水の出し口には、小学生の娘からもらった鉛筆キャップ(先端に穴が開いているもの)を差し込んだ。これがうまい具合にサイズが合って、いい感じに水がピューっとでるのである。

そしてこの水中ウォーターポンプを、水の入った瓶に設置し、お好みの方向に向ければ完成である。

設置の様子

IMG_8619 IMG_8620

テスト結果

下の図のように庭の端に本システムを設置した。

設置図面2本シ本システムは、動体を検出するとMotion-MMALライブラリによって動画を記録することができる。実験では、動画の記録が終了すると、動画を添付ファイルとしてgmailで自分の携帯へ送るようにした。検出した動画を確認すれば、ネコがどういう経路で、何回畑に近づいているのかがわかる。

もちろん、ネコ以外にも反応してしまう。、畑の作物が揺れることでも検出してしまうので、gmailの嵐になってしまうことがある。gmailへの通知は実験の時だけとするのが賢明である。

1回目の実験は2017/6/18の18時から約1日。

この日、近づいたネコの通過経路は

↑方向:3回

↓方向:1回

←方向:4回

であった。

3匹ほどいることも分かった。黒、黒ブチ、茶縞だ。

結果として、畑に座り込んで用を足すことはなかった。また、水に驚いて逃げるシーンも捉えることができた。

その後も稼働を続けること約一か月。

2017/07/17 18:30から2017/07/19 18:30までのの二日間についても動画からネコの姿を捉えた。

この二日間で、近づいた回数は10回。

すべて通過するだけで、畑に座り込んで用を足すことはなかった

まとめ

上で述べた結果から、本システムが一定の効果があることが確認できた。約一か月、畑を見てきたが、ネコの糞による被害は受けていないようだ。

思った以上の効果に満足している。

今回のリポートで、本システムの稼働は一旦停止し、次は、ビオトープ池の監視へ切り替えたいと思う。

もし、同じようなケースでお困りの方がいれば、お役に立てるかもしれないのでお声掛け頂きたい。