「専門家コラム」カテゴリーアーカイブ

家庭でなんとか籾摺りをしたい〜その2〜

古代米を含めた少量の籾摺りが家庭で出来ないかと思い、アイディアを実践中である。前回は、ハンディフードプロセッサを使って籾摺りを試したが、回転する刃が鋭いためか、籾殻は外れるが、玄米が砕けるものが目立ってしまった。そこで3Dプリンタで鋭くないプラスチックの回転刃を作り、再度試すこととした。

今回制作したプラスチック回転刃

写真上が、ハンディフードプロセッサ付属の金属回転刃。写真下が、今回3Dプリンタで制作したプラスチック回転刃(ナイロン製)。(綺麗な状態で写真を撮り忘れました)

 

回転刃の取り付け

ハンディフードプロセッサのマニュアルに、回転刃の取り外し方が記載されているので、付属のツールを使い金属のパイプを回して外し、回転刃を交換した。精度が0.3mm程度と謳われていたが、穴寸に余裕を持たせなかったため、いまいち穴へのハマりが悪かったが、とりあえずは固定ができた。

籾摺り

籾から籾殻を取り除いて玄米にする工程が一般的に籾摺りと呼ばれているが、その工程は、さらに3つの工程に分けることができる。

  1. 籾から籾殻を外す(脱皮)
  2. 籾殻を取り除く
  3. 玄米の中に残る籾を取り除く

今回のそれぞれの工程の方式は、次のようになる。

  1. ハンディフードプロセッサの回転刃による衝撃で籾殻を外す方式
  2. 唐箕のように風で籾殻だけを吹き飛ばす方式
  3. 手動で取り除く方式。なお、玄米の中に残る籾を取り除く工程がなぜ必要かというと、一度の脱皮作業で籾から籾殻を100%外して玄米にすることは難しく、脱皮できない籾が残るためだ。なので、籾のない玄米を得るためには、玄米の中から籾を取り除き、再び工程1〜3を繰り返す必要がある。

籾から籾殻を外す

籾は前回同様に、赤米(紅吉兆・神丹穂がメイン)1合弱を使用。粒径が長く、芒(のぎ)も長い籾を容器に投入。

蓋を被せて、Lowボタン(低速回転モード)で約40秒(20秒x2回)運転する。ちなみにこのハンディフードプロセッサには、LowボタンとHighボタン(高速回転モード)がある。

籾殻が外れているのが確認できる。

籾殻を取り除く

籾殻を取り除くには、一般的に唐箕(とうみ)と呼ばれる、風を起こして籾殻を吹き飛ばす装置を使う。しかし、家庭には通常ないので、家庭にありそうなものでやりたい。そこで考えたのが、キッチンシンクで使うゴミネットを容器に被せて、ドライヤーの風で籾殻を吹き飛ばす方法だ。

風を当てる角度をうまく調整し15秒から20秒も風を当てれば、ネットに籾殻が溜まっていく。ネットに溜った籾殻を適宜取り除きながら数回繰り返すことで、ほぼ籾殻は無くなった。ただ細かいゴミがネットを通り抜けて、周辺が粉だらけになるので、汚れても良い屋外でやるか、事前に水切りボウルなどでふるいをかけ、細かいゴミを取り除いてから風を当てた方が良さそうであった。

玄米の中に残る籾を取り除く

玄米の中に残る籾を取り除く工程では、万石(まんごく)式、回転式、揺動式といくつかの方式があるそうだが、今回は、手動で籾を選別した。

薄いトレーに適量移し籾をピックアップしていく。地味な作業で時間はかかるが確実な方式でもある。今後は自作の籾選別機を作って他の方式を試して行きたいと思う。

で、よく見てみると、やはり砕け米が混じっている事が判明した。ハンディフードプロセッサの運転時間が長かったのかもしれない。なので、次はハンディフードプロセッサの運転時間を変えてちょうど良い塩梅を探ることにした。

適切な運転時間を探る

では適切な運転時間を決めるに当たって、具体的な数値による評価基準を決めたいと思う。評価基準としては、籾摺り終了後における、取り除けなかった籾数(残籾数)と回転刃の衝撃による砕けた米の数(砕け米数)を計測することにした。砕け米のカウント方法としては、玄米を100%として、その大きさの40%以下のものを目視で確認してカウントした。籾の量は、1合弱(67g)とした。

実験No. 高速運転時間[s] 低速運転時間[s] 残籾数[個] 砕け米数[個]
1 35 289 241(2g)
2 40 98 330(3g)
3 45 40 407(4g)
4 15 25 47 509
5 20 15 39 537

実験No.1、2、3は、低速運転時間35秒、40秒、45秒で運転した場合の残籾数と砕け米数である。運転時間が多くなるにつれて、残籾数が減り、砕け米数が増えるという結果は、予想通りであった。で、45秒の運転で、残籾数は40、砕け米数は407となったが、残った籾を40個程度なら数分で手で取り除けることと、砕け米数も、400個程度であれば、あまり気にならないレベルであることから、この状態を一つの目安とすることにした。

その後さらに、ハンディーフードプロセッサの運転時間を短縮できないかと考え、ハンディーフードプロセッサの高速運転モードを併用することを検討した。回転刃による籾への衝撃回数が脱皮する籾数と相関があると考えられるので、高速回転によって衝撃回数が増えれば、短い時間でも、一定の脱皮する籾数が得られると考えられるからだ。

実験4、5は、高速運転モードも併用して運転した場合の、残籾数と砕け米数の結果である。実験3の砕け米数よりは、少し大きい値(500個台)を示したが、実験3の45秒に比べて、実験4及び5のトータル運転時間は短い時間(実験4=40秒、実験5=35秒)となり、その時間で、実験3と同程度の残籾数(40前後)を得ることができた。

プラスチック回転刃の効果確認

実験No. 高速運転時間[s] 低速運転時間[s] 残籾数[個] 砕け米数[個]
6 20(10×2回) 269 2665(13g)
7 30(15×2回) 29 7380(36g)

ちなみに、制作したプラスチック回転刃がどれ程の効果があるのか効果を確認するために、ハンディフードプロセッサ標準の金属刃でのデータも改めて収集した。残籾数が29個となった低速運転時間30秒における砕け米数は、7380及んだことから、実験5の537と比べて、砕け米数は約14分の1に減り、制作したプラスチック回転刃に、効果があることが確認できた。なお、砕け米数の選別はなんとかできたが、それをカウントするのはとても大変であったので、1gあたりの個数を205として算出した。

まとめ

古代米を含めた少量の籾摺りが家庭で出来ないかと思い、ハンディフードプロセッサ自作のプラスチック製回転刃を利用して、籾摺りある程度できることがわかった。

昨年、娘が小学校でバケツ稲作をやっていたが、籾摺りとして、すり鉢に籾を入れて軟式野球ボールでこするという時間のかかる作業をやっていたそうだ。自分でもやったことがあるが、労力と時間のかかる作業で結構大変な作業だ。

軟式野球ボールでこすっても、特別な籾摺り機を購入しても良いかと思うが、もしご家庭にハンディフードプロセッサがあるなら、今回行った方式で少量の籾摺りをするのはいかがであろうか。

今後は、制作したプラスチック回転刃の穴がいまいち合わなかった問題の修正、実用的な必要量を現実的な時間で籾摺りできるのかの検証、それから、残る籾の選別装置の自作・実験を行ってみたいと思う。

続く。

家庭でなんとか籾摺りをしたい〜その1〜

昨年は、自然農という方法でお米作りを1から10まで体験した。その中で特に不便を感じた籾摺りについて、家庭でなんとかできないかを考えてみたので内容をお伝えしたいと思う。

自然のでの米作りを体験

自然農での米作りは、無農薬、無肥料、無耕起で行われるが、その大まかな手順は次のようになる。

  1. 4月末、種降ろし→種まき・苗づくり
  2. 6月上旬、田植え
  3. 7月・8月上旬、雑草取り
  4. 11月、稲刈り・稲架掛け(はざがけ、刈った穂を干す作業)
  5. 12月、脱穀(だっこく、稲穂から籾を外す作業)、籾摺り(もみすり、籾から籾殻を取り除き玄米にする作業)

上記以外にも、溝を掘ったり、スズメの食害を防ぐ防鳥ネットを張ったりもした。

9か月間にわたり、車で片道1.5時間以上かけ、2畝分の田んぼをやりくりするのは、結構大変な作業であったが、家族・親戚のヘルプもありなんとか収穫までこぎつける事ができた。この場を借り感謝したいと思う。

収穫したお米は、うるち米の他、赤米、黒米、香り米で、少量ながら多品種の栽培を経験した。特に香り米は、買ったお米に少し混ぜるだけでも、炊いた時の香りが格別で、このお米に出会えた事に感激である。

一方で、個人的に課題と感じた点も多々ある。

植えた苗がカモに倒され(「カモられる」と皆さん呼んでいた)苗の植え直しが発生したこと、草取りが大変過ぎて、雑になってしまったこと等だ。収量が期待していたより少なかった事を考えると、さまざまな要因が改善点としてあるので、次期は、プロセスを見直して、あらたな挑戦をしたいと思う。そして、終盤に感じた問題は、籾摺りの問題だ。

籾摺り機の問題

所属する会で利用できる籾摺り機は、精米機能のある籾摺り機で、私が加減を知らなかったというのもあり、籾を全て外そうと長い時間機械を運転したため、黒米に関しては、黒い皮がほとんど剥がれて白色になってしまった。短い時間で終わらせれば、黒いままの黒米が得られるのだが、その分、籾殻が外れない籾が多くなるからだ。また、機械が大きいが故に、気軽に少量を扱えないという問題もあった。

では、精米機能が無く、籾殻だけを上手くはずしてくれる籾摺り機はというと、メジャーなのが、ミニダップという籾摺り機である。遠心力を利用して籾をゴムにぶつけ、その衝撃で殻を割る方式のようだ。これであればうまく籾殻だけを外すことができるのだが、なにせ高価だし、そこそこ大きいので置き場にも困るので、個人で購入するにはハードルが高い。

そのため家庭用の籾摺り機が欲しいというのが切実な思いである。しかし、ネットで調べても、家庭で使えるような小型の籾摺り機が圧倒的に少ないのだ。家庭用として唯一ネットで見つけたのが、非電化工房さんの非電化籾摺り機だ。だが、一般的なうるち米が対象のようで、米粒のサイズが長いものや雑穀には非対応となっていたので、今回作った黒米は米粒が長いので対応できない可能性が伺えた。

ならば、黒米なんかにも対応できる籾摺り機をどうにか自分で作れないかと思うようになったのだ。家庭にあるものをできるだけ使って、安く抑えたいというのがコンセプトだ。

バーミックスで籾摺り

そこで考えたのが家庭用のハンディフードプロセッサーであるバーミックスの利用だ。容器下部の2枚刃が回転する事で、籾に衝撃を与え、籾殻が外れていくのではないかと考えた。

実際にやってみた。

籾は赤米(紅吉兆・神丹穂がメイン)1合弱。籾をセットして、10秒づつ様子を見ながら回転をする。計40秒程回したあと、蓋を開け、キッチン用のゴミネットを被せて、ドライヤーの風を当てることで、外れた籾殻を吹き飛ばした。

割りといい感じで、籾殻は外れたのだが、一定量の籾がどうしても残ってしまったのと、割れた米が目立ってしまった。

回転時間を増やせば籾殻をほぼ外せるが、割れた米が増えるというトレードオフが起きている。

そこで少しでも、米が割れるのを防ぐために、回転する金属製の刃を、鋭くないプラスチック製に変更したら良いのではと思い、3Dモデルを作り3Dプリンタでプラスチック製の刃を作ってみた。

果たしてその結果は?

次回お伝えしたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その9〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、電池のI-V特性を測定した結果、性能の良いセルを104個用意すれば小型冷却ファン(13mA/0.8V)を動作できそうだという予測がついた。しかし、104個はさすがに数が多いので、セルの性能をアップする事を課題に設定した。

性能アップの鍵⁉︎

そこで研究論文を調べた結果、ナノサイズの酸化鉄コロイド を発電に関わる細菌であるShewanella と共に加えると電流値が50倍以上になる結果を得たという論文があった。私が使用している堆積物の中に、このShewanellaがいるかどうかは不明であるが、いるという前提で、酸化鉄(α-Fe2O3 )ナノコロイドをアノード電極の周りに加えたいと思う。

で、酸化鉄(α-Fe2O3)と言えば、ラスコーの壁画で彩色に用いられたベンガラという赤色顔料と同じ成分であるというが、今回欲しいのは、粒子の大きさがナノサイズのものだ。岡山大学の研究室でナノサイズのベンガラを開発した記事を見たが、残念ながら気軽に購入できる代物ではなさそうであった。そこで天然の酸化鉄(α-Fe2O3)を採取することを調べてみた。

水田や流れのない小川の表面にできる茶褐色の被膜を見た事があるだろうか。被膜の成分には、α-Fe2O3が含まれるという報告もあるので、これがナノサイズであったら都合が良い話である。

という事で、先日さいたま市の市境にあるびん沼川のヘドロと被膜を含む水を採取しておいたので、これらを使って、微生物燃料電池を作ってみた。

アノード電極、カソード電極にグラファイトフェルトを使った電池を今回新たに8個(電池No.25~No.32)作成した。使った土は、びん沼川で採取したヘドロと被膜を含む水だ。写真のように、ペットボトルに採取した時点で、茶褐色の被膜は見えなくなっていた。

動作確認

これらの電池の解放電圧(mV)を1週間測定した。

日数 電池25 電池26 電池27 電池28 電池29 電池30 電池31 電池32
1 283 142 164 117 124 118 247 121
2 408 295 339 297 334 325 370 323
3 484 384 445 394 456 418 438 442
4 550 493 560 495 634 518 509 558
5 604 559 697 568 744 624 575 715
6 714 625 771 641 814 742 657 806
7 791 732 829 755 832 807 768 841

約一週間経過して、各電池とも開放電圧が732mVから841mVの値を示した。その後、No.27とNo.29のI-V特性を測定した。

No.27 12/7とNo.29 12/7の折れ線は、電池作成後、約1週間後のものだ。以前測定したNo.17の性能とあまり変わらないものであった。

そこで、電流を流すことで、微生物活性の向上を狙い、電池4つを直列にして10kΩ抵抗を接続することにした。一つ目(①)は、電池No.25からNo.28の組み合わせ、二つ目(②)はNo.29からNo.32の組み合わせ。4日経過して①および②の負荷電圧を測定すると730mV、1055mVであった。①に負荷電圧が随分小さくなっていたので電池毎の電圧を測定すると、なんとNo.26の出力電圧がマイナス325mVを示していた。理由はわからないが、意図しない事象になってしまった。この事象の理由は、後々検討したいと思う。

電池25 電池26 電池27 電池28 電池29 電池30 電池31 電池32
386 -325 347 316 325 166 293 267

その後、開放状態で放置すること10日。マイナスに振れていたNo.26の電圧は既にプラスに転じていた。再度No.27、No.29のI-V特性を測定したものが、No.27 12/24、No.29 12/24の折れ線である。I-V特性はNo.27 12/7とNo.29 12/7より良くなっていることがグラフから読み取れる。負荷を接続し電流を流すことは、性能向上の一因になったと思われる。

ただ、この性能は、アノードに炙ったステンレス網を使用したNo.7、No.8の結果と大差がないので、さらなる性能向上に挑戦したいと思う。

LEDランプの点灯

せっかくなので、今回作った微生物燃料電池を8個(4個直列x2組)使って、ろうそく風のLEDランプを点灯してみた。ろうそく風なので、明るさが揺らぎ、良い雰囲気が出る。ランプ内にはボタン型のニッケル水素電池が2つ直列になった、2.4V 80mAhの電池が入っていたが、この泥電池でもLEDランプを点灯することができた。負荷接続直後は、負荷電圧/電流が1.8V/1000μA程あったが、電流が少しづつ弱まってきて、一晩経ってみると、1.7V/200μAを切り、僅かな灯火となっていた。もう少し電池を足し、電流を増やしてあげれば、夜のライトアップに使える明るさになると期待している。

写真は負荷接続直後のランプの様子

参考:生きている電流発生菌Shewanellaの電気化学ー 外膜チトクローム c を経由する細胞外電子移動 ー

自然の変化を味わう〜武蔵関公園の池

12月の石神井清掃に参加してきた。

この日もポリ袋などのプラスチックごみが草木に絡まっているのが目立った。その他、お菓子の個包装、タバコの吸い殻、空き缶、ペットボトルを始め、空の財布やカード類も。常習的にここへいろんな物を捨てる輩がいると思われる。非常に残念な話だ。

プラスチックごみの中には時間が経っているため、手で触るとぼろぼろに崩れるポリ袋もあった。大きめのプラスチックが崩壊して、近年話題のマイクロプラスチックになっていく過程がこういうことなんだなと改めて感じる。

さて、先月に引き続き、石神井川の上流は、水量が豊富であった。湧き水の箇所も数カ所あり、見ていると心が洗われる気持ちになる。いい感じの小川が継続しているので、この状態が続いてくれると嬉しい。

下流の武蔵関公園の富士見池も見てきた。9月頃に見たときは、池が緑色のアオコで覆われていた(写真右)が、驚くほど透明度が良かった(写真左)。写真では判らないが、水深4050cmの池底までがはっきりと見える程であった。台風の大雨の時に池の水が全部入れ替わったのだろう。

こちらは、落ち葉の吹き溜まりだ。緩い流れがあるらしく、落ち葉はこの場所に吹き溜まってくるようだ。9月のアオコも同じ場所に集まっていた。このままだと、アオコの残骸もそうだが、この場所に落ち葉が沈み、ヘドロが堆積していく一方である。ヘドロからは、リンなどが溶け出してくるので、来年のアオコ発生の栄養源になってしまう。落ち葉を池から除去すれば、来年夏のアオコ抑制に繋がると思うのだが。

さっ、果たして、この水質はいつまで維持されるのだろうか。移り変わりのある富士見池であるが、こういった自然の変化を観察するのも一つの楽しみだと思う。自分で変化を見つけて楽しんでみてはいかがだろうか。

予想外な景色~びん沼川上流部

先日、さいたま市と川越市および富士見市の境界にあるびん沼川を訪れた。

びん沼川は、荒川の旧河道。明治43年の大水害がきっかけで荒川の直線化工事が行われたことからできた川だ。

びん沼川の下流部は、びん沼調節池として調節池機能をもち、増水時には、新河岸川の水は、新河岸川放水路、びん沼調節池を経て、南畑排水機場のポンプによって強制的に荒川に排水されるという。

市境や県境と言えば川であるが、直線化された荒川の方には市況がなく、旧河道であるびん沼川に市境があるのが、なんとも歴史を感じる部分である。

びん沼川の中下流部は、ヘラブナの釣り場として人気のスポットであるが、人のいない上流部へと向かった。上流部の川岸は雑木林で囲まれており、立ち入りずらい場所であるが、樹々が薄い辺りから進入を試みた。

外側からは全く見えなかったが、内側は予想外の景色であった。かいぼりで水を全部抜いてしまったようにも見えるが、氾濫原の湿地というような景色だ。ちょうど進入した区間は、水が無い場所であったが、この少し上流には池のようになっていた。水利組合のポンプ場のような施設もあったので、ため池として使うために、敢えて堰き止めているのかもしれない。

厚く堆積したヘドロの上に小川が流れている。中央にある小川の流れまで近づこうものなら、足がズブズブと沈んで底なし沼にハマってしまう。こういう時のために、かんじきがあるときっと便利なんだろうと思う。

川の表面には何やら茶褐色の沈殿物や光沢のある被膜が見られた。これは、油が浮いているわけではなく、鉄バクテリアが作り出した酸化鉄だという。被膜には、3価の鉄の酸化物α-Fe2O3 などが含まれているそうだ

α-Fe2O3と言えば、ラスコーの壁画で彩色に用いられたベンガラという赤色顔料と同じ成分だ。沈殿物を採取すれば、壁画が描けるのだろうか。

因みに被膜や沈殿物を手で触っていたが、案の定、手が鉄臭くなった。この臭いって一体?改めて鉄の臭いについて調べてみた。なんと、鉄そのものの臭いではなかったようだ。鉄イオンが皮脂と反応してできる1-オクテン-3-オンなどの揮発性物が臭いの元だそうだ。被膜や沈殿物の付近には鉄イオンも豊富にあるだろうから、私の手からたくさんの臭いが発生したという事だ。

最後に、びん沼川上流のため池を、あめんぼカメラで撮影したのでシェアしたいと思う。

紅葉が綺麗。

水量が増えた11月の石神井川

先日、11月の石神井川の川掃除ボランティアに参加してきた。

この日、まず驚いたのが、川の水量の多さだ。ここ数年、石神井川の様子を観察してきたが、自分観測史上、最多の水量であった。

一体なぜこれほどの水量になったのか?それは、東日本に大雨による洪水の被害をもたらした台風19号の影響であることは容易に想像がついた。

神奈川県箱根町では、台風が上陸した11月12日の日降水量として全国歴代1位となる922.5mmを観測したという。

では、同日の石神井川上流がある西東京市ではどうであったのだろうか。気象庁のデータでは、西東京市に隣接する練馬区のデータが公開されているので、それを参考にしたいと思う。11月12日の日降水量は、なんと282mmを観測し、1976年からの観測史上1位となっていた。そのため1989年8月1日の日降水量が233mmで2位となった。30年ぶりに練馬区の日降水量の記録が塗り替えられるほど、石神井川上流域に大雨が降ったということだ。

さて、大雨から4週間も経過したこの日、石神井川は、見たことのない水の深さとなっていた。胴長を着て川に入ると、膝下まで水が来る。水深50cmは超えていた。いつもは表面が見えている岸辺が、水に覆われてしまっていた程だ。恐らく、台風前における水深の2倍以上になっていたと思う。6月の梅雨前までは、この場所の水が枯れていた事を考えると本当に希な事が起きたと言える。

別の場所では、見慣れない箇所から地下水が滲み出ていたのが確認できた。大雨によって地下水位がだいぶ上がったためと思われる。こんな湧水がポイントが他にも出来上がっていて、そこからの湧き水が、川の水量に貢献しているのだ。

各地で災害をもたらした台風であったが、一方で、地下水という恵みがもたらされたようだ。

また、増えたのは水だけでなく、ゴミも増えていた。いつもの清掃場所に2ヶ月ぶりにきたのだが、枯れ草に絡まるポリ袋ががとても目立っていた。増水時に流されてきたものと思われる。他には、お菓子の個包装、ビニール紐、空き缶、タバコの吸い殻、ガラス瓶、陶器のかけら、ライター、ゴルフボール、カード類、空の財布、コンビニ弁当ゴミ、ポリ袋に詰められたモルタルのようなもの、などなど。

それから、少し下流の場所では、大掃除でもしたのか、明らかに家庭ででた不用品の数々がポイ捨てされていた。丸めると米俵くらいの大きさになるゴムマットのようなもの、アイロン、鍋などなど。大量のゴミが収集された。

上の写真はこの日の成果である。年末に向けて、大掃除も始まる時期だろうが、次回は、粗大ゴミを見ないで済む事を期待したい。

川に増えるのは、水量と多様な生き物だけであって欲しい。

水元公園 睡蓮池のかいぼり リポート

11/4、東京都公園協会が主催する都立公園の池のかいぼりボランティアに参加してきた。

かいぼりとは

かいぼりとは農閑期にため池の水を抜き一定期間干して、清掃、堤や水路にの点検補修を行なう作業だ。近年は、池の水質改善や外来種の駆除を目的に行われる例が増えてきている。かいぼりの効果については、以前の記事にも書いたのでので詳細は省くが、特に水質改善で言えば、池を干すことで底泥の状態を酸素が多い状態(好気状態)に変え、富栄養化をもたらす窒素を底泥から除去(脱窒)することを促すことになる。

水元公園

かいぼりの会場は、葛飾区にある水元公園にある睡蓮池だ。水元公園を代表する池である小合溜(こあいだめ)のかいぼりではない。

ちなみに、私は今回初めて水元公園を訪れたのであるが、園内の広さに大変驚いた。調べてみると、都内23区最大だという。園内にある小合溜という池は、かつての利根川の本流で、江戸時代には溜井(用水池のこと)として利用されていて、50あまりの町村を潤す水源だったそうだ。そのためここを「水元」と呼ぶようになったとのこと。

園内には小合溜につながる池や小川もあり、釣り人にも人気のスポットにもなっている。

現場リポート

さて、上の写真は、かいぼり開始前の睡蓮池の様子だ。池の看板には、睡蓮の他にマコモも生息していると書かれていた(小さいが写真の右上)。マコモに関しては、10月に借りている田んぼの脇でマコモダケが収穫できたこともあり、馴染み深い植物である。イネ科の抽水植物で、人の背丈程に大きくなるが、ここのマコモは、田んぼで見たマコモよりやや小ぶりであった。

さっそく池に進入すると、足がヘドロに沈む。急に深い部分に足を置くと転びそうになる程だ。一歩一歩慎重に歩いていった。

序盤は、睡蓮やマコモがないエリアで、浅場に泳ぐ2cm未満の小魚(カダヤシやモツゴ)やオタマジャクシを捕獲したが、あまりそれ以外の魚が出てこない。

その後、マコモのエリアへ進入していったところ、マコモ近くの深みで、4~9cmほどのフナや、4cmほどのモツゴがぞくぞくと網に入るようになった。水はヘドロの土が撹拌された泥水状態で、魚たちもだいぶ弱ってきているようであった。かいぼり終盤には、水面に横たわるフナがよく見られるようになった。

そんなフナやモツゴを、そしてそれ以上に出てくるオタマジャクシをせっせと捕獲した。

このオタマジャクシの正体であるが、捕獲した生き物の展示ブースに特定外来生物のウシガエルとそのオタマがいたのでの、恐らくウシガエルのオタマだったと思う。10cmを超える大型オタマもいた。このかいぼりで、大部分は駆除されると思うが、かいぼりがなかったら、大量にウシガエルの大合唱があったのだろうか。

かいぼり終了後、本日の結果が簡単に発表された。

大物としては、カルムチーが2個体捕獲された。50cmを超える大物だった。それからミシシッピアカミミガメとイシガメがそれぞれ1個体づつ。

アメリカザリガニはプラ船いっぱいの水揚げだった。

小型の魚類では、モツゴ、ギンブナ、ドジョウ、タイリクバラタナゴ、カダヤシで、メダカはその時点でで確認できていないとのことでった。

昨年に続き、3度目のかいぼり参加であるが、泥だらけになりながら、ひたすら生き物を網で追いかけるのは、新鮮な体験となる。自然から離れた生活をしている人にとっては、良い刺激が得られる事だろう。おススメである。恐らくまた来年もボランティアを募集すると思うので興味があったら応募してみたらいかがだろうか。

私はまた来年も参加したいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その8〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。前回は、8個の電池を追加して全16個の電池を使って、100Ω抵抗に流れる電流と電圧を測定したが、ファンを回すには程遠い結果であった。電流が増えると電池内部の過電圧により、出力電圧が下がってしまうことがあるため、この先いくつ電池を作れば良いのかわからない状態となっている。そこで、もっと先にやるべきであったが、電池の電流−電圧(I−V)特性を測ってみることにした。I -V特性とは電池の出力電流に対する出力電圧を示すもので、電池の性能を測るのに使われている。

電極の組み合わせ

電池は現在、次の3種類の組み合わせがある。No.1の組み合わせが4個、No.2の組み合わせが4個、No.3の組み合わせが12個だ。その中から、2つをピックアップしてI -V特性を測定した。

No. アノード カソード 電池No.
1 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト 8, 7
2 炙ったステンレス網 ステンレス網 10, 11
3 グラファイトフェルト グラファイトフェルト 16, 17

測定方法

測定方法としては、可変抵抗器があれば良いのだが、そんなものはないので、5種類の抵抗を変えて行った。(10kΩ、2kΩ(1kΩ2個使い)、1kΩ、680Ω、100Ω)測定は、値がある程度安定するまで待ってから行った。

結果

電池No.8/10/16の結果

電池No.7/11/17の結果

カソードにステンレス網を使った電池No.10や11は、他に比べると過電圧が大きく、50μAも電流が流れると大きく電圧が低下していた。この状態だと、ちょっと使い物にならない気がする。

また、アノードに炙ったステンレス網を使った電池No.8や7は、アノードがグラファイトフェルトの電池No.16や17と比べて、同じ電流値でより高い電圧を示した。

アノード電極の違いが一つの要因であろう。それともう一つは、泥の違いもあるかもしれない。電池No.4から8は、初期に制作したもので、自転車のスポークについた赤錆を削ぎとったものを入れた経緯がある。微生物燃料電池の論文で酸化鉄ナノコロイドをアノード電極にふりかけることで、電流密度の増加が認められるという話があったので、泥に赤錆が多めの状態になっていたと思われる。そのため、性能に差が生じた可能性もある。

さて、次の手はどうしようか。

電池No.7では、250μA/0.5Vの出力得られたので、もし同じ性能のものがいくつもあった場合、13mA/0.8Vを得るのに、104個の電池が必要な計算だ。(2個直列のセットを52個)

ちょっと104個を作るのは現実的でない。それに同じ性能のものをたくさん作れるかも怪しい。なので、もっと電池一つの性能をあげるのを優先しようと思う。まずは、赤錆添加を試していこうと思う。

続く。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その7〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。今回は、8個の電池をまとめて作ったのでレポートしておこうと思う。

電極について

先日、Aliexpressでグラファイトフェルトをまとめ買いしたので、アノード電極とカソード電極の両方に、グラファイトフェルトを採用した。

採用の理由はもう一つある。

これまで、アノード電極用に、100円ショップで購入できる、ステンレスあく取り網を使っていたが、私が通っているダイソーさんではとうとう商品が入れ替わってしまっていた。薄々感じてはいたが、やはり商品の入れ替わりが早い。そして、代品においては、残念ながら電極には不向きな感じであった。身近な材料で作るという狙いがあったのだが、今後は材料が安定して購入できそうなグラファイトフェルトの採用に寄せていこうと思う。また、グラファイトフェルトの方が、電極としての下準備も少なく、コストもあまり変わらないので、むしろ良いのかもしれない。

堆積汚泥(ヘドロ)の採取

堆積汚泥を採取しようと思い、新河岸川水系のとある小川へ。水はきれいなのであるが、ヘドロが20cm以上溜まっている。この川底のヘドロを網ですくって採取した。

材料

  • 容器
  • グラファイトフェルト(3x100x100mm)
  • ステンレス針金(φ0.9 x130mm)
  • 熱収縮チューブ

手順

1. アノード電極用として、グラファイトフェルトにステンレス針金を対角線に挿して折り曲げる。(長さは容器の外に線を出せる長さで)

2. 絶縁のため、熱収縮チューブを通し、熱を加えて収縮させる。(今回使ったチューブはサイズが合っていないため締まっていない)

3. カソード電極用としても、グラファイトフェルトにステンレス針金を対角線に挿して折り曲げる。(長さは容器の外に線を出せる長さで)

4. 容器の側面上部に導線を通す穴を開ける。

5. 容器にヘドロを入れる。約1.5cm。

6. アノード電極を設置して、針金を容器の穴に通す。

7. さらにアノード電極の上にヘドロを入れる。約3-4cm。

8. カソード電極を設置して、針金を容器の穴に通す。

手順は以上。

同じものを作ること全部で8個。手順もシンプルになり、作るのも手慣れてきた感じだ。

動作確認

これらの電池の解放電圧(mV)を1週間測定した。

日数 電池13 電池14 電池15 電池16 電池17 電池18 電池19 電池20
0 202 255 160 199 58 199 170 109
1 312 345 266 334 163 320 303 298
2 335 366 286 351 270 338 326 347
3 477 565 420 620 501 477 437 484
4 564 658 492 716 658 633 530 544
5 651 629 483 670 688 666 650 625
6 726 675 647 716 697 721 712 707
7 728 675 677 707 686 724 672 736

1週間程経過して電池が育ってきた感じだ。

ここで、これまで作ってきた電池No.5からNo.20の計16個の電池を二つペア(直列)にして、8個の電池とし、これらを並列接続してみた。

この時の解放電圧は、1063mV。その後、100Ωの抵抗を接続し、30分ほど経った後電流を測定すると、2.07mAであった。計算上の抵抗両端の電圧は、207mVになる。電流が増えるにつれ内部抵抗が増えるようだが、電圧がここまで下がってしまった。

さらに電池を作る必要がありそうだが、個々の電池をいくつ直列にするかでも結果が違ってきそうなので、そのあたりも試してみようと思う。

まだ先が長そうだ。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その6〜

微生物燃料電池で小型モーターを回す計画を前回立てたが、電池をもっと増産していかないといけない事がわかった。そこで、微生物燃料電池の増産を少しづつ始めたのでリポートしておきたいと思う。

微生物燃料電池の増産(電池No.9-12)

電極の組み合わせは、アノード電極に炙ったステンレス網、カソード電極に、ステンレス網(炙っていないステンレス網)を採用した。

電池No. アノード カソード
9 炙ったステンレス網 ステンレス網
10 炙ったステンレス網 ステンレス網
11 炙ったステンレス網 ステンレス網
12 炙ったステンレス網 ステンレス網

各電池の開放電圧(mV)の日数変化を以下に示す。

日数 電池9 電池10 電池11 電池12
0 349 370 387 327
1 408 408 432 412
2 576 533 626 610
3 656 631 690 651
4 733 674 760 685
5 740 639 768 681
6 727 664 766 695

思ったより開放電圧が上昇しなかったが、もしかしたら、グラファイトフェルトをカソード電極に使用した時との差が発生しているのかもしれない。もしくは、10月になり気温が下がってきたことによるのだろうか。

その後、負荷を接続してみることにした。電池No.9からNo.12を直列につなぎ、1kΩ抵抗とLEDを接続し、電流を流した。およそ1日経過した後の負荷両端の電圧は2.02Vを示し、その後は1.73V程度に安定し、2週間以上点灯を続けている。

前回作った微生物燃料電池の長期モニタリング

一方で、前回作った電池No.5-No.8の解放電圧も測定を続けた。次の表は各電池の開放電圧(mV)の日数変化を示す。21日目までの結果は、前回の結果を再掲している。

解放電圧45日目にはNo.6の開放電圧が459mVまで下がった。この時、泥が乾燥してきた可能性を疑い、No.5-No.8の電池へ少し水を加えてみた。その結果、50日目にはNo.6の開放電圧は799mVに回復した。しかしその後、61日目には146mVにまで下がってしまった。

日数 電池5 電池6 電池7 電池8
0 583 627 612 594
1 739 794 772 770
2 759 804 779 785
21 872 846 834 816
45 624 459 743 757
50 859 799 828 831
61 846 146 849 794

このように開放電圧が低下する理由として、少しずつ泥が乾燥してきたことが関係しているように思われたので、泥の乾き具合を確認し、湿り気をリセットすることにした。

各電池の泥を一旦取り出してみると、やはり初期の状態に比べると乾燥しているようだった。

上の写真は、電池を作る前の初期の泥の状態であるが、これと比べるとその差は明らかだ。

水を加え、練り直した泥を、電池へ再び充填した。

湿り気をリセットした後の各電池の開放電圧(mV)の日数変化を以下に示す。

日数 電池5 電池6 電池7 電池8
0 531 366 345 541
1 552 466 479 707
2 562 538 530 741
3 591 555 574 750
5 611 567 599 679

電池の解放電圧は、回復の兆しを示したようだ。やはり、時間の経過に伴い解放電圧が低下してくる現象は、泥が乾燥してくることが関係していると言えそうだ。

解放電圧の低下をさせないために、水分の蒸発を抑える工夫が必要かもしれない。ただ、カソード電極での反応では酸素が必要なので、通気性の確保も同時に考慮しないといけないだろう。

失敗から新たに学んだことを活かし、さらに電池の増産に励もうと思う。