「専門家コラム」カテゴリーアーカイブ

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その13〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

電池セルの性能アップを模索する中、電池セルのヘドロに米ぬかを投入することで、性能アップできるかを試すこととした。そこで前回は、現状の電池セルの性能測定した。今回は米ぬかを投入し、電池セルの性能測定する。

米ぬか投入方法

米ぬかの投入方法であるが、まずカソード電極を取り外し、アノード電極の上にあるヘドロを一度取り出し、米ぬかを5gをアノード電極の上に振り撒く。表面のヘドロと撒いた米ぬかをヘラで軽く混ぜる。その後、ヘドロを入れ戻し、カソード電極を取り付ける。

この方法により、電池セルNo.35およびNo.36の2つについて実施した。

結果

電池セルのそれぞれには10kΩの抵抗をつなぎ、日数経過による電ある[mV]を測定した。

日数 No.35 電圧 No.36 電圧
0 592 521
1 554 516
2 505 475
3 343 356
8 140 127

3日経過したところで、大幅に電圧が下がり始めたので、抵抗を外した状態で開放電圧を測定することとした。しかし、開放電圧は下がる一方で、8日目にいてはそれぞれ140mV、127mVと非常に小さい電圧となってしまった。

これでは、性能アップのどころの話ではない。失敗である。

なぜ失敗?

アノード電極やカソード電極の状態をリセットすべく、電極を水洗いした後開放電圧を測定してみたが、全く良くなる傾向がみられなかった。

その後、ネットである論文(*1)を見つけ内容を読んでみると、有機酸組成の変化が微生物燃料電池の性能に影響を与えるということが書かれていた。電流発生菌の餌となるのが乳酸や酢酸などの有機酸であって、例えば、電流発生菌である、Geobacter属は酢酸を餌に、そしてShewanella属は乳酸を餌にするとのことであった。つまり餌となる乳酸や酢酸の割合が変化すると電池の性能に影響を与えるということのようだ。飯が変わると人間も働きが悪くなるというのはとてもありそうな話だ。

米ぬかを投入したことによって、有機酸組成が変化し、これまで築かれていた電流発生菌の組成が変化、つまり、電流発生菌が大幅に減少してしまったということが起こっているのかもしれない。逆に、米ぬか投入で、電流発生菌よりも優先する微生物がいるのかもしれない。

さて、次の一手は?

米ぬかはいったん横に置いておいて、乳酸や酢酸を投入することで性能アップができるのかの実験に切り替えてみようと思う。

乳酸といえば乳酸菌飲料、酢酸といえばお酢。どちらも我が家にあるものなので実験できそうである。

ちなみに我が家ではヤクルトは少々値が張るので、ピルクル派である。

続く。

*1: 有機酸組成の変化が微生物燃料電池の性能に及ぼす影響 土木学会論文集G(環境),Vol.72,No.8,III_145-III_152,2016

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その12〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、作成した微生物燃料電池32個すべてを使って、小型冷却ファンを約37秒間回すことができた。まずは一つの目標を達成することができたが、引き続き電池セルの性能アップについて実験をしてみようと思う。

性能アップのためにやろうとしていることは、米ぬか投入である。

なぜ、米ぬか?

それは自然農からヒントを得ている。米ぬかを畑の表土に撒くと、乳酸菌、酵母菌、納豆菌などの有用な微生物が米ぬかを餌に増え、草の発酵分解が促進されるという。ならば、発電に関わる微生物も米ぬかを餌に増殖し、結果、電流発生量が増えるのではないかと考えられるからだ。

現状の性能を測る

米ぬかを投入する前と後でどれほど性能が変化したかを見たいと思うので、まず米ぬか投入前の性能を測定しておこうと思う。

測定するのは、電池セル4つ(No.33からNo.36)。それぞれ、開放電圧および2kΩ、1kΩ、680Ω抵抗接続時の電圧の計4種類を測定した。電流については、接続抵抗が分かっていることから、オームの法則により算出した(電流=電圧÷抵抗)

上のグラフが、測定結果から作成したI-V特性となる。各折れ線の点が測定ポイントであり、左から開放時、2kΩ接続時、1kΩ接続時、680Ω接続時となる。以前測定した電池セルでは、2kΩ抵抗接続時の電圧が、高いもので540mV程度であったが、今回のものは4つのうち3つがそれより高い値を示していた。あくまでも推測であるが、時間が経過したことにより、アノード電極周辺の電流伝達ネットワーク構造(電極に直接接する微生物だけでなく、電極から離れた微生物も酸化鉄を通じて電極と接することができる構造)がより整ってきたということもあるかもしれない。

さて、どれくらいの時間をおけば効果がみられるだろうか。畑に撒いた米ぬかは、温かい時期であれば2週間程で分解されることを考えると、やはり1~2週間の期間をみなければいけないかもしれない。この間、微生物の繁殖を促進する意味を期待して、負荷を接続し、少量の電流を定常的に流しつつ、定期的な測定で様子を伺ってみようと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その11〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、作成した微生物燃料電池32個すべてを使って、4個直列x8組の電池でLEDランプを点灯させ、そしてさらに、2個直列x16組の電池へ1kΩ抵抗をつないで電圧・電流を測定した。

今回は、本プロジェクトの目的でもある小型冷却ファンを回す実験をしたいと思う。

とその前に、2個直列x16組の電池へ1kΩ抵抗をつないだ時における、電池1組それぞれから出力される電流について測定してみる。

2個直列x16組の電池で1kΩ抵抗をつなぐ

構成

結果

1組の電池を構成するセル1、セル2の電圧、および1組の電池から出力される電流について、16組分の測定値を示す。

セル1とセル2の足し算はおよそ0.83Vになっており、抵抗端の電圧と一致する。セル1とセル2の電圧は0.3~0.5Vの間でばらつきがあることがわかった。

また、1組の電池から出力される電流についてであるが、均等に電流が流れていると予想したが、電流についても0~0.2mAとばらつきがみられた。組No.2とNo.3については0mAを示したが、電流計のレンジをμAのレンジで測定すると、2μA、15μAとわずかな電流が流れるのみであった。

組No. 電圧(セル1) [V] 電圧 (セル2)[V] 電流 [mA]
1 0.467 0.366 0.03
2 0.428 0.405 0.05
3 0.343 0.491 0
4 0.298 0.531 0
5 0.427 0.406 0.09
6 0.450 0.383 0.17
7 0.440 0.392 0.07
8 0.303 0.530 0.08
9 0.409 0.425 0.11
10 0.485 0.375 0.20
11 0.541 0.290 0.07
12 0.417 0.415 0.14
13 0.461 0.370 0.06
14 0.455 0.375 0.14
15 0.405 0.427 0.08
16 0.335 0.497 0.16

この電流のばらつきの原因は、電池の内部抵抗が関係していると思われるが、今後理由について考察してみたいと思う。

2個直列x16組の電池で小型冷却ファンを回す

さて、次はいよいよ小型冷却ファンを回す実験だ。

構成

まず、実験構成としては、前回に引き続き、2個直列x16組の電池を使いたいと思う。ファンを回すのに必要な電圧は、およそ0.8V、電流は10mAだ。0.8Vを得るために、電池2つを直列にしている。

総数32個の電池を使っても、間違いなく電流が不足すると思われるが、小型冷却ファンを接続して、最初の数秒間だけでも動く可能性があるので、試したいと思う。

結果

遂に回った。まずは動画で確認いただきたい。

負荷接続前の開放電圧は1.13V。

負荷接続直後、ファンが回転し、電圧計(右)と電流計(左)の値は、電圧0.8V、電流12mAを示したのが確認できた。その後、電圧と電流は下がり続けたが、ファンは約37秒ほど回転し、停止、活動限界を迎えた。

停止した時の電圧と電流は、0.58V/11mA。

遂にマイプロジェクトの目的をどうにか達成することができた。

しかし、回転したのはたったの約37秒。やはりずっと回り続けてほしいところだ。そのためには、電池セルを増やすことや電池セルの性能アップが必要である。

引き続き電池セルの性能アップについて実験していきたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その10〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、微生物燃料電池を8個(4個直列x2組)使って、ろうそく風のLEDランプを点灯することができた。しかし、数日経ってみると、電圧と電流は1.7V/0.1mAを切り、僅かな灯火となってしまった。やはり電流が不足しているようであった。そこで、現状ある電池全てを使って新たに実験をしたいと思う。

電池4個直列x8組にLEDランプをつなぐ

構成

結果

LEDランプ接続直後の様子

順調にLEDランプは点灯した。LEDランプに流れる電流は、接続直後、0.32mAが流れ、写真のような明るさを出していたが、徐々に電流は減っていき、2日目以降の計測値では、0.22mAで安定した。数日間の電圧と電流を測定結果を以下に示す。

日数 電圧 [V] 電流 [mA]
0 1.83 0.32
1 1.79 0.18
2 1.80 0.22
3 1.79 0.22

日数=0: 負荷接続直後

電池4個直列を並列に8組入れたので、電流不足はある程度改善されたようだ。過電圧(電池内部抵抗による電圧降下)が抑えられ、電流についても以前(4個直列x2組)より増えていることが確認できた。

ゆらめき輝くLEDランプが、お好きなお庭のライトアップに一役買うことができるかもしれない。

電池2個直列x16組に抵抗(1kΩ)をつなぐ

次は本プロジェクトの目的でもある、小型冷却ファンを回すための構成に近い形で実験したいと思う。ファンを回すのに必要な電圧は0.8V、電流は10mAだ。0.8Vを得るには、電池2つを直列にすれば良さそうである。そして、10mAの電流を得るにはまだ電池が足りないと思われるが、今ある全ての電池を使って、2個直列x16組の電池を構成した。この電池に抵抗をつないで電圧/電流の様子を一度確認しておこうと思う。つなぐ抵抗は、計算がしやすいように1kΩとした。

構成

結果

数日間の電圧と電流を測定結果を以下に示す。電圧で電流は少しづつ下がってきたが、3日目では、電圧0.826V、電流0.82mAとなった。

日数 電圧 [V] 電流 [mA]
0 1.018 1.01
1 0.917 0.91
2 0.855 0.85
3 0.826 0.82

日数=0: 負荷接続直後

負荷接続直後の電流が1.01mAであったことから、10mAの電流を流すには、抵抗を1kΩから10Ωにしないといけない計算になるが、間違いなく電流が不足して、電圧が急激に下がると思われる。しかし、小型冷却ファンを接続して、最初の数秒間だけでも動く可能性もあるので、次回試してみたいと思う。

一方で、負荷に流れる電流だけでなく、それぞれの電池1組から出力される電流についても測定し、全体の状態を把握することもやってみたいと思う。

定点撮影からみる石神井川の一年

石神井川の柳沢橋(西東京市柳沢)付近からの定点撮影を約1年間行ってきた。この場所で石神井川のごみ拾いを続けてきたのだが、およそ一か月毎の写真が集まったので振り返ってみたいと思う。

  • 2019/03/02
  • 2019/04/06
  • 2019/05/11
  • 2019/06/01
  • 2019/07/06
  • 2019/09/14
  • 2019/10/05
  • 2019/11/09
  • 2019/12/07
  • 2020/03/07

2019年3月から始め、8月、2020年1月、2月の写真が不足しているがなんとなく1年の移り変わりを感じていただけると思う。

3月、流れのない水たまりに、枯草の破片やペットボトルなどの軽いゴミが水面を埋め尽くしていた。

4月、水が完全に枯れる。中州には紫色の花(諸葛菜)が綺麗だ。

5月、水は枯れたまま。緑が濃くなる。

6月、未だ水は無い。5月の写真では左奥にヨシと思われる抽水植物がまっすぐ生えていたが、倒れていることから、増水による強い流れがあったのだろう。

7月、6月の梅雨でまとまった雨が降ったことにより、ようやく川に水が流れ、小川らしくなった。

9月、水の流れがあり、小川らしさが続く。背丈のある中州の植物は、軒並み倒されていた。関東各地に記録的な暴風雨をもたらした台風15号の爪痕ともいえる。

10月、降雨の影響により水は枯れることなく流れている。ここでは、魚の姿が見えなかったが、下流ではアブラハヤが見られ、生き物の多様性が感じられる時期であった。

関連コラム:魚影が濃い10月の石神井川

11月、水量、未だに豊富で、写真からも、水の流れを感じられる。各地で河川の氾濫をもたらした台風19号の影響であることは容易に想像できる。ちなみに西東京市に隣接する練馬区の観測データを見ると、10月12日の日降水量は、なんと282mmを観測し、1976年からの観測史上1位となっていた。30年ぶりに練馬区の日降水量の記録が塗り替えられるほど、石神井川上流域に大雨が降ったことがわかる。

関連コラム:水量が増えた11月の石神井川

12月、水量、未だ豊富。この場所から少し下流にある武蔵関公園の池を訪れたが、台風がもたらした大雨の影響により、池の水が透明になっていた。大雨により、池の水が全部入れ替わってしまたのだろう。9月頃に見たときは、池が緑色のアオコで覆われていたが、水深4050cmの池底までがはっきりと見える程であった。

関連コラム:自然の変化を味わう〜武蔵関公園の池

3月、既に水量は減っており、水の流れがほとんどなくなっていた。止水域のようになっていて、水の流れがあれば繁殖していないだろう藻が、幅を利かせていた。1年前の似たような風景が戻ってきた感じだ。

さて、この水はいつまでもつだろうか?今後もこの場所の定点撮影を続けてみたいと思う。

家庭でなんとか籾摺りをしたい〜その2〜

古代米を含めた少量の籾摺りが家庭で出来ないかと思い、アイディアを実践中である。前回は、ハンディフードプロセッサを使って籾摺りを試したが、回転する刃が鋭いためか、籾殻は外れるが、玄米が砕けるものが目立ってしまった。そこで3Dプリンタで鋭くないプラスチックの回転刃を作り、再度試すこととした。

今回制作したプラスチック回転刃

写真上が、ハンディフードプロセッサ付属の金属回転刃。写真下が、今回3Dプリンタで制作したプラスチック回転刃(ナイロン製)。(綺麗な状態で写真を撮り忘れました)

 

回転刃の取り付け

ハンディフードプロセッサのマニュアルに、回転刃の取り外し方が記載されているので、付属のツールを使い金属のパイプを回して外し、回転刃を交換した。精度が0.3mm程度と謳われていたが、穴寸に余裕を持たせなかったため、いまいち穴へのハマりが悪かったが、とりあえずは固定ができた。

籾摺り

籾から籾殻を取り除いて玄米にする工程が一般的に籾摺りと呼ばれているが、その工程は、さらに3つの工程に分けることができる。

  1. 籾から籾殻を外す(脱皮)
  2. 籾殻を取り除く
  3. 玄米の中に残る籾を取り除く

今回のそれぞれの工程の方式は、次のようになる。

  1. ハンディフードプロセッサの回転刃による衝撃で籾殻を外す方式
  2. 唐箕のように風で籾殻だけを吹き飛ばす方式
  3. 手動で取り除く方式。なお、玄米の中に残る籾を取り除く工程がなぜ必要かというと、一度の脱皮作業で籾から籾殻を100%外して玄米にすることは難しく、脱皮できない籾が残るためだ。なので、籾のない玄米を得るためには、玄米の中から籾を取り除き、再び工程1〜3を繰り返す必要がある。

籾から籾殻を外す

籾は前回同様に、赤米(紅吉兆・神丹穂がメイン)1合弱を使用。粒径が長く、芒(のぎ)も長い籾を容器に投入。

蓋を被せて、Lowボタン(低速回転モード)で約40秒(20秒x2回)運転する。ちなみにこのハンディフードプロセッサには、LowボタンとHighボタン(高速回転モード)がある。

籾殻が外れているのが確認できる。

籾殻を取り除く

籾殻を取り除くには、一般的に唐箕(とうみ)と呼ばれる、風を起こして籾殻を吹き飛ばす装置を使う。しかし、家庭には通常ないので、家庭にありそうなものでやりたい。そこで考えたのが、キッチンシンクで使うゴミネットを容器に被せて、ドライヤーの風で籾殻を吹き飛ばす方法だ。

風を当てる角度をうまく調整し15秒から20秒も風を当てれば、ネットに籾殻が溜まっていく。ネットに溜った籾殻を適宜取り除きながら数回繰り返すことで、ほぼ籾殻は無くなった。ただ細かいゴミがネットを通り抜けて、周辺が粉だらけになるので、汚れても良い屋外でやるか、事前に水切りボウルなどでふるいをかけ、細かいゴミを取り除いてから風を当てた方が良さそうであった。

玄米の中に残る籾を取り除く

玄米の中に残る籾を取り除く工程では、万石(まんごく)式、回転式、揺動式といくつかの方式があるそうだが、今回は、手動で籾を選別した。

薄いトレーに適量移し籾をピックアップしていく。地味な作業で時間はかかるが確実な方式でもある。今後は自作の籾選別機を作って他の方式を試して行きたいと思う。

で、よく見てみると、やはり砕け米が混じっている事が判明した。ハンディフードプロセッサの運転時間が長かったのかもしれない。なので、次はハンディフードプロセッサの運転時間を変えてちょうど良い塩梅を探ることにした。

適切な運転時間を探る

では適切な運転時間を決めるに当たって、具体的な数値による評価基準を決めたいと思う。評価基準としては、籾摺り終了後における、取り除けなかった籾数(残籾数)と回転刃の衝撃による砕けた米の数(砕け米数)を計測することにした。砕け米のカウント方法としては、玄米を100%として、その大きさの40%以下のものを目視で確認してカウントした。籾の量は、1合弱(67g)とした。

実験No. 高速運転時間[s] 低速運転時間[s] 残籾数[個] 砕け米数[個]
1 35 289 241(2g)
2 40 98 330(3g)
3 45 40 407(4g)
4 15 25 47 509
5 20 15 39 537

実験No.1、2、3は、低速運転時間35秒、40秒、45秒で運転した場合の残籾数と砕け米数である。運転時間が多くなるにつれて、残籾数が減り、砕け米数が増えるという結果は、予想通りであった。で、45秒の運転で、残籾数は40、砕け米数は407となったが、残った籾を40個程度なら数分で手で取り除けることと、砕け米数も、400個程度であれば、あまり気にならないレベルであることから、この状態を一つの目安とすることにした。

その後さらに、ハンディーフードプロセッサの運転時間を短縮できないかと考え、ハンディーフードプロセッサの高速運転モードを併用することを検討した。回転刃による籾への衝撃回数が脱皮する籾数と相関があると考えられるので、高速回転によって衝撃回数が増えれば、短い時間でも、一定の脱皮する籾数が得られると考えられるからだ。

実験4、5は、高速運転モードも併用して運転した場合の、残籾数と砕け米数の結果である。実験3の砕け米数よりは、少し大きい値(500個台)を示したが、実験3の45秒に比べて、実験4及び5のトータル運転時間は短い時間(実験4=40秒、実験5=35秒)となり、その時間で、実験3と同程度の残籾数(40前後)を得ることができた。

プラスチック回転刃の効果確認

実験No. 高速運転時間[s] 低速運転時間[s] 残籾数[個] 砕け米数[個]
6 20(10×2回) 269 2665(13g)
7 30(15×2回) 29 7380(36g)

ちなみに、制作したプラスチック回転刃がどれ程の効果があるのか効果を確認するために、ハンディフードプロセッサ標準の金属刃でのデータも改めて収集した。残籾数が29個となった低速運転時間30秒における砕け米数は、7380及んだことから、実験5の537と比べて、砕け米数は約14分の1に減り、制作したプラスチック回転刃に、効果があることが確認できた。なお、砕け米数の選別はなんとかできたが、それをカウントするのはとても大変であったので、1gあたりの個数を205として算出した。

まとめ

古代米を含めた少量の籾摺りが家庭で出来ないかと思い、ハンディフードプロセッサ自作のプラスチック製回転刃を利用して、籾摺りある程度できることがわかった。

昨年、娘が小学校でバケツ稲作をやっていたが、籾摺りとして、すり鉢に籾を入れて軟式野球ボールでこするという時間のかかる作業をやっていたそうだ。自分でもやったことがあるが、労力と時間のかかる作業で結構大変な作業だ。

軟式野球ボールでこすっても、特別な籾摺り機を購入しても良いかと思うが、もしご家庭にハンディフードプロセッサがあるなら、今回行った方式で少量の籾摺りをするのはいかがであろうか。

今後は、制作したプラスチック回転刃の穴がいまいち合わなかった問題の修正、実用的な必要量を現実的な時間で籾摺りできるのかの検証、それから、残る籾の選別装置の自作・実験を行ってみたいと思う。

続く。

家庭でなんとか籾摺りをしたい〜その1〜

昨年は、自然農という方法でお米作りを1から10まで体験した。その中で特に不便を感じた籾摺りについて、家庭でなんとかできないかを考えてみたので内容をお伝えしたいと思う。

自然のでの米作りを体験

自然農での米作りは、無農薬、無肥料、無耕起で行われるが、その大まかな手順は次のようになる。

  1. 4月末、種降ろし→種まき・苗づくり
  2. 6月上旬、田植え
  3. 7月・8月上旬、雑草取り
  4. 11月、稲刈り・稲架掛け(はざがけ、刈った穂を干す作業)
  5. 12月、脱穀(だっこく、稲穂から籾を外す作業)、籾摺り(もみすり、籾から籾殻を取り除き玄米にする作業)

上記以外にも、溝を掘ったり、スズメの食害を防ぐ防鳥ネットを張ったりもした。

9か月間にわたり、車で片道1.5時間以上かけ、2畝分の田んぼをやりくりするのは、結構大変な作業であったが、家族・親戚のヘルプもありなんとか収穫までこぎつける事ができた。この場を借り感謝したいと思う。

収穫したお米は、うるち米の他、赤米、黒米、香り米で、少量ながら多品種の栽培を経験した。特に香り米は、買ったお米に少し混ぜるだけでも、炊いた時の香りが格別で、このお米に出会えた事に感激である。

一方で、個人的に課題と感じた点も多々ある。

植えた苗がカモに倒され(「カモられる」と皆さん呼んでいた)苗の植え直しが発生したこと、草取りが大変過ぎて、雑になってしまったこと等だ。収量が期待していたより少なかった事を考えると、さまざまな要因が改善点としてあるので、次期は、プロセスを見直して、あらたな挑戦をしたいと思う。そして、終盤に感じた問題は、籾摺りの問題だ。

籾摺り機の問題

所属する会で利用できる籾摺り機は、精米機能のある籾摺り機で、私が加減を知らなかったというのもあり、籾を全て外そうと長い時間機械を運転したため、黒米に関しては、黒い皮がほとんど剥がれて白色になってしまった。短い時間で終わらせれば、黒いままの黒米が得られるのだが、その分、籾殻が外れない籾が多くなるからだ。また、機械が大きいが故に、気軽に少量を扱えないという問題もあった。

では、精米機能が無く、籾殻だけを上手くはずしてくれる籾摺り機はというと、メジャーなのが、ミニダップという籾摺り機である。遠心力を利用して籾をゴムにぶつけ、その衝撃で殻を割る方式のようだ。これであればうまく籾殻だけを外すことができるのだが、なにせ高価だし、そこそこ大きいので置き場にも困るので、個人で購入するにはハードルが高い。

そのため家庭用の籾摺り機が欲しいというのが切実な思いである。しかし、ネットで調べても、家庭で使えるような小型の籾摺り機が圧倒的に少ないのだ。家庭用として唯一ネットで見つけたのが、非電化工房さんの非電化籾摺り機だ。だが、一般的なうるち米が対象のようで、米粒のサイズが長いものや雑穀には非対応となっていたので、今回作った黒米は米粒が長いので対応できない可能性が伺えた。

ならば、黒米なんかにも対応できる籾摺り機をどうにか自分で作れないかと思うようになったのだ。家庭にあるものをできるだけ使って、安く抑えたいというのがコンセプトだ。

バーミックスで籾摺り

そこで考えたのが家庭用のハンディフードプロセッサーであるバーミックスの利用だ。容器下部の2枚刃が回転する事で、籾に衝撃を与え、籾殻が外れていくのではないかと考えた。

実際にやってみた。

籾は赤米(紅吉兆・神丹穂がメイン)1合弱。籾をセットして、10秒づつ様子を見ながら回転をする。計40秒程回したあと、蓋を開け、キッチン用のゴミネットを被せて、ドライヤーの風を当てることで、外れた籾殻を吹き飛ばした。

割りといい感じで、籾殻は外れたのだが、一定量の籾がどうしても残ってしまったのと、割れた米が目立ってしまった。

回転時間を増やせば籾殻をほぼ外せるが、割れた米が増えるというトレードオフが起きている。

そこで少しでも、米が割れるのを防ぐために、回転する金属製の刃を、鋭くないプラスチック製に変更したら良いのではと思い、3Dモデルを作り3Dプリンタでプラスチック製の刃を作ってみた。

果たしてその結果は?

次回お伝えしたいと思う。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その9〜

微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

前回は、電池のI-V特性を測定した結果、性能の良いセルを104個用意すれば小型冷却ファン(13mA/0.8V)を動作できそうだという予測がついた。しかし、104個はさすがに数が多いので、セルの性能をアップする事を課題に設定した。

性能アップの鍵⁉︎

そこで研究論文を調べた結果、ナノサイズの酸化鉄コロイド を発電に関わる細菌であるShewanella と共に加えると電流値が50倍以上になる結果を得たという論文があった。私が使用している堆積物の中に、このShewanellaがいるかどうかは不明であるが、いるという前提で、酸化鉄(α-Fe2O3 )ナノコロイドをアノード電極の周りに加えたいと思う。

で、酸化鉄(α-Fe2O3)と言えば、ラスコーの壁画で彩色に用いられたベンガラという赤色顔料と同じ成分であるというが、今回欲しいのは、粒子の大きさがナノサイズのものだ。岡山大学の研究室でナノサイズのベンガラを開発した記事を見たが、残念ながら気軽に購入できる代物ではなさそうであった。そこで天然の酸化鉄(α-Fe2O3)を採取することを調べてみた。

水田や流れのない小川の表面にできる茶褐色の被膜を見た事があるだろうか。被膜の成分には、α-Fe2O3が含まれるという報告もあるので、これがナノサイズであったら都合が良い話である。

という事で、先日さいたま市の市境にあるびん沼川のヘドロと被膜を含む水を採取しておいたので、これらを使って、微生物燃料電池を作ってみた。

アノード電極、カソード電極にグラファイトフェルトを使った電池を今回新たに8個(電池No.25~No.32)作成した。使った土は、びん沼川で採取したヘドロと被膜を含む水だ。写真のように、ペットボトルに採取した時点で、茶褐色の被膜は見えなくなっていた。

動作確認

これらの電池の解放電圧(mV)を1週間測定した。

日数 電池25 電池26 電池27 電池28 電池29 電池30 電池31 電池32
1 283 142 164 117 124 118 247 121
2 408 295 339 297 334 325 370 323
3 484 384 445 394 456 418 438 442
4 550 493 560 495 634 518 509 558
5 604 559 697 568 744 624 575 715
6 714 625 771 641 814 742 657 806
7 791 732 829 755 832 807 768 841

約一週間経過して、各電池とも開放電圧が732mVから841mVの値を示した。その後、No.27とNo.29のI-V特性を測定した。

No.27 12/7とNo.29 12/7の折れ線は、電池作成後、約1週間後のものだ。以前測定したNo.17の性能とあまり変わらないものであった。

そこで、電流を流すことで、微生物活性の向上を狙い、電池4つを直列にして10kΩ抵抗を接続することにした。一つ目(①)は、電池No.25からNo.28の組み合わせ、二つ目(②)はNo.29からNo.32の組み合わせ。4日経過して①および②の負荷電圧を測定すると730mV、1055mVであった。①に負荷電圧が随分小さくなっていたので電池毎の電圧を測定すると、なんとNo.26の出力電圧がマイナス325mVを示していた。理由はわからないが、意図しない事象になってしまった。この事象の理由は、後々検討したいと思う。

電池25 電池26 電池27 電池28 電池29 電池30 電池31 電池32
386 -325 347 316 325 166 293 267

その後、開放状態で放置すること10日。マイナスに振れていたNo.26の電圧は既にプラスに転じていた。再度No.27、No.29のI-V特性を測定したものが、No.27 12/24、No.29 12/24の折れ線である。I-V特性はNo.27 12/7とNo.29 12/7より良くなっていることがグラフから読み取れる。負荷を接続し電流を流すことは、性能向上の一因になったと思われる。

ただ、この性能は、アノードに炙ったステンレス網を使用したNo.7、No.8の結果と大差がないので、さらなる性能向上に挑戦したいと思う。

LEDランプの点灯

せっかくなので、今回作った微生物燃料電池を8個(4個直列x2組)使って、ろうそく風のLEDランプを点灯してみた。ろうそく風なので、明るさが揺らぎ、良い雰囲気が出る。ランプ内にはボタン型のニッケル水素電池が2つ直列になった、2.4V 80mAhの電池が入っていたが、この泥電池でもLEDランプを点灯することができた。負荷接続直後は、負荷電圧/電流が1.8V/1000μA程あったが、電流が少しづつ弱まってきて、一晩経ってみると、1.7V/200μAを切り、僅かな灯火となっていた。もう少し電池を足し、電流を増やしてあげれば、夜のライトアップに使える明るさになると期待している。

写真は負荷接続直後のランプの様子

参考:生きている電流発生菌Shewanellaの電気化学ー 外膜チトクローム c を経由する細胞外電子移動 ー

自然の変化を味わう〜武蔵関公園の池

12月の石神井清掃に参加してきた。

この日もポリ袋などのプラスチックごみが草木に絡まっているのが目立った。その他、お菓子の個包装、タバコの吸い殻、空き缶、ペットボトルを始め、空の財布やカード類も。常習的にここへいろんな物を捨てる輩がいると思われる。非常に残念な話だ。

プラスチックごみの中には時間が経っているため、手で触るとぼろぼろに崩れるポリ袋もあった。大きめのプラスチックが崩壊して、近年話題のマイクロプラスチックになっていく過程がこういうことなんだなと改めて感じる。

さて、先月に引き続き、石神井川の上流は、水量が豊富であった。湧き水の箇所も数カ所あり、見ていると心が洗われる気持ちになる。いい感じの小川が継続しているので、この状態が続いてくれると嬉しい。

下流の武蔵関公園の富士見池も見てきた。9月頃に見たときは、池が緑色のアオコで覆われていた(写真右)が、驚くほど透明度が良かった(写真左)。写真では判らないが、水深4050cmの池底までがはっきりと見える程であった。台風の大雨の時に池の水が全部入れ替わったのだろう。

こちらは、落ち葉の吹き溜まりだ。緩い流れがあるらしく、落ち葉はこの場所に吹き溜まってくるようだ。9月のアオコも同じ場所に集まっていた。このままだと、アオコの残骸もそうだが、この場所に落ち葉が沈み、ヘドロが堆積していく一方である。ヘドロからは、リンなどが溶け出してくるので、来年のアオコ発生の栄養源になってしまう。落ち葉を池から除去すれば、来年夏のアオコ抑制に繋がると思うのだが。

さっ、果たして、この水質はいつまで維持されるのだろうか。移り変わりのある富士見池であるが、こういった自然の変化を観察するのも一つの楽しみだと思う。自分で変化を見つけて楽しんでみてはいかがだろうか。

予想外な景色~びん沼川上流部

先日、さいたま市と川越市および富士見市の境界にあるびん沼川を訪れた。

びん沼川は、荒川の旧河道。明治43年の大水害がきっかけで荒川の直線化工事が行われたことからできた川だ。

びん沼川の下流部は、びん沼調節池として調節池機能をもち、増水時には、新河岸川の水は、新河岸川放水路、びん沼調節池を経て、南畑排水機場のポンプによって強制的に荒川に排水されるという。

市境や県境と言えば川であるが、直線化された荒川の方には市況がなく、旧河道であるびん沼川に市境があるのが、なんとも歴史を感じる部分である。

びん沼川の中下流部は、ヘラブナの釣り場として人気のスポットであるが、人のいない上流部へと向かった。上流部の川岸は雑木林で囲まれており、立ち入りずらい場所であるが、樹々が薄い辺りから進入を試みた。

外側からは全く見えなかったが、内側は予想外の景色であった。かいぼりで水を全部抜いてしまったようにも見えるが、氾濫原の湿地というような景色だ。ちょうど進入した区間は、水が無い場所であったが、この少し上流には池のようになっていた。水利組合のポンプ場のような施設もあったので、ため池として使うために、敢えて堰き止めているのかもしれない。

厚く堆積したヘドロの上に小川が流れている。中央にある小川の流れまで近づこうものなら、足がズブズブと沈んで底なし沼にハマってしまう。こういう時のために、かんじきがあるときっと便利なんだろうと思う。

川の表面には何やら茶褐色の沈殿物や光沢のある被膜が見られた。これは、油が浮いているわけではなく、鉄バクテリアが作り出した酸化鉄だという。被膜には、3価の鉄の酸化物α-Fe2O3 などが含まれているそうだ

α-Fe2O3と言えば、ラスコーの壁画で彩色に用いられたベンガラという赤色顔料と同じ成分だ。沈殿物を採取すれば、壁画が描けるのだろうか。

因みに被膜や沈殿物を手で触っていたが、案の定、手が鉄臭くなった。この臭いって一体?改めて鉄の臭いについて調べてみた。なんと、鉄そのものの臭いではなかったようだ。鉄イオンが皮脂と反応してできる1-オクテン-3-オンなどの揮発性物が臭いの元だそうだ。被膜や沈殿物の付近には鉄イオンも豊富にあるだろうから、私の手からたくさんの臭いが発生したという事だ。

最後に、びん沼川上流のため池を、あめんぼカメラで撮影したのでシェアしたいと思う。

紅葉が綺麗。