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水鉢で稲を育てる〜作り方とボウフラ駆除の方法~

今年でバケツ稲栽培歴は5年目。正確には、バケツというよりもむしろ不要になった鍋を栽培に多用してきたところはある。ただ古びた鍋が多く並ぶよりは、水鉢の方が見た目が良いので、今年はしばらく放置していた水鉢を使って稲を育てることにした。

準備するもの

  • 水鉢
  • 稲の苗

作り方

      1. まずは、水鉢に土を入れる。どれくらい土を入れるかはお好みで調整すればよいが、私の場合、田んぼと小川がコンセプトであるので、田んぼエリアと小川エリアの2区画をイメージし、2/3程度(田んぼエリア)に土を入れ、1/3程度(小川エリア)には水深が深い場所を用意した。なお後日、メダカを入れることも想定している。
      2. 1/3程度の小川エリアの底には、薄く砂を敷く。
      3. 盛った土の境界には、土が崩れないように、石垣のように石を積む。
      4. その後、苗を植える。植える苗は購入してもよいが、事前に育てておくことをお勧めする。4月中旬から下旬にかけて籾を撒いておけば、比較的簡単に育てることができる。今回、ここへ植えたのは、香り米の一種であるシフク。香りがとても良く、比較的たくさん穂をつける種類だ。

5. 最後に水を入れれば完成

ちょうど以前育てていたヒメホタルイがあったので、小さめの鉢に植えて、これも水鉢の中へ入れた。

3週間後、ボウフラが発生

稲は生長を続け、分けつは3本になっていた。まずまずの生長かと思う。

そして、この日、水の中をよく見るとボウフラがたくさんいた。そう蚊の幼虫であるボウフラだ。目視でざっと数えると30匹以上はいそうだった。これら全部を成虫にさせるわけにはいかない。

そこで、庭にあるプラ船の田んぼ池にいるメダカにボウフラ駆除のご協力をお願いすることにした。

始め4匹を投入。彼らは勢いよくボウフラを食べていたが、しばらくして、お腹一杯になったのか、あまり食べていないように思えたので、選手交代。さらに別の10匹を投入した。1時間もしないうちにあんなにたくさんいたボウフラが、ほとんど見えなくなったのだ。

思った以上の活躍をしてくれた。これからメダカの産卵の時期になるので、たくさん栄養をとってくれたのではないかと思う。

では、メダカはどんな様子でボウフラを食べるのだろうか?その様子は動画でご覧いただきたい。

この時期は、水があるとどうしてもボウフラが発生しやすいが、メダカがいればボウフラの発生を抑えてくれるはずだ。だから水鉢田んぼにもメダカがいて欲しい存在である。ただ注意したいのは、水鉢田んぼを作ってから直ぐにメダカをいれないことだ。十分に微生物とか藻が増え、自然に近い環境が整ってから投入したい。水鉢田んぼを作って3週間経過するが、もう少し、微生物や藻が増えてきてから、メダカも一緒に育てたいと思う。

家庭でなんとか籾摺りをしたい〜その2〜

古代米を含めた少量の籾摺りが家庭で出来ないかと思い、アイディアを実践中である。前回は、ハンディフードプロセッサを使って籾摺りを試したが、回転する刃が鋭いためか、籾殻は外れるが、玄米が砕けるものが目立ってしまった。そこで3Dプリンタで鋭くないプラスチックの回転刃を作り、再度試すこととした。

今回制作したプラスチック回転刃

写真上が、ハンディフードプロセッサ付属の金属回転刃。写真下が、今回3Dプリンタで制作したプラスチック回転刃(ナイロン製)。(綺麗な状態で写真を撮り忘れました)

 

回転刃の取り付け

ハンディフードプロセッサのマニュアルに、回転刃の取り外し方が記載されているので、付属のツールを使い金属のパイプを回して外し、回転刃を交換した。精度が0.3mm程度と謳われていたが、穴寸に余裕を持たせなかったため、いまいち穴へのハマりが悪かったが、とりあえずは固定ができた。

籾摺り

籾から籾殻を取り除いて玄米にする工程が一般的に籾摺りと呼ばれているが、その工程は、さらに3つの工程に分けることができる。

  1. 籾から籾殻を外す(脱皮)
  2. 籾殻を取り除く
  3. 玄米の中に残る籾を取り除く

今回のそれぞれの工程の方式は、次のようになる。

  1. ハンディフードプロセッサの回転刃による衝撃で籾殻を外す方式
  2. 唐箕のように風で籾殻だけを吹き飛ばす方式
  3. 手動で取り除く方式。なお、玄米の中に残る籾を取り除く工程がなぜ必要かというと、一度の脱皮作業で籾から籾殻を100%外して玄米にすることは難しく、脱皮できない籾が残るためだ。なので、籾のない玄米を得るためには、玄米の中から籾を取り除き、再び工程1〜3を繰り返す必要がある。

籾から籾殻を外す

籾は前回同様に、赤米(紅吉兆・神丹穂がメイン)1合弱を使用。粒径が長く、芒(のぎ)も長い籾を容器に投入。

蓋を被せて、Lowボタン(低速回転モード)で約40秒(20秒x2回)運転する。ちなみにこのハンディフードプロセッサには、LowボタンとHighボタン(高速回転モード)がある。

籾殻が外れているのが確認できる。

籾殻を取り除く

籾殻を取り除くには、一般的に唐箕(とうみ)と呼ばれる、風を起こして籾殻を吹き飛ばす装置を使う。しかし、家庭には通常ないので、家庭にありそうなものでやりたい。そこで考えたのが、キッチンシンクで使うゴミネットを容器に被せて、ドライヤーの風で籾殻を吹き飛ばす方法だ。

風を当てる角度をうまく調整し15秒から20秒も風を当てれば、ネットに籾殻が溜まっていく。ネットに溜った籾殻を適宜取り除きながら数回繰り返すことで、ほぼ籾殻は無くなった。ただ細かいゴミがネットを通り抜けて、周辺が粉だらけになるので、汚れても良い屋外でやるか、事前に水切りボウルなどでふるいをかけ、細かいゴミを取り除いてから風を当てた方が良さそうであった。

玄米の中に残る籾を取り除く

玄米の中に残る籾を取り除く工程では、万石(まんごく)式、回転式、揺動式といくつかの方式があるそうだが、今回は、手動で籾を選別した。

薄いトレーに適量移し籾をピックアップしていく。地味な作業で時間はかかるが確実な方式でもある。今後は自作の籾選別機を作って他の方式を試して行きたいと思う。

で、よく見てみると、やはり砕け米が混じっている事が判明した。ハンディフードプロセッサの運転時間が長かったのかもしれない。なので、次はハンディフードプロセッサの運転時間を変えてちょうど良い塩梅を探ることにした。

適切な運転時間を探る

では適切な運転時間を決めるに当たって、具体的な数値による評価基準を決めたいと思う。評価基準としては、籾摺り終了後における、取り除けなかった籾数(残籾数)と回転刃の衝撃による砕けた米の数(砕け米数)を計測することにした。砕け米のカウント方法としては、玄米を100%として、その大きさの40%以下のものを目視で確認してカウントした。籾の量は、1合弱(67g)とした。

実験No. 高速運転時間[s] 低速運転時間[s] 残籾数[個] 砕け米数[個]
1 35 289 241(2g)
2 40 98 330(3g)
3 45 40 407(4g)
4 15 25 47 509
5 20 15 39 537

実験No.1、2、3は、低速運転時間35秒、40秒、45秒で運転した場合の残籾数と砕け米数である。運転時間が多くなるにつれて、残籾数が減り、砕け米数が増えるという結果は、予想通りであった。で、45秒の運転で、残籾数は40、砕け米数は407となったが、残った籾を40個程度なら数分で手で取り除けることと、砕け米数も、400個程度であれば、あまり気にならないレベルであることから、この状態を一つの目安とすることにした。

その後さらに、ハンディーフードプロセッサの運転時間を短縮できないかと考え、ハンディーフードプロセッサの高速運転モードを併用することを検討した。回転刃による籾への衝撃回数が脱皮する籾数と相関があると考えられるので、高速回転によって衝撃回数が増えれば、短い時間でも、一定の脱皮する籾数が得られると考えられるからだ。

実験4、5は、高速運転モードも併用して運転した場合の、残籾数と砕け米数の結果である。実験3の砕け米数よりは、少し大きい値(500個台)を示したが、実験3の45秒に比べて、実験4及び5のトータル運転時間は短い時間(実験4=40秒、実験5=35秒)となり、その時間で、実験3と同程度の残籾数(40前後)を得ることができた。

プラスチック回転刃の効果確認

実験No. 高速運転時間[s] 低速運転時間[s] 残籾数[個] 砕け米数[個]
6 20(10×2回) 269 2665(13g)
7 30(15×2回) 29 7380(36g)

ちなみに、制作したプラスチック回転刃がどれ程の効果があるのか効果を確認するために、ハンディフードプロセッサ標準の金属刃でのデータも改めて収集した。残籾数が29個となった低速運転時間30秒における砕け米数は、7380及んだことから、実験5の537と比べて、砕け米数は約14分の1に減り、制作したプラスチック回転刃に、効果があることが確認できた。なお、砕け米数の選別はなんとかできたが、それをカウントするのはとても大変であったので、1gあたりの個数を205として算出した。

まとめ

古代米を含めた少量の籾摺りが家庭で出来ないかと思い、ハンディフードプロセッサ自作のプラスチック製回転刃を利用して、籾摺りある程度できることがわかった。

昨年、娘が小学校でバケツ稲作をやっていたが、籾摺りとして、すり鉢に籾を入れて軟式野球ボールでこするという時間のかかる作業をやっていたそうだ。自分でもやったことがあるが、労力と時間のかかる作業で結構大変な作業だ。

軟式野球ボールでこすっても、特別な籾摺り機を購入しても良いかと思うが、もしご家庭にハンディフードプロセッサがあるなら、今回行った方式で少量の籾摺りをするのはいかがであろうか。

今後は、制作したプラスチック回転刃の穴がいまいち合わなかった問題の修正、実用的な必要量を現実的な時間で籾摺りできるのかの検証、それから、残る籾の選別装置の自作・実験を行ってみたいと思う。

続く。

家庭でなんとか籾摺りをしたい〜その1〜

昨年は、自然農という方法でお米作りを1から10まで体験した。その中で特に不便を感じた籾摺りについて、家庭でなんとかできないかを考えてみたので内容をお伝えしたいと思う。

自然のでの米作りを体験

自然農での米作りは、無農薬、無肥料、無耕起で行われるが、その大まかな手順は次のようになる。

  1. 4月末、種降ろし→種まき・苗づくり
  2. 6月上旬、田植え
  3. 7月・8月上旬、雑草取り
  4. 11月、稲刈り・稲架掛け(はざがけ、刈った穂を干す作業)
  5. 12月、脱穀(だっこく、稲穂から籾を外す作業)、籾摺り(もみすり、籾から籾殻を取り除き玄米にする作業)

上記以外にも、溝を掘ったり、スズメの食害を防ぐ防鳥ネットを張ったりもした。

9か月間にわたり、車で片道1.5時間以上かけ、2畝分の田んぼをやりくりするのは、結構大変な作業であったが、家族・親戚のヘルプもありなんとか収穫までこぎつける事ができた。この場を借り感謝したいと思う。

収穫したお米は、うるち米の他、赤米、黒米、香り米で、少量ながら多品種の栽培を経験した。特に香り米は、買ったお米に少し混ぜるだけでも、炊いた時の香りが格別で、このお米に出会えた事に感激である。

一方で、個人的に課題と感じた点も多々ある。

植えた苗がカモに倒され(「カモられる」と皆さん呼んでいた)苗の植え直しが発生したこと、草取りが大変過ぎて、雑になってしまったこと等だ。収量が期待していたより少なかった事を考えると、さまざまな要因が改善点としてあるので、次期は、プロセスを見直して、あらたな挑戦をしたいと思う。そして、終盤に感じた問題は、籾摺りの問題だ。

籾摺り機の問題

所属する会で利用できる籾摺り機は、精米機能のある籾摺り機で、私が加減を知らなかったというのもあり、籾を全て外そうと長い時間機械を運転したため、黒米に関しては、黒い皮がほとんど剥がれて白色になってしまった。短い時間で終わらせれば、黒いままの黒米が得られるのだが、その分、籾殻が外れない籾が多くなるからだ。また、機械が大きいが故に、気軽に少量を扱えないという問題もあった。

では、精米機能が無く、籾殻だけを上手くはずしてくれる籾摺り機はというと、メジャーなのが、ミニダップという籾摺り機である。遠心力を利用して籾をゴムにぶつけ、その衝撃で殻を割る方式のようだ。これであればうまく籾殻だけを外すことができるのだが、なにせ高価だし、そこそこ大きいので置き場にも困るので、個人で購入するにはハードルが高い。

そのため家庭用の籾摺り機が欲しいというのが切実な思いである。しかし、ネットで調べても、家庭で使えるような小型の籾摺り機が圧倒的に少ないのだ。家庭用として唯一ネットで見つけたのが、非電化工房さんの非電化籾摺り機だ。だが、一般的なうるち米が対象のようで、米粒のサイズが長いものや雑穀には非対応となっていたので、今回作った黒米は米粒が長いので対応できない可能性が伺えた。

ならば、黒米なんかにも対応できる籾摺り機をどうにか自分で作れないかと思うようになったのだ。家庭にあるものをできるだけ使って、安く抑えたいというのがコンセプトだ。

バーミックスで籾摺り

そこで考えたのが家庭用のハンディフードプロセッサーであるバーミックスの利用だ。容器下部の2枚刃が回転する事で、籾に衝撃を与え、籾殻が外れていくのではないかと考えた。

実際にやってみた。

籾は赤米(紅吉兆・神丹穂がメイン)1合弱。籾をセットして、10秒づつ様子を見ながら回転をする。計40秒程回したあと、蓋を開け、キッチン用のゴミネットを被せて、ドライヤーの風を当てることで、外れた籾殻を吹き飛ばした。

割りといい感じで、籾殻は外れたのだが、一定量の籾がどうしても残ってしまったのと、割れた米が目立ってしまった。

回転時間を増やせば籾殻をほぼ外せるが、割れた米が増えるというトレードオフが起きている。

そこで少しでも、米が割れるのを防ぐために、回転する金属製の刃を、鋭くないプラスチック製に変更したら良いのではと思い、3Dモデルを作り3Dプリンタでプラスチック製の刃を作ってみた。

果たしてその結果は?

次回お伝えしたいと思う。