「微生物燃料電池」タグアーカイブ

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その17〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、作成した自動電圧測定システムを活用し、条件を一定にした状態で、お酢やピルクルを投入した場合の性能を測定した。お酢の投入では、性能向上の傾向がみられたが、時間の経過で元の性能に戻ってしまうことが確認された。一方、ピルクルの投入では、少量であれば一定の性能向上が見られたが、量によっては、逆に性能が低下してしまう事象も発生した。この性質が再現性のあるものなのかは、いづれまた見ていきたいと思う。

今回は、お酢もピルクルも投入しない状態を自動電圧測定システムを使って確認しておきたいと思う。お酢やピルクルの投入以外の要因で性能向上したのではないことを改めて確認しておきたいからだ。また、システムを少し改造し、1分毎に、24時間連続で電圧を測定する機能も持たせるようにして、電圧変化の様子も把握してみようと思う。

お酢もピルクルも投入しない状態

使用したのは、電池No.31とNo.32の2つ。

上の折れ線は、電池No.31の7日間のIV特性である。測定1日目のデータは少し低めではあるが、およそ、変化がない結果が得られた。

一方、上のフラフは、電池No.32の7日間のIV特性である。こちらは、1kΩや680Ω接続時の性能が、理由は不明だが、時間の経過とともにやや低下した。

どちらのグラフでも、性能の向上はみられず、やはり前回の結果では、お酢やピルクルの投入が要因で性能向上したと言えると思う。

24時間連続電圧監視

自動電圧システムを少し改造し、1分毎に、24時間連続で電圧を測定する機能も追加した。2つの電池を同時に測定できるように、これまで1チャンネルだけであったが、2チャンネル分の電圧が測定できるようにプログラムを変更した。

上のグラフは、電池No.31、No.32における、5月28日の0時から24時間電圧変化を示す。6時と7時には、それぞれ電池No.31とNo.32に対して、負荷抵抗を繋ぐ機能が同時に動いているため、その時の電圧変化の様子も視覚的に捉えることができた。

この結果を分析すると、負荷抵抗を繋ぎ終えた後、およそ10~11時間で負荷抵抗を繋ぐ前の開放電圧の状態に回復することがわかった。また、1時間で、負荷抵抗を繋ぐ前の平均値の90%以上回復し、2時間では、95%以上回復することも分かった。

No.31の電池に負荷抵抗を繋ぐ6時から3時間をクローズアップしてみよう。

グラフの不連続点は、負荷抵抗(2kΩ、1kΩ、680Ω)を繋ぐタイミングと負荷を開放するタイミングである。このグラフを眺めていて、今更ながら気づいてしまったが、抵抗を繋いで電圧が安定したときの電圧を測定するつもりであったが、全く安定していない状態でどうやら測定をしていたようだ。例えば2kΩの抵抗を繋いで10分の時点ではグラフは平衡状態(横ばい)にはなっておらず、描く曲線を予想すると、おそらく30~40分程の待ち時間が必要なのかもしれない。実は、なんとなく10分では安定していないかもと感じていたが、データでみるとハッキリと分かってしまった。自動電圧測定システムを作った甲斐があったということだろう。

まぁ、今更仕方ないというのもあるが、同じ条件で測定さえできていれば、相対的な変化は分かる訳なので、とりあえずこのままの条件でやってみようと思う。

さて、次は、この電池に対して、お酢を投入する実験を再度行ってみたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その16〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、電圧の測定条件を一定にすること、そして測定の手間を大幅に減らすことを目的として、自動で電圧を測定し、測定結果をスマホのLineへ送信するシステムを構築した。次のステップとして、このシステムを使い、お酢や乳酸菌飲料の投入で電池性能がアップするかを再度確認していきたいと思う。

お酢・ピルクル投入実験(続き)

測定する電池は、以前の実験で使用したNo.33(写真左)とNo.34(写真右)。No.33にはお酢を、No.34にはピルクルを、小さじ一杯程度、電池の左上1ヶ所から投入したものだ。

この電池に対して、自動電圧測定システムによって電圧を測定した。結果を次に示す。

I-V特性 No.33 お酢投入(1ヶ所から)

上のグラフは、電池セルの右上1ヶ所からお酢を投入した場合のI-V特性である。グラフの見方であるが、折れ線が右上にいくほど性能が良いという意味となる。4月22日の折れ線は、お酢を投入する前のデータであり、比較のためグラフに載せた。測定システムを定時起動させる連続運転状態にまだなっていなかったため、測定日と測定時刻が揃っていないのだが、参考程度に結果を見ていきたい。

お酢投入後、およそ性能が向上したことが認められたが、単純にお酢投入の効果なのかは断定することはできない。電流を流すことによって、少しづつ性能が上がることもあるので、今後の実験で切り分けていきたいと思う。

I-V特性 No.34 ピルクル投入(1ヶ所から)

一方、上のグラフは、電池セルの右上1ヶ所からピルクルを投入した場合のI-V特性である。お酢の場合と同様に、ピルクルを投入する前のデータとして4月22日のデータを載せている。4月22日のデータは、性能が低い状態からのスタートになっていたが、ピルクル投入後、およそ性能が向上したことが認められた。しかし、5月13日のデータは、これまでの上昇トレンドから急に低めの性能を示した。測定した時間が他と違い5月13日は夕方(17時)であったという違いがあるのだが、原因を探るにはやはり、条件を揃えて不安要素を取り除いてやらないといけないだろう。

お酢・ピルクル投入実験(3ヶ所から追加)

さて今度は、お酢とピルクルを再度投入して、測定システムを毎朝定時に起動する実験を行った。使用する電池は、前回と同じ電池。

No.33にはお酢を、No.34にはピルクルを、小さじ一杯程度投入するが、投入する箇所は、電池の四隅のうち、別の3ヶ所から投入した。(投入量は1ヶ所で小さじ1/3程度)泥の中のアノード電極に、なるべく均一に投入する液が届くようにする狙いからだ。

I-V特性 No.33 お酢投入(3ヶ所から追加)

上のグラフにおける、5月14日以降の折れ線が、電池セルの四隅のうち別の3ヶ所からお酢を投入した場合のI-V特性である。4月22日の折れ線は、お酢を1か所から投入する前のデータであり、5月13日の折れ線は、お酢を3か所から投入する前のデータであり、比較のためグラフに載せた。測定システムは、毎朝6時に起動させているので、測定条件がより揃った状態にすることができた。結果、お酢を1ヶ所から投入した時(5月13日の折れ線)よりも、さらに性能の向上が認められた。

しかしながら、上のグラフのように、5月19日をピークに性能は徐々に下がり、お酢を3ヶ所から投入する前の状態(5月13日の折れ線)に戻っていった。このことから、お酢投入後による性能向上は、電流を流すことによる性能向上だけの話ではなく、やはりお酢の効果によるものもあると思われる。そして、その効果は、6日程度でピークに達し、10日程度で効果は消えてしまうようである。この考察が正しいとするなら、効果の持続はとても儚い。

I-V特性 No.34 ピルクル投入(3ヶ所から追加)

一方、上のグラフにおける、5月14日以降の折れ線が、電池セルの四隅のうち別の3ヶ所からピルクルを投入した場合のI-V特性である。4月22日の折れ線は、ピルクルを1か所から投入する前のデータであり、5月13日の折れ線は、ピルクルを3か所から投入する前のデータであり、比較のためグラフに載せた。測定システムは、毎朝7時に定時起動させている。

結果であるが、思ったようにならず、性能が徐々に低下してしまった。これは、米ぬかを投入したときの結果と同様な状態に陥ってしまったようだ。米ぬかは、乳酸菌といった有用微生物の餌になるので、畑に撒いて使用されるのだが、電池に関しては、乳酸菌が電池の性能向上には良い影響を与えていないような気がする。ただし、1回目のピルクルの投入では、特に性能低下は認められなかったので、乳酸菌は全くダメということにはならないが、投入量が多めになると、乳酸菌が優先し始め、電流発生菌達が劣勢になったということも考えられるだろう。

今回、お酢投入で性能向上の傾向がみられたので、お酢の成分である酢酸を餌とするGeobacter属の電流発生菌がそもそも優先していたという考え方もできる。この考えが正しいとすれば、どんな電流発生菌が優先しているかを調べる一つの指標として使えるのかもしれない。

続く。

 

 

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その15〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、電流発生菌の餌となりうるお酢や乳酸菌飲料を入れることで電池の性能が上がるか実験したが、思った結果が得られなかった。性能を測る上での測定条件がばらついていることや、測定データが少ないことが原因の可能性もあるので、この辺りの懸念を取り除くよう、自動で電圧を測定できる仕組みを構築しようと思う。

実現したいこと(要求仕様)

  • 電池のI-V特性を測るため、開放電圧及び、負荷電圧を自動で測定する。測定は、一定時刻(AM6:00)に開始し、以下4つの状態の電圧を測定する。
    1) 開放状態
    2) 2kΩ抵抗接続時
    3) 1kΩ抵抗接続時
    4) 680Ω抵抗接続時
  • 負荷抵抗を接続した後は、電圧が安定するまで一定時間待ち、その後、電圧を測定する。
  • 負荷電流は、接続する抵抗が既知であることからオームの法則で求める。I=V/R
  • 測定が完了したら、測定した電圧値及び求めた電流値をスマホへ通知する。

※I-V特性のフラフは、上記1)~4)の状態の電圧・電流から手動でグラフを作る。将来的には、グラフの作成も自動化したいと思う。

システムの概要

上図は、要求仕様を満たすためのシステムの概要となる。小型コンピュータであるRaspberry Pi3に、AD変換モジュール(アナログ値をデジタル値へ変換するモジュール)を接続し電圧を測定する。AD変換モジュールは、4チャンネル/分解能16ビット/I2Cインターフェース対応のADS1115のチップを搭載したモジュールを使用。アナログ値からデジタル値へ変換された電圧データはI2Cインターフェースを経由してRaspberry Pi3で取得する。

また4つの状態の切り替えはリレーモジュールによって実現する。リレーとは電磁石を利用したスイッチである。スイッチなのでオンとオフの状態を切り替えられる。例えば下図で考えると、リレー1のスイッチをオン、リレー2のスイッチをオフとすると、電池には抵抗1がつながる。また、リレー1のスイッチをオフ、リレー2のスイッチをオンとすると、電池には抵抗2がつながる。リレー1とリレー2のスイッチを両方オフにすると、電池には抵抗がつながらない状態、つまり開放状態になる。

なので、3つのスイッチを使えば、1)抵抗を繋げない状態(開放状態)、2)2kΩ抵抗を繋いだ状態、3)1kΩ抵抗を繋いだ状態、4)680Ω抵抗を繋いだ状態を作り出すことができる。それぞれのリレースイッチの状態は、Raspberry Pi3の信号(GPIO)から制御できる。

リレースイッチをオン・オフするためのGPIOの制御、測定した電圧を得るためのI2Cインターフェースの制御、そして、電圧データをスマホへ送信するためのLine Notifyの制御は、Python3のプラグラムを作成し、そのプログラムを定時に起動する。

完成したシステム

上の写真は、自動で電圧を測定するシステム概観である。朝06:00にPython3のプログラムが起動し、4つの状態の電圧を測定したあと、計算で求めた負荷電流とともにLineへメッセージが送られるようになった。

これまで、電圧計を使って手動で測定していたが、私が寝ている間にも、自動で測定してくれるので、とても楽になった。

現状は1台の電池の測定しかできないが、リレーモジュールを増やせば同時に複数の電池の測定も可能となるだろう。しかし、実験している電池は2台であるので、電池を繋ぎ変えることで十分対応ができる。06:00と07:00にPython3プログラムを2回起動するようにしておけば、私がやることはたった2つだ。

  1. 1回目の測定が完了する06:30にLine Notifyからのプッシュ通知がスマホにくるので、この音で目覚める。
  2. そして、次の測定が始まる07:00までの間に、別の電池へ繋ぎ変える。

電池の繋ぎ変え作業があると思うと2度寝が絶対にできないので、軽い使命感のもと早起きができて、朝の時間を有効に使うことにも役立っているように思う。

作り方を知りたい人は、以降の記事も読み進めてほしいと思う。

使用した部材

  • Raspberry Pi 3 x1
    OS: Raspbian GNU/Linux 8.0 (jessie)
    Python: 3.6.9
  • AD変換モジュール(HiLetgo 2個セット ADS1115 4チャンネル 16ビット I2C ADC モジュール ゲインアンプ Arduino Rpiと互換) x1
  • リレーモジュール(SODIAL(R) 4チャンネル5Vリレーモジュール) x1
  • 抵抗 2kΩ x1、1kΩ x1、680Ω x1
  • 線材
  • みのむしクリップ x2

接続方法

I2Cのスレーブアドレスは、ADDRピンを繋ぐ場所によって4種類から設定できるが、今回はVDD(+3.3V)へ繋ぐことで0x49とした。

また、差動入力A0-A1を電池の+と-に接続して電圧を測定した。

Raspberry Pi3の初期設定

I2Cの有効化

以下コマンドを入力し、Raspberry Pi3の初期設定画面を起動する。Interfacing Options->I2CからI2Cを有効化する。

$ sudo raspi-config
ライブラリのインストール

以下コマンドを入力し、ライブラリをインストールする。

$ pip3 install adafruit-circuitpython-ads1x15
以下コマンドを入力すると、ライブラリがインストールされていることが確認できる。
$ pip3 list
Adafruit-Blinka
adafruit-circuitpython-ads1x15
adafruit-circuitpython-busdevice
Adafruit-PlatformDetect
Adafruit-PureIO
詳しくは、Python & CircuitPythonを参照。

Line Notifyの初期設定

Line Notifyを使ってRaspberry Pi3からスマホのLineへメッセージを送るには、次の設定が必要になる。

  1. スマホのLineアプリで、メッセージを受け取るためのトークルームを作る。
  2. 次に、LINE Notifyのホームページからログインした後、マイページの「アクセストークンを発行」によってアクセストークンを発行する。発行の際に、トークン名(通知の際に表示される文字)と通知を送信するトークルーム(1で用意したもの)を入力する。発行されたアクセストークンは、Python3のプログラムで使うので、メモ帳などにコピーしておく。
  3. LINE NotifyのLINEアカウントを、1で用意したトークルームに招待する。

作成したコード

プログラムの定時起動

プログラムを定時に起動するには、crontabファイルを編集する。以下のコマンドを入力するとエディタが開く。

$ crontab -u pi -e
一番下の行に次のコードを記述し、保存する。なお、私の環境では、Ppython3のパスが通ていなかったので、フルパスで指定した。(/usr/local/bin/python3)

以上で、毎朝6時と7時にプログラムが起動し、システムが電圧を測定することができる。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その14〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、米ぬか投入実験が思うようにいかなかったので、微生物の餌となる乳酸や酢酸を投入することで性能アップができるのかの実験をしたいと思う。

使用したのはこちらのお酢と乳酸菌飲料。それぞれ酢酸、乳酸が入っているはずである。これらをアノード電極の周辺に送り込んでやれば、電流発生菌の餌が増えて、電流発生菌がより多くの電流を発生すると期待している。

投入方法

アノード電極に酢酸や乳酸を送り込むには、アノード電極より上に被さっている泥を一度取り去ってやる必要がある。しかし、泥を取り外すと、アノード電極が空気に触れるため、嫌気状態になっていた環境が壊れることになる。壊れた環境が復活するまでには数日はかかるので、できれば環境を壊さずに酢酸や乳酸を送り込みたい。

そこでストローを使って直接アノード電極に送り込むことを試そうと思う。ストローは、タピオカドリンクを飲んだ時に使った太めのストローだ。細いストローよりは、液を送りやすいと思うからだ。懸念は、一か所から送り込んで、アノード電極にちゃんと広がっていくかだ。たぶん、ストローの周辺だけにしか広がらない気がする。なので、ダメな場合は複数個所からストローで液を送り込むことも考えたいと思う。

実験条件

2つの電池セルを使った。No.33(写真左)にはお酢を、No.34(写真右)にはピルクルを投入した。量はどちらも小さじ一杯程を電池セルの左上一か所から送り込んだ。

実験結果

4月22日の折れ線が投入前の結果で、4月28日の折れ線が投入して6日後の結果である。ピルクル投入では結果に大きな変化が見られなかったが、お酢投入では、投入後の結果が悪くなっていた。

気になっているのが、抵抗を繋いで電圧を測定するまでのの時間を10分以上とっていたが、待っている間に一時間経ってしまうこともあり、条件があまりそろっていないことがあったことだ。なので、測定までの時間が揃っていないことが、データにばらつきが発生している原因になっている可能性もある。

改めて条件を揃えたいと同時に、もう少し継続して経過を見たいと思うので、自動で測定できるシステムを作成して、今後の測定に臨みたいと思う。

次回、自動電圧測定システムの電子工作についてお伝えする予定。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その13〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

電池セルの性能アップを模索する中、電池セルのヘドロに米ぬかを投入することで、性能アップできるかを試すこととした。そこで前回は、現状の電池セルの性能測定した。今回は米ぬかを投入し、電池セルの性能測定する。

米ぬか投入方法

米ぬかの投入方法であるが、まずカソード電極を取り外し、アノード電極の上にあるヘドロを一度取り出し、米ぬかを5gをアノード電極の上に振り撒く。表面のヘドロと撒いた米ぬかをヘラで軽く混ぜる。その後、ヘドロを入れ戻し、カソード電極を取り付ける。

この方法により、電池セルNo.35およびNo.36の2つについて実施した。

結果

電池セルのそれぞれには10kΩの抵抗をつなぎ、日数経過による電ある[mV]を測定した。

日数 No.35 電圧 No.36 電圧
0 592 521
1 554 516
2 505 475
3 343 356
8 140 127

3日経過したところで、大幅に電圧が下がり始めたので、抵抗を外した状態で開放電圧を測定することとした。しかし、開放電圧は下がる一方で、8日目にいてはそれぞれ140mV、127mVと非常に小さい電圧となってしまった。

これでは、性能アップのどころの話ではない。失敗である。

なぜ失敗?

アノード電極やカソード電極の状態をリセットすべく、電極を水洗いした後開放電圧を測定してみたが、全く良くなる傾向がみられなかった。

その後、ネットである論文(*1)を見つけ内容を読んでみると、有機酸組成の変化が微生物燃料電池の性能に影響を与えるということが書かれていた。電流発生菌の餌となるのが乳酸や酢酸などの有機酸であって、例えば、電流発生菌である、Geobacter属は酢酸を餌に、そしてShewanella属は乳酸を餌にするとのことであった。つまり餌となる乳酸や酢酸の割合が変化すると電池の性能に影響を与えるということのようだ。飯が変わると人間も働きが悪くなるというのはとてもありそうな話だ。

米ぬかを投入したことによって、有機酸組成が変化し、これまで築かれていた電流発生菌の組成が変化、つまり、電流発生菌が大幅に減少してしまったということが起こっているのかもしれない。逆に、米ぬか投入で、電流発生菌よりも優先する微生物がいるのかもしれない。

さて、次の一手は?

米ぬかはいったん横に置いておいて、乳酸や酢酸を投入することで性能アップができるのかの実験に切り替えてみようと思う。

乳酸といえば乳酸菌飲料、酢酸といえばお酢。どちらも我が家にあるものなので実験できそうである。

ちなみに我が家ではヤクルトは少々値が張るので、ピルクル派である。

続く。

*1: 有機酸組成の変化が微生物燃料電池の性能に及ぼす影響 土木学会論文集G(環境),Vol.72,No.8,III_145-III_152,2016

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その12〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、作成した微生物燃料電池32個すべてを使って、小型冷却ファンを約37秒間回すことができた。まずは一つの目標を達成することができたが、引き続き電池セルの性能アップについて実験をしてみようと思う。

性能アップのためにやろうとしていることは、米ぬか投入である。

なぜ、米ぬか?

それは自然農からヒントを得ている。米ぬかを畑の表土に撒くと、乳酸菌、酵母菌、納豆菌などの有用な微生物が米ぬかを餌に増え、草の発酵分解が促進されるという。ならば、発電に関わる微生物も米ぬかを餌に増殖し、結果、電流発生量が増えるのではないかと考えられるからだ。

現状の性能を測る

米ぬかを投入する前と後でどれほど性能が変化したかを見たいと思うので、まず米ぬか投入前の性能を測定しておこうと思う。

測定するのは、電池セル4つ(No.33からNo.36)。それぞれ、開放電圧および2kΩ、1kΩ、680Ω抵抗接続時の電圧の計4種類を測定した。電流については、接続抵抗が分かっていることから、オームの法則により算出した(電流=電圧÷抵抗)

上のグラフが、測定結果から作成したI-V特性となる。各折れ線の点が測定ポイントであり、左から開放時、2kΩ接続時、1kΩ接続時、680Ω接続時となる。以前測定した電池セルでは、2kΩ抵抗接続時の電圧が、高いもので540mV程度であったが、今回のものは4つのうち3つがそれより高い値を示していた。あくまでも推測であるが、時間が経過したことにより、アノード電極周辺の電流伝達ネットワーク構造(電極に直接接する微生物だけでなく、電極から離れた微生物も酸化鉄を通じて電極と接することができる構造)がより整ってきたということもあるかもしれない。

さて、どれくらいの時間をおけば効果がみられるだろうか。畑に撒いた米ぬかは、温かい時期であれば2週間程で分解されることを考えると、やはり1~2週間の期間をみなければいけないかもしれない。この間、微生物の繁殖を促進する意味を期待して、負荷を接続し、少量の電流を定常的に流しつつ、定期的な測定で様子を伺ってみようと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その11〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、作成した微生物燃料電池32個すべてを使って、4個直列x8組の電池でLEDランプを点灯させ、そしてさらに、2個直列x16組の電池へ1kΩ抵抗をつないで電圧・電流を測定した。

今回は、本プロジェクトの目的でもある小型冷却ファンを回す実験をしたいと思う。

とその前に、2個直列x16組の電池へ1kΩ抵抗をつないだ時における、電池1組それぞれから出力される電流について測定してみる。

2個直列x16組の電池で1kΩ抵抗をつなぐ

構成

結果

1組の電池を構成するセル1、セル2の電圧、および1組の電池から出力される電流について、16組分の測定値を示す。

セル1とセル2の足し算はおよそ0.83Vになっており、抵抗端の電圧と一致する。セル1とセル2の電圧は0.3~0.5Vの間でばらつきがあることがわかった。

また、1組の電池から出力される電流についてであるが、均等に電流が流れていると予想したが、電流についても0~0.2mAとばらつきがみられた。組No.2とNo.3については0mAを示したが、電流計のレンジをμAのレンジで測定すると、2μA、15μAとわずかな電流が流れるのみであった。

組No. 電圧(セル1) [V] 電圧 (セル2)[V] 電流 [mA]
1 0.467 0.366 0.03
2 0.428 0.405 0.05
3 0.343 0.491 0
4 0.298 0.531 0
5 0.427 0.406 0.09
6 0.450 0.383 0.17
7 0.440 0.392 0.07
8 0.303 0.530 0.08
9 0.409 0.425 0.11
10 0.485 0.375 0.20
11 0.541 0.290 0.07
12 0.417 0.415 0.14
13 0.461 0.370 0.06
14 0.455 0.375 0.14
15 0.405 0.427 0.08
16 0.335 0.497 0.16

この電流のばらつきの原因は、電池の内部抵抗が関係していると思われるが、今後理由について考察してみたいと思う。

2個直列x16組の電池で小型冷却ファンを回す

さて、次はいよいよ小型冷却ファンを回す実験だ。

構成

まず、実験構成としては、前回に引き続き、2個直列x16組の電池を使いたいと思う。ファンを回すのに必要な電圧は、およそ0.8V、電流は10mAだ。0.8Vを得るために、電池2つを直列にしている。

総数32個の電池を使っても、間違いなく電流が不足すると思われるが、小型冷却ファンを接続して、最初の数秒間だけでも動く可能性があるので、試したいと思う。

結果

遂に回った。まずは動画で確認いただきたい。

負荷接続前の開放電圧は1.13V。

負荷接続直後、ファンが回転し、電圧計(右)と電流計(左)の値は、電圧0.8V、電流12mAを示したのが確認できた。その後、電圧と電流は下がり続けたが、ファンは約37秒ほど回転し、停止、活動限界を迎えた。

停止した時の電圧と電流は、0.58V/11mA。

遂にマイプロジェクトの目的をどうにか達成することができた。

しかし、回転したのはたったの約37秒。やはりずっと回り続けてほしいところだ。そのためには、電池セルを増やすことや電池セルの性能アップが必要である。

引き続き電池セルの性能アップについて実験していきたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その10〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、微生物燃料電池を8個(4個直列x2組)使って、ろうそく風のLEDランプを点灯することができた。しかし、数日経ってみると、電圧と電流は1.7V/0.1mAを切り、僅かな灯火となってしまった。やはり電流が不足しているようであった。そこで、現状ある電池全てを使って新たに実験をしたいと思う。

電池4個直列x8組にLEDランプをつなぐ

構成

結果

LEDランプ接続直後の様子

順調にLEDランプは点灯した。LEDランプに流れる電流は、接続直後、0.32mAが流れ、写真のような明るさを出していたが、徐々に電流は減っていき、2日目以降の計測値では、0.22mAで安定した。数日間の電圧と電流を測定結果を以下に示す。

日数 電圧 [V] 電流 [mA]
0 1.83 0.32
1 1.79 0.18
2 1.80 0.22
3 1.79 0.22

日数=0: 負荷接続直後

電池4個直列を並列に8組入れたので、電流不足はある程度改善されたようだ。過電圧(電池内部抵抗による電圧降下)が抑えられ、電流についても以前(4個直列x2組)より増えていることが確認できた。

ゆらめき輝くLEDランプが、お好きなお庭のライトアップに一役買うことができるかもしれない。

電池2個直列x16組に抵抗(1kΩ)をつなぐ

次は本プロジェクトの目的でもある、小型冷却ファンを回すための構成に近い形で実験したいと思う。ファンを回すのに必要な電圧は0.8V、電流は10mAだ。0.8Vを得るには、電池2つを直列にすれば良さそうである。そして、10mAの電流を得るにはまだ電池が足りないと思われるが、今ある全ての電池を使って、2個直列x16組の電池を構成した。この電池に抵抗をつないで電圧/電流の様子を一度確認しておこうと思う。つなぐ抵抗は、計算がしやすいように1kΩとした。

構成

結果

数日間の電圧と電流を測定結果を以下に示す。電圧で電流は少しづつ下がってきたが、3日目では、電圧0.826V、電流0.82mAとなった。

日数 電圧 [V] 電流 [mA]
0 1.018 1.01
1 0.917 0.91
2 0.855 0.85
3 0.826 0.82

日数=0: 負荷接続直後

負荷接続直後の電流が1.01mAであったことから、10mAの電流を流すには、抵抗を1kΩから10Ωにしないといけない計算になるが、間違いなく電流が不足して、電圧が急激に下がると思われる。しかし、小型冷却ファンを接続して、最初の数秒間だけでも動く可能性もあるので、次回試してみたいと思う。

一方で、負荷に流れる電流だけでなく、それぞれの電池1組から出力される電流についても測定し、全体の状態を把握することもやってみたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その9〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、電池のI-V特性を測定した結果、性能の良いセルを104個用意すれば小型冷却ファン(13mA/0.8V)を動作できそうだという予測がついた。しかし、104個はさすがに数が多いので、セルの性能をアップする事を課題に設定した。

性能アップの鍵⁉︎

そこで研究論文を調べた結果、ナノサイズの酸化鉄コロイド を発電に関わる細菌であるShewanella と共に加えると電流値が50倍以上になる結果を得たという論文があった。私が使用している堆積物の中に、このShewanellaがいるかどうかは不明であるが、いるという前提で、酸化鉄(α-Fe2O3 )ナノコロイドをアノード電極の周りに加えたいと思う。

で、酸化鉄(α-Fe2O3)と言えば、ラスコーの壁画で彩色に用いられたベンガラという赤色顔料と同じ成分であるというが、今回欲しいのは、粒子の大きさがナノサイズのものだ。岡山大学の研究室でナノサイズのベンガラを開発した記事を見たが、残念ながら気軽に購入できる代物ではなさそうであった。そこで天然の酸化鉄(α-Fe2O3)を採取することを調べてみた。

水田や流れのない小川の表面にできる茶褐色の被膜を見た事があるだろうか。被膜の成分には、α-Fe2O3が含まれるという報告もあるので、これがナノサイズであったら都合が良い話である。

という事で、先日さいたま市の市境にあるびん沼川のヘドロと被膜を含む水を採取しておいたので、これらを使って、微生物燃料電池を作ってみた。

アノード電極、カソード電極にグラファイトフェルトを使った電池を今回新たに8個(電池No.25~No.32)作成した。使った土は、びん沼川で採取したヘドロと被膜を含む水だ。写真のように、ペットボトルに採取した時点で、茶褐色の被膜は見えなくなっていた。

動作確認

これらの電池の解放電圧(mV)を1週間測定した。

日数 電池25 電池26 電池27 電池28 電池29 電池30 電池31 電池32
1 283 142 164 117 124 118 247 121
2 408 295 339 297 334 325 370 323
3 484 384 445 394 456 418 438 442
4 550 493 560 495 634 518 509 558
5 604 559 697 568 744 624 575 715
6 714 625 771 641 814 742 657 806
7 791 732 829 755 832 807 768 841

約一週間経過して、各電池とも開放電圧が732mVから841mVの値を示した。その後、No.27とNo.29のI-V特性を測定した。

No.27 12/7とNo.29 12/7の折れ線は、電池作成後、約1週間後のものだ。以前測定したNo.17の性能とあまり変わらないものであった。

そこで、電流を流すことで、微生物活性の向上を狙い、電池4つを直列にして10kΩ抵抗を接続することにした。一つ目(①)は、電池No.25からNo.28の組み合わせ、二つ目(②)はNo.29からNo.32の組み合わせ。4日経過して①および②の負荷電圧を測定すると730mV、1055mVであった。①に負荷電圧が随分小さくなっていたので電池毎の電圧を測定すると、なんとNo.26の出力電圧がマイナス325mVを示していた。理由はわからないが、意図しない事象になってしまった。この事象の理由は、後々検討したいと思う。

電池25 電池26 電池27 電池28 電池29 電池30 電池31 電池32
386 -325 347 316 325 166 293 267

その後、開放状態で放置すること10日。マイナスに振れていたNo.26の電圧は既にプラスに転じていた。再度No.27、No.29のI-V特性を測定したものが、No.27 12/24、No.29 12/24の折れ線である。I-V特性はNo.27 12/7とNo.29 12/7より良くなっていることがグラフから読み取れる。負荷を接続し電流を流すことは、性能向上の一因になったと思われる。

ただ、この性能は、アノードに炙ったステンレス網を使用したNo.7、No.8の結果と大差がないので、さらなる性能向上に挑戦したいと思う。

LEDランプの点灯

せっかくなので、今回作った微生物燃料電池を8個(4個直列x2組)使って、ろうそく風のLEDランプを点灯してみた。ろうそく風なので、明るさが揺らぎ、良い雰囲気が出る。ランプ内にはボタン型のニッケル水素電池が2つ直列になった、2.4V 80mAhの電池が入っていたが、この泥電池でもLEDランプを点灯することができた。負荷接続直後は、負荷電圧/電流が1.8V/1000μA程あったが、電流が少しづつ弱まってきて、一晩経ってみると、1.7V/200μAを切り、僅かな灯火となっていた。もう少し電池を足し、電流を増やしてあげれば、夜のライトアップに使える明るさになると期待している。

写真は負荷接続直後のランプの様子

参考:生きている電流発生菌Shewanellaの電気化学ー 外膜チトクローム c を経由する細胞外電子移動 ー

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その8〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。前回は、8個の電池を追加して全16個の電池を使って、100Ω抵抗に流れる電流と電圧を測定したが、ファンを回すには程遠い結果であった。電流が増えると電池内部の過電圧により、出力電圧が下がってしまうことがあるため、この先いくつ電池を作れば良いのかわからない状態となっている。そこで、もっと先にやるべきであったが、電池の電流−電圧(I−V)特性を測ってみることにした。I -V特性とは電池の出力電流に対する出力電圧を示すもので、電池の性能を測るのに使われている。

電極の組み合わせ

電池は現在、次の3種類の組み合わせがある。No.1の組み合わせが4個、No.2の組み合わせが4個、No.3の組み合わせが12個だ。その中から、2つをピックアップしてI -V特性を測定した。

No. アノード カソード 電池No.
1 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト 8, 7
2 炙ったステンレス網 ステンレス網 10, 11
3 グラファイトフェルト グラファイトフェルト 16, 17

測定方法

測定方法としては、可変抵抗器があれば良いのだが、そんなものはないので、5種類の抵抗を変えて行った。(10kΩ、2kΩ(1kΩ2個使い)、1kΩ、680Ω、100Ω)測定は、値がある程度安定するまで待ってから行った。

結果

電池No.8/10/16の結果

電池No.7/11/17の結果

カソードにステンレス網を使った電池No.10や11は、他に比べると過電圧が大きく、50μAも電流が流れると大きく電圧が低下していた。この状態だと、ちょっと使い物にならない気がする。

また、アノードに炙ったステンレス網を使った電池No.8や7は、アノードがグラファイトフェルトの電池No.16や17と比べて、同じ電流値でより高い電圧を示した。

アノード電極の違いが一つの要因であろう。それともう一つは、泥の違いもあるかもしれない。電池No.4から8は、初期に制作したもので、自転車のスポークについた赤錆を削ぎとったものを入れた経緯がある。微生物燃料電池の論文で酸化鉄ナノコロイドをアノード電極にふりかけることで、電流密度の増加が認められるという話があったので、泥に赤錆が多めの状態になっていたと思われる。そのため、性能に差が生じた可能性もある。

さて、次の手はどうしようか。

電池No.7では、250μA/0.5Vの出力得られたので、もし同じ性能のものがいくつもあった場合、13mA/0.8Vを得るのに、104個の電池が必要な計算だ。(2個直列のセットを52個)

ちょっと104個を作るのは現実的でない。それに同じ性能のものをたくさん作れるかも怪しい。なので、もっと電池一つの性能をあげるのを優先しようと思う。まずは、赤錆添加を試していこうと思う。

続く。