「レジ袋要りません」の返しは〇〇が良い

8月の石神井川の川掃除に参加して来た。

先月よりも草の勢いがすごく水面が見えない程であった。写真では分かりづらいが、壁面沿いに水があり、梅雨に降った雨が小川のように少しづつ流れている。

さて、ゴミの方であるが、上流から流されてきたと思われるプラスチックの包装ごみが多く目立った。いわゆるお菓子の個包装や、たばこの透明な包装、半透明のポリ袋等だ。おそらく川に捨てたというよりは、街中で捨てられたゴミが風で飛ばされ川に集まってきたという経路が多いのではないかと思う。大物では、原付バイクのバッテリーや、工事で使った板のようなものもあった。

近年、海洋プラスチックゴミの問題が話題に挙がっているが、海洋にあるプラスチックごみの8割は陸域が由来だと推定されている。つまり人の生活の中で出たプラスチックゴミの多くが川を経由して海へ流れているのだ。この日見つけたプラスチックゴミも、拾わなければ、いづれ石神井川から隅田川を経由して東京湾へ流れ着いていくのだろう。

なので、川ごみ、海ごみを減らすには、ポイ捨てをしないことはもちろん、各個人のプラスチックゴミを減らす意識がとても重要だと思う。そこで個人的には、マイバックでの買い物を実践しており、レジ袋を貰わない生活を続けている。

最近感じるのは、買い物の時「袋いりません」と言った時の店員の反応が様々なことだ。

コンビニやスーパーでは「ご協力ありがとうございます」という言葉がほぼ返ってくるが、店によっては「(えっ)袋いらないですか?」と聞き返してくる場合がある。かっこ付きで「えっ」と書いたのは、店員さんの心理を私が察したものだが、私が何か変わった事をしているような気にさせる一言だ。プラスチックごみを減らすためにレジ袋をもらわないようにしている人がいるってことを知らないのではないかと感じてしまう。

あるいは、購入点数が複数なので、「袋があった方が良いんでは」と気を利かせて言ってくれたのだろうか。何れにせよ、店員さんにとって私の行動がイレギュラーであったため、確認をしたのだろう。レジ袋を貰わないようにしている人が来るって分かっていれば、きっと「レジ袋削減のご協力ありがとうございます」のリアクションになるのではないだろうか。うん、ぜひそう言って欲しい。

早く、「レジ袋削減のご協力ありがとうございます」というリアクションが主流な世の中になって欲しいと願う出来事であった。

皆さんも、プラスチックゴミを減らすために、できることから始めてはいかがだろうか?

ある時は雑草、またある時は観賞用

自然農による米づくりを勉強しているが、6月の田植え、7月は草取りをなんとか終えることができた。

特に草取りは、5x15mの区画に対して、実質まる3日を費やしたと思う。車で田んぼまで片道1.5時間という事もあり、行くまでも大変であったのだが、刈った草がすぐに再生してしまうことには、大変苦労した。

まず、キシュウスズメノヒエと言うイネ科雑草だ。これが超曲者。這って伸びるのだが、刈ったつもりでその場に放置しておくとまたすぐ根を張って伸びてくる。

次に、サンカクイ(だと思う)というカヤツリグサ科の雑草。こちらも地上部分を刈ったとしても、地下茎が残っているので、地下茎から新しい目がどんどん伸びてくる。1週間で10cm以上のスピードで成長しているように感じた。

一番初めの草取りでは、対処法が適切でなかったため、多くが再生してしまった。約1月後、前の状態に戻ってしまった。

このエンドレス草取りループを断ち切るべく、後半戦からは、キシュウスズメノヒエの長いツタは再生しないようになるべく細かく切り刻み、サンカクイはなるべく地下茎を引き抜くことを心掛けた。

キシュウスズメノヒエについては、ツタを切らずに抜いて、田んぼの外にどかせば、再生のリスクは消えるのだが、自然農の原則では、刈った草はその場に戻して循環させるので、わざわざ切り刻むことをするのだ。(ただ、これも大変で、やり切れずに、一部は田んぼの外にどけたものもあることは正直に言っておこう。)

地上部を刈ってその場に置くだけならなんてことない作業であるが、これら雑草との闘いに、かなり時間を割く結果となった。

さて、田んぼでは嫌われる雑草たちであるが、ビオトープの一要素と考えると価値のあるものに変わる。

先日訪れたビオトープ池では、小川が注ぐ池となっており、細長く伸びるサンカクイ(だと思う)がアクセントとなって小川と池の景観に一役買っていた。思えば、自宅のプラ船池でも景観を良くするために、サンカクイを導入したいと思ってきた。

同じく田んぼの雑草であるコナギも、以前、捨ててあったものをプラ舟池に移植したことを思い出した。

サンカクイもコナギも、ネットで見ると観賞用の水草として販売されている程だ。買ってくれる人がいるなら、私の草取りのやりがいもきっと増すに違いない。地上部を刈っても刈っても芽が出てくるやつらは、さぞ丈夫で育てやすいのだろう。

雑草と見るか観賞用と見るかは、モノの捉え方の問題だ。どうせなら、色んな見方ができるようになりたいと思う。

血液のように流れるたんぼの〇〇

先日は、さいたま市丸ヶ崎にある田んぼの排水路の草刈りに参加してきた。

4月中旬には、用水のU字溝の堀さらいがあったが、この日は排水路やその周りに生えた草の草刈りを行なった。排水路の水の流れを良くするのが目的だ。用水の溝はU字溝に整備されていたが、排水の溝は素掘りであり、いい感じの小川となっていた。ただ、水の流れる期間は限られるのが残念なところではある。

先頭を進む部隊は草刈り機で草を刈っていき、後ろの部隊が、ノコガマで、流れの邪魔になるような草を刈って、溝の横にどけて行く作業であった。

 

溝の中を歩いていると、たくさんのザリガニ、カエル、、タニシに出くわした。1匹だけ弱っているフナも見つけたが、他の魚は確認できなかった。近くのザリガニがそのフナをハサミで挟もうとしていたが、私はその場を見守るしかなかった。もし助けたら、フナの恩返しのようなストーリー展開になっていただろうか。

さて、この地域の田んぼでは、用水と排水がそれぞれ分かれているが、水の流れがどうなっているか気になったので整理してみた。

まず、見沼用水(見沼代用水東縁)の水は、基幹の水路を通り、地域の田んぼへと向かう。水は、さらに細い水路(幅20cm程のU字溝)へ枝分かれし、各田んぼの側まで運ばれる。各田んぼに水を入れる場合は、U字溝と田んぼを繋ぐ管が施設されているので、その蓋を開けることになる。

一方、排水は、およそ逆のプロセスを辿る。

各田んぼの側には細い排水路(幅50cm程の素掘り)があり、用水のU字溝より低い構造となっている。排水したい時は、やり方はいくつかあると思うが、田んぼと排水路を仕切る畔に小さい溝を切る。田んぼの水は、排水路を通り、基幹の排水路へと流れる。そして基幹の排水路から最後は、深作川へ注ぐ。

考えてみると、人間の心臓から送り出された血液が動脈から毛細血管を通り各細胞へ送られるのと同じような感じだと思う。

血液が酸素や栄養素を運んで来て、細胞でそれらを利用して、命を維持するためのエネルギーを生産するのと同様に、用水が栄養素を運んで来て、田んぼ(稲)でそれらを利用して、人の命を維持するためのエネルギー(お米)を生産するのだ。

昨今は血液の流れが悪くなることでさまざまな病気を引き起こすと言われているが、用水・排水の流れも同じで、流れを常によくしてあげる必要がある。

そう考えると、用水・排水のメンテナンスはとても重要な作業であると言える。

この作業のおかげで、きっと健康に稲が育ってくれることを祈る。

小川へのポイ捨てを減らすアプローチ~再び苗を植える~

梅雨空が続く東京、約1月ぶりに、石神井川の中州に植えた苗の様子を見に行った。

梅雨の雨で、石神井川のこの場所にようやく水の流れが戻ってきた。

川底にも水草がしっかりと生えてきて、1ヶ月ですごい変わりようだ。水が来るのをじっと待っていたのだろうか。生命力の強さに驚かされる。

さて、苗を植えたのが6/1、まだ梅雨入り前であったため、水枯れや増水で苗が流される心配が予想されていたが、残念ながら、苗は跡形もなく消えていた。

覆っていた草が減り、土がやや露出気味になっていたので、土が乾燥した事も疑われるが、付近のイネ科雑草が一方向に倒されている形跡を見ると、増水で中州の表面を水が流れ、苗が流れた可能性は高い。

ちなみに、西東京市のお隣である練馬区の気象庁過去データを見ると、降水量は、5月=96mm、6月=239mmとあり、6月は5月の約2.5倍もの降水量があった。2018年の6月の降水量113mmと比べても2倍以上だ。6月の降水量としては多めであったようだ。

とは言っても、こればっかりは仕方がないので、バックアップで用意していた苗を再び植える事にした。

この時期であれば、分けつが始まっているサイズの苗を使いたかったのだが、小ぶりなサイズしか残っていなかったので、それを使った。

植え方は少し工夫を凝らした。前回は、苗を植えた後、土の保湿のために、刈った草を苗の周りに敷いていが、土が露出気味であった事をみると、敷いた草も流された可能性がある。なので、今回は、根が張った状態で倒れているイネ科雑草の隙間へ苗を植えた。これが、土の保湿と、苗の流出防止にプラスに働くことと期待している。

今回がラストチャンスになりそうなので、なんとか育って欲しいと思う。

田植えをすると…

田植えと言えば、近年はゴールデンウィークの時期を思い浮かべる人が多いと思うが、本来の田植えの時期は6月であったことをご存知であろうか?

お世話になっている自然農の会がある地域のお祭りが7月にあるのは、昔の田植えが6月であった名残だと聞いた。田植えが終わった後に、豊作を祈願するお祭りだったそうだ。

私が借りている自然農の田んぼでも、6月に田植えを始めた。5mx15m程の区画が2つあり、家族親戚にも少し手伝ってもらい、なんとか3日間で植え終える事ができた。1600本以上植えた計算だ。数が多いことに加え、不耕起の田んぼへ、一本ずつ苗を植える作業は、思いの外、大変な作業であった。お祭りで豊作を祈願すると同時に「お疲れ~」と酒を酌み交わしたくなる気持ちが少し分かった気がする。

一方で、我が家のプラ舟池は、半分を田んぼにし、そしてここでミナミメダカを飼っている。田んぼと小川の生態系の再現がコンセプトだ。実際には小川のように水の流れがある訳ではないが、田んぼと小川の世界観というか日本の原風景を自宅で楽しんでいる。

この田んぼ池では、メダカが卵を産み、稚魚が成長し、また卵を産むといった自然界の営み、そして稲穂を収穫し、種籾から作った苗を植え、また収穫したお米を頂くといった米作りの営みが、同時に体験できる。これが、この田んぼ池の最大の特長だ。

「メダカは水槽で、稲はバケツで育てるから、一緒にしなくていいよ」と言う人もいると思うが、バケツで稲を育てる場合、ボウフラが発生した時に、それを食べてくれるメダカがいてくれた方が、心強い。その点、田んぼ池にメリットがあると思う。

日本人の主食であるお米がどんな風にしてできるのか体験しつつ、田んぼの周辺に生息しているメダカについても知る機会になるので、興味があったらぜひ実践して欲しいと思う。

ちなみに苗であるが、昨年は、一箇所に苗3本を植えるやり方をしたが、今年は自然農のやり方に習い1本植えとした。稲は成長の過程で、分蘖(ぶんけつ)と言って、根本から新芽が出て株分かれするのだが、一本植えの方が、複数本植えるより、分蘖が進むのだそうだ。一本から何本にまで増えるのかについても、とても興味があるので、観察を続けたいと思う。

最後になるが、上の写真はクワイである。先日の田植えの時に、田んぼに生えていたのを見つけたので、田んぼ池へ移植してみた。矢じりの形をした葉の形状が、なんだかカッコ良い。田んぼの雰囲気も高めてくれるので気に入っている。

おせち料理のあの芋みたいなやつが、クワイだったというのも、ネットで知っていたが、実際のクワイを目の前にすると、知識が繋がって嬉しくなる。田植えの経験もそうだが、実際に育ててみる事がやっぱり大事だな〜と思う。

小川へのポイ捨てを減らすアプローチ~苗を植える~

6月の石神井川ゴミ拾いに参加してきた。引き続き水の流れがない状態が続いている。5月の大雨で水の流れが復活すると期待したが、あの雨水は1週間も持たずにカラカラになってました。

ここは、先月もゴミ拾いを行なった場所であるが、やはり一月経つとゴミが出てくる。雨で流されてきたと思われるビニール袋が多く目立った。コンビニ弁当のゴミ袋が丸ごと捨てられているのも、後を絶たない。結果、この場所で二袋分のゴミが集まった。

そう言えば、こんな住人もいたので、念のため紹介しておく。アオダイショウだと思う。私とにらめっこした後、スルスルと向こうの方へ行ってしまい、うまいことカメラには収められなかった。これではロープにしか見えない。

さて、先日の記事でも書いたが、この場所で稲を育てることで、ゴミのポイ捨てを抑制できるかの実験を考えている。そのために、自宅の庭先で、稲の苗を育ててきた。

3年前ホームセンターで購入した苗であるが、種を繋いできた結果、今年で第四世代の種籾からの苗になる。

今回この苗を、この中州へ植えてみる。ただ、いろいろ不安な要素がある。水がないので枯れないか?大雨で増水した場合に苗がなぎ倒されないか?この日の中州の植物を観察すると、先日の雨による増水で、細長い系の雑草は、なぎ倒されていたので、かなりやばいかもしれない。

まぁ、もともと思いつきで進めていることなので、失敗は覚悟しているので、やるだけやってみようと思っている。

植えた場所の一つがここだ。全部で3か所やった。表面は枯草が積み重なっていて、一見とても乾燥しているようにみえるが、その下を掘ると、意外にも湿り気が多い。考えてみれば、他の雑草が生えていられるのも枯草の下に湿り気があるからだ。

で、自然農のやり方に準じて、一本植えをやってみた。間隔は少し狭かったかもしれないが、約20cmとした。このまま成長してくれればの話であるが、この1本から10本、20本と分蘖(ぶんけつ)していくはずである。

今後は、苗が雑草に負けないように多少人の手助けが必要になる。川掃除は来月なので、それまでに、できれば除草しに行きたいところだ。

直ぐに枯れておりませんように!

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その4〜

前回では、炙ったステンレス網とグラファイトフェルトを使った電極の組み合わせによって、それぞれどれ程の電圧が出るのかを試した。4つの微生物燃料電池を作り、1つは900mV、2つは700mV以上の電圧が発生し、まずまずの結果を得ることができた。

今回は、いよいよ、これらを直列につないで、LEDを点灯しようと思う。

一般的な赤色のLEDでは、順電圧が2V程度で、LEDが点灯できるので、既に十分な電圧ではないかと予想している。

LEDの点灯

これまで作った微生物燃料電池4つを直列に繋ぎ、その電圧を測ったところ約2.7Vが確認できた。その後、10kΩの抵抗、LEDを直列に繋ぎ回路を組んだところ、めでたくLEDを点灯することができた。

構想から約二ヶ月もかかっただけに、このLEDの光は、どんなクリスマスのライトアップよりも感慨深い。

さて、この時の電池電圧は、2155mV。負荷を繋ぐ事で、解放電圧から500mV以上下がった。この状態で一晩(8時間)経った後は、2092mV。少しづつ電圧が落ちているがまだまだ点灯している。

10kΩ抵抗の両端の電圧は、404mVが測定できたので、この回路に流れる電流は、計算上約40μAになる。

2日ほど連続運転させたが、電圧約2Vを保ちLEDは点灯を続けている。しばらくの間は、このまま点灯を続けそうだ。

壁掛け時計を動かす

さて次は、壁掛け時計を動かしてみたいと思う。

と、その前に、それぞれの微生物燃料電池の解放電圧(mV)を計っておこう。

電池1(実験1) 電池2(実験2) 電池3(実験3) 電池4(実験4)
509 740 421 793

電池1はこれまで900mVの電圧があったが、LEDの点灯で状態が変わってしまったようで、電圧が509mVにまで下がってしまった。しかしそれでも直列につないだ合計は約2.4Vある。通常は1.5Vで動作する時計に2.4Vを入れて大丈夫?と思うが、負荷を繋ぐと電圧が下がるので、この電圧でまずやってみた。

洗面所に、単三電池一本で動作する壁掛け時計があったので、これを拝借した。(無印良品のもの)。その結果、見事、時計が動くのが確認できた。

負荷接続時の電池電圧は1406mVであった。約2時間後、1362mVにまで下がったので、時計が止まるのも時間の問題か?と思ったが、約12時間後の電圧は1448mVで、時計も順調に動いていた。

その後も連続運転を続けたかったが、「洗面所の時計が消えた」という我が家の事件を解決すべく、この実験はここで終了とした。

さて、ここまでで来たので、次の目標を考えたいと思う。同じものを量産して、スマホが充電できるようにするとか、よりコンパクトになる構造を試すとか、いくつか考えられる。

何か報告できるようになったらまたお伝えしたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その3〜

前回は、ステンレス網を炙って表面を酸化鉄に変化させた電極を作って実験を行なった。今回は、教育用に市販されている微生物燃料電池キット(MudWatt)でも、電極として使われているグラファイトフェルトを試してみたいと思う。グラファイトとは鉛筆の芯に使われている黒鉛のことで、炭素原子「C」の結晶の一つ。つまり、グラファイトフェルトは、黒鉛化した炭素繊維で作ったフェルトのことだ。

グラファイトフェルト選びで注意したポイントは電気抵抗率。フェルトの抵抗が高いとその分、電圧降下が発生するので、取り出せる電力のロストなるからだ。

ネットで購入できそうなところは、それほど多くはなかったが、購入したのがこちら。PANCF3100100 (Hi-Tech Carbon Co.,Limited)

スペック上は、電気抵抗率は 0.18-0.22 ohm・cmであり、十分小さいと思われる。

炭素含有量については、Carbon content: 97%と記載されていた。似たような他の商品では、炭素含有量が99%とより高いものもあるのだが、その違いによる影響が見えなかったので、まずはこれでやってみようと思う。

ちなみに、商品は、AliExpressで購入し、送料無料でリーズナブルなのは良かったが、中国からの輸入になるので、商品の注文から到着まで三週間以上かかりずいぶん待たされた印象だった。ここで買うときは時間と心のゆとりが必要かもしれない。

では、レッツDIY!

っと、その前に。実は前回までに電極に使っていた細い電線であるが、やはり細すぎて、ちょっと引っ張っただけで切れてしまった。電圧測定の際に、測定値が不安定であったため接触不良を疑い、電線を触っていたら、あっけなく切れてしまったのだ。なので、より太くしっかりとした電線を使用することとした。

また今回、新たにグラファイトフェルトを入手したので、炙ったステンレス網の電極とも比べてみたいと思う。

実験について

アノード(負極)とカソード(正極)に使う電極の組み合わせによって次の3つを比較する。ただ、比較と言っても、あまり計画的に事を進めてこなかったので、実験で使う土を同じ条件にそろえて比較することができなかった。実験をするたびに、土が足りずに、別の土を使ってしまった。なので、今回は、電極によってざっくりどんな実力があるのかを確認したいと思う。

実験No. アノード カソード
1 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト プラ船の田んぼの土
2 グラファイトフェルト グラファイトフェルト 川底のヘドロ
3 炙ったステンレス網 炙ったステンレス網 田んぼの土

アノードにグラファイトフェルト、カソードに炙ったステンレス網という組み合わせもあるが、炙ったステンレス網は電流発生菌を集めやすいというアノード電極向けの意味合いが強いので実験では割愛した。その代り、一番期待をしているNo.1の電極での結果に再現性があるのか見たかったので、No.4の実験として、No.1と同じ電極の組み合わせをもう一つ作ってみることにした。

実験No. アノード カソード
4 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト 川底のヘドロ

 

ちなみに川底のヘドロは、さいたま市の深作川という小川から採取したものだ。上の写真の場所では、農業排水が注ぎ込んでおり、ヘドロが程よく堆積していた。臭いは、はっきり言って臭い。

ゆくゆくは、こうした場所で微生物燃料電池を利用して、ヘドロの分解を促進し、水質浄化に繋げていきたいと思う。

電極作り3〜炙ったステンレス網(改1)〜

材料
  • ステンレスの網(アク取り)
  • 電線(φ3 x250mm)
  • 針金
手順

1. 前回の電極作り2で行った手順と同じだが、電線だけより太い電線に変更する。

2. 針金によって電線をステンレス網に固定する。

以上

電極作り4〜グラファイトフェルト〜

材料
  • グラファイトフェルト(3x100x100mm)
  • 電線(φ3 x250mm)
手順

1. 導線の被覆を約9cm剥き、中の銅線を半分に分ける。(一辺が10cmのフェルトに刺すので、それより短かめとした)

2. それぞれの銅線を縒って、銅線にはんだを馴染ませる。

3. はんだを付けた部分をフェルトに差し込む。(線がフェルトから出ないように慎重に差し込む。)

以上

電極作り5〜炙りステンレス網(改2)〜

新たにステンレス網(アク取り)を購入するために、別の100円ショップに行ったら、取っ手の棒がメッシュを囲うように繋がっているものを発見した。これであれば、取っ手が電線の替わりなりそうである。電線をメッシュ部分に取り付ける手間や、接続箇所の接触不良の心配が減るので、これも使ってみることにした。

材料
  • ステンレスの網(アク取り)
手順

1. 容器の中にステンレス網が収まった状態の時に、取っ手の棒が端子として容器の外へ取り出せるように、取っ手の棒をカットして、先端部分は曲げる。

2.メッシュ部分とその枠をガスコンロの火で炙る。全体的に飴色になれば良い。

棒の部分が剥き出しだと、ショートしたりして良くないので、容器の外に出る部分は、端子となる先端を除いてビニールテープ等を巻いた方が良いだろう。

念のため、電極作り3で作った電極と今回作った電極についての電線を含めた内部抵抗を測ってみた。どちらも1Ωより十分小さい値を示していたので、電気的特性にほとんど差はないとみている。

以上

実験結果

次の表は、各実験で測定した解放電圧(mV)が日数の経過でどう変化したかを示す。(日数0は作った直後を示す。)

日数 実験1 実験2 実験3 実験4
0 279 46 309 444
1 441 504 369 376
2 795 718 335 425
3 878 740 200 680
4 894 773 416 727
5 905 796 188 762

実験1での結果は、5日目で905mVに達し、かなりいい感じになってきた。電極作りの参考にした動画の結果では、830mVであったので、電圧ではそれを上回る結果がでた。

実験2、実験4では、実験1の結果には及んでいないが、700mVを越え、こちらもいい感じだ。ただ、実験4に関して、実験1の結果の再現ができていないので、もうしばらく電圧測定を続け、様子をみようと思う。

そして、実験3であるが、明らかに何かがおかしい。3日目まで、値がどんどん下がってしまったのだ。カソード電極は、お玉の形状をしているので、土と接触している部分が少ないから?と原因を推測し、電極が平らになるように、網目に十字の切れ込みを入れてみた。

9時間後、電圧を計測したが、結果は思わしくなかった。うーんと、原因について悩んでいたのだが、ふと気づくとアノード電極とカソード電極が接触していたのに気づいてしまった。電極作り5で作った電極を使っていたが、取っ手の棒が被覆されていないので、カソード電極をいじっているうちに、接触してしまったようだ。

痛恨のミスをしてしまったが、これも良い勉強である。

電極の接触が無いことを確認し、しばらく様子をみていると、電圧はいい感じで回復した。416mVを観察した。この値を4日目の値とした。

しかし5日目、またもや188mVに下がってしまった。電極の接触はない。電極の不具合だと思うが、原因究明するのも難しそうなので、ここまでを一区切りとした。次回、カソード電極を新しいものに交換して様子をみたいと思う。

続く。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その2〜

前回は、電極としてステンレス網に活性炭を接着し、押しつぶすことでナノポーラス構造のカーボン電極を作ることを期待していたが、プレスする道具がなかったので、上手くいかなかった。今回は、特殊な道具なしで簡単に作れる方法を調査し、試すこととする。

電極作り2〜炙ったステンレス網〜

WEBで情報を集めていると、農研機構が実施した炙ったステンレス網をアノード電極に使う方法が良さそうという事がわかった。

これは、ステンレスを炎で炙ると、表面が酸化鉄に変化し、発電細菌であるGeobactoer属細菌が酸化鉄に集まりやすくなるからだそうだ。これにより、出力密度が高くなるという事だ。

では、レッツDIY!

材料
  • ステンレス網(アク取り)
  • 電線
手順

1. ステンレス網の取っ手を外す。

2. ステンレス網をキッチンのガスコンロで焼く。

ペンチでステンレス網を持ちながら、ガスコンロの火で炙ると、色が変わっていくのは確認できたが、この焼き加減で良いのか、いまいち正解がわからない状態であった。(焼きが甘いような気が…)

3. ステンレス網の枠の接合部を開き、電線を入れ閉じる。

4. 接合部を圧着工具で圧着する。(ちょっと強引な方法のため、見た目が悪い)

この方法であれば、活性炭を網につける方法よりは、格段に手間が減った。とりあえずこの電極をアノードとして使い、再度実験してみる。組み立てについては、前回と同じ方法で行なった。

実験2結果

アノード電極: ステンレス網を炙ったもの

カソード電極: ステンレス網に活性炭をつけたもの

を電極にして、電圧を測定した。

作りたての電圧測定をすっぽかしてしまったのだが、作ってから15時間後の結果としては404mVの電圧が確認できた。

この状態でしばらく様子を見ることにした。

4/7 5:30; 404mV

4/8 6:30; 400mV

4/18 21:30; 571mV

4/19 20:30; 666mV

4/22 20:30 700mV

少しづつ電圧が上がっていき、2019/5/14現在 700mV前後で安定している。

電流については、デジタルマルチメーターを購入した後に計測してみようと思う。

試しに、100Ωの抵抗を繋いでみたが、抵抗両端の電圧は、下がりに下がって4mV程になってしまった。ん?そうするとオームの法則で計算すると、電流は0.04mAってことか?何だか色々と見直さないといけない事がありそうだ。

100円ショップで材料を揃えるこだわりは一旦横に置き、MudWattの電極にも使われているグラファイトフェルトを購入して試してみたいと思う。

続く。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その1〜

背景

先日、微生物燃料電池というものを、たまたま知った。WEBでいろいろ調べていると、海外でも日本でも研究がすすめられていて、実用化に向けた動きもある。

東京大学の橋本和仁教授の記事を勉強させてもらったが、微生物燃料電池とは、有機物を分解してエネルギーを獲得する際に電流を発生させる「電流発生菌」を利用した燃料電池のことだ。電流発生菌に有機物をエサとして与えると発電するのだ。

人は、有機物の持っている電子エネルギーを代謝過程の中で取り込んだ後、エネルギーを失った電子を、呼吸によって取り込んだ酸素に渡し、体外に捨てている。一方、電流発生菌は、電子を電極へ渡して、捨てることができるので、電極から電流がとりだせるという。

電流発生菌は、汚水の浄化にも利用できるということで、小川の水の浄化をしながら発電もできたら、すごいことなので、ぜひ、自分でもやってみたくなった。

参考にしたサイト

海外では既に微生物燃料電池の商品化がされている。

MudWatt:アメリカのMagical Microbesが販売。教育用の微生物燃料電池キット

BioPass:スペインのBiooが販売。植物ポットの中で発電し、LEDライトが点灯する。スマホとWifi接続できる

Sprout ‘n Spark:オランダのPlant-eが販売。植物ポットの中で発電し、デジタル時計が動く。

今回、DIYのために参考にさせて頂いたのが海外のこのサイトだ。

作って二ヶ月後、容器1つで開放電圧835mV、短絡電流13mAが計測されていた。なんか凄そうだ。そして、100円ショップで材料が揃えられそうというのもとても良かった。

電極作り1〜ステンレス網+活性炭〜

上記動画では、ステンレス網に活性炭を接着し、押しつぶすことをしていた。これにより、ナノポーラス構造のカーボンを形成するらしい。ナノポーラス構造とは、スポンジのような多孔質の構造で、孔のサイズがナノメートル級のものだ。微生物から電子をうけとるための表面積を稼ぐのに都合が良いと言う事だろう。詳細はわからないが、MudWattで使用されているグラファイトフェルトより良い結果を出しているそうだ。

では、レッツDIY!

材料

電線と平型端子以外は、100円ショップで材料を揃えた。

  • ステンレスの網(アク取り)
  • 活性炭素(脱臭剤)
  • エポキシ接着剤
  • 電線
  • 平型端子
手順

1. アク取りのステンレス網を取り外す。

2. ステンレス網の両面にエポキシ接着剤をつける。手袋をつけて指で丁寧に塗る。

3. 活性炭をステンレス網に振りかける。

4. 裏面も同じように活性炭を振りかける。

5. 4で作った電極を金属版などを使って上下で挟み、圧力をかけて押しつぶす。参考にした動画では、油圧式の装置で圧力をかけていたが、そんな高価な装置はないので、木の板と、C型クランプを2個使って試してみたが、これでは、圧力が弱く、ナノポーラス構造にはきっとなっていない。(おそらく失敗)

5. 電線をステンレス網と接続する。今回はちょうど家にあった平型端子を使って、網と電線をまとめて圧着して接続した。

期待通りではないが、一先ず完成。

組み立て

電極ができてしまえば、組み立ては簡単だ。

材料
  • 容器 x1
  • 作った電極 x2
手順

1. 容器の側面上部に導線を通すための穴を二つ空ける。

2. 田んぼの土を用意する。今回は庭に作ったプラ舟の田んぼがあるので、その土を使った。

3. 土を容器に入れる。量は1~2cm程。

4. アノードとなる電極(マイナス極)を配置する。容器の横の穴から導線を通す。

5. アノード電極の上にさらに4~5cm程、土をのせる。

6. カソード電極(プラス極)を土の上にのせる。容器の横の穴から導線を通す。

これで組み立て完成だ。

実験結果1

では、テスターで電圧を測定してみる。

243mVの電圧(起電力)が発生しているのが確認できた。

んっ?参考にした動画では、800mV以上発生していたのにだいぶ電圧が低い。動画では二ヶ月後の値だからある程度待たないといけないのかもしれない。

今回、前述したように、活性炭を金属板で挟み、油圧でプレスする装置がないため、プレスがいい加減な状態になっている。恐らく、期待していたナノポーラス構造にはなっていないと思う。なので、この方法での電極作りは一旦諦め、特殊な道具なしで簡単に作れる方法を調査し、試すこととする。

続く。