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籾の直播をやってみた

昨年より田んぼを借りて、自然農でのお米づくりを行なっている。自然農では、苗床で稲の苗を作り、耕していない田んぼに苗を一本づつ手で植えていく。栽培できる範囲は限られるかもしれないが、身一つあればすぐに始められるやり方だ。

私が借りている田んぼの広さは1畝より小さいが、それでも、手で植えていくには2日程度かかってしまう。そこで、この労力がもし減らせるものなら減らしてみたいと思っており、今年は、籾の直播を一部で試しているところだ。

播いた籾の種類

今年は、香り米(シフク)、黒米(チベット黒)、赤米(カンニホ)3種類の栽培に挑戦している。それぞれの種類について、3条づつ直播し、それ以外は苗を植えることにした。

籾の播き方

籾を播いた時期は、苗床を作った時と同じく4月11日であったが、気温が低い日が多かったため、発芽は遅く、5月初めであった。播くのが少し早かったかもしれない。

既に区画の周囲の溝には用水からの水が入っており田面は程よく湿っている状態になっていた。籾を播く場所は、雑草のとの競合を避けるために、15cm程クワで表土を薄く削った。こうする事で、生えている雑草と雑草の種を取り除く効果を期待できる。そこに株間20cmで籾を一粒ずつ播き、軽く土をかけ、最後に藁を薄く被せて、表土を保湿した。

その後の苗(シフク)の様子

5月17日、発芽して約2週間、敷き藁の隙間から稲の幼苗がツンと伸びているのをいくつか確認した。敷き藁のお陰で、稲の周辺の雑草が抑えられているようだ。

5月31日、葉が2枚に成長していた。雑草に紛れているため、発芽率がどのくらいなのかこの時点では不明であったが、籾を播いた箇所全てから芽が出ていないようだった。

6月20日、稲の苗と雑草を見分けながら、注意深く雑草を刈った。この作業は、とても神経を使う難しい作業であるが敷き藁のエリアから生えているかどうかで、ある程度稲と雑草を見分ける事はできる。しかし、敷き藁エリアに生えている稲によく似た雑草(ヒエ)もある訳で、これらは、触った時の硬さ、ヒゲの有無などを頼りに見分けることになる。分かっているつもりでも、時々迷う時もあり、雑草を愛情たっぷりに育てているケースが今後あるかもしれない。

雑草が無くなり見通しが良くなったところでようやく苗の生存率が見えてきた。約5割といったところだ。予想以上に低かった。今思う反省点であるが、5割の生存率であれば、1箇所に2-3粒播いておけば、全ての場所で苗が残ることになる。来年の話になってしまうが、次はそうしたいと思う。やってみないとなかなか気付けなかった課題であった。

直播エリアは発芽しなかった場所が半分くらいあるので、カモが着水するのに絶好の場所となってしまう可能性がある。着水しやすい水面を減らすために補植しておきたいところだったが、直播苗と移植苗の区別しておく管理が煩雑になりそうだったので、補植はせずに替わりにカモ着水除けの棒を挿しておいた。カモられないことを祈るばかりだ。

さて、ちゃんとお米ができるかは収穫時期まで待たなければならないが、籾の直播でもある程度いけるんではないかという感触が少し得られた気がする。今後の成長を見守りたいと思う。

庭の田んぼ池リポート2020年

今年で3年目となる我が家の田んぼ池では、ミナミメダカが元気に泳いでいる。

田んぼ池と勝手に呼んでいるが、プラ舟で作った池の半分を田んぼにしているから、そう呼んでいる。元々は、田んぼと小川の生態系の再現がコンセプトで始めたものだ。実際には小川のように水の流れがある訳ではないが、田んぼと小川の世界観というか日本の原風景を自宅で楽しんでいる。

この田んぼ池では、メダカが卵を産み、稚魚が成長し、また卵を産むといった自然の営み、そして稲穂を収穫し、種籾から作った苗を植え、また収穫したお米を頂くといった米作りの営みが、同時に体験できる。これが、この田んぼ池の最大の特長だ。

稲の種まきから今の状況

1年目、2年目ともに苗床で育てた苗を田んぼ池へ植えていたが、今年は、やり方を変えて、種籾を直接田んぼ池に播いた。この田んぼ池のサイズでは、どっちのやり方でも、大して手間は変わらないが、育てた苗を植える場合は、根が活着するまでに一週間くらいかかるので、活着するための余計なエネルギーがかからない直播の方が成長に有利な気がしている。

播いた種籾は、昨年、実際の田んぼで収穫した古代米(紫黒米)だ。古代米の方が、雑草的な強さを持っていると聞いたことがあるので、古代米を選択した。植えたつもりない場所で、以前の収穫時にこぼれた種籾が、ふさふさと実をつけていた事も、雑草のような強さを持つことを裏付ける。

種籾を播いたのは、4/12。昨年より10日程早く播いた。昨年、早く種まきした人が、良い収量を得たというのを聞いて、今年は自分も早く播こうと思った訳だが、今年は雨が多く気温がなかなか上がらなかったせいか、発芽も生育も遅かった。同じ話を仲間内からも聞いたので、全般的な状況のようであった。そして、5月初旬にようやく芽が出て、今はだいぶ育っている。

ちなみに、冬場に田んぼに水を張る(冬期湛水)ことによって、翌年も古株から稲が発生するという現象のことを昨年知り、とても気になっていたので、古株を田んぼ池の中にそのままにしていたが、さすがに新しい芽が出てくる気配はなかった。必要な条件を今後調べてみたいと思う。

メダカと池の状況

この田んぼ池のメダカはおよそ10匹程度が育っている。1年目も2年目も10匹程度であったが、増えすぎたりすることもなく、このサイズの環境に適した個体数が自然に調整されているような気もする。

池の中にはマツモを入れているが、勝手に増殖してきたのが正体不明の藻だ。池の作った初期の頃は、池の水が緑色になったり、アオミドロのような糸状の藻が優先し、マツモに絡まり、取り除くのも面倒であったが、今は、水も透明で、糸状の藻よりこの薄く面状に広がる藻が優先している。この薄く面状に広がる藻の方が、除去するのも簡単であるので、個人的には、こっちが優先してもらった方が都合が良い。見た目は悪いが、藻なので、池に酸素を提供し、そして、水に溶けた栄養分を吸収してくれる存在だ。見た目重視ですぐに除去するよりは、ある程度成長した後にこの藻を池の外に除去した方が、池の水の富栄養化防止にも繋がると思う。池の富栄養化防止の意味では、稲もその機能を担っている。池の藻や稲は池の水の浄化システムの一部になっているのだ。

今後の成長もまたリポートしたいと思う。

血液のように流れるたんぼの〇〇

先日は、さいたま市丸ヶ崎にある田んぼの排水路の草刈りに参加してきた。

4月中旬には、用水のU字溝の堀さらいがあったが、この日は排水路やその周りに生えた草の草刈りを行なった。排水路の水の流れを良くするのが目的だ。用水の溝はU字溝に整備されていたが、排水の溝は素掘りであり、いい感じの小川となっていた。ただ、水の流れる期間は限られるのが残念なところではある。

先頭を進む部隊は草刈り機で草を刈っていき、後ろの部隊が、ノコガマで、流れの邪魔になるような草を刈って、溝の横にどけて行く作業であった。

 

溝の中を歩いていると、たくさんのザリガニ、カエル、、タニシに出くわした。1匹だけ弱っているフナも見つけたが、他の魚は確認できなかった。近くのザリガニがそのフナをハサミで挟もうとしていたが、私はその場を見守るしかなかった。もし助けたら、フナの恩返しのようなストーリー展開になっていただろうか。

さて、この地域の田んぼでは、用水と排水がそれぞれ分かれているが、水の流れがどうなっているか気になったので整理してみた。

まず、見沼用水(見沼代用水東縁)の水は、基幹の水路を通り、地域の田んぼへと向かう。水は、さらに細い水路(幅20cm程のU字溝)へ枝分かれし、各田んぼの側まで運ばれる。各田んぼに水を入れる場合は、U字溝と田んぼを繋ぐ管が施設されているので、その蓋を開けることになる。

一方、排水は、およそ逆のプロセスを辿る。

各田んぼの側には細い排水路(幅50cm程の素掘り)があり、用水のU字溝より低い構造となっている。排水したい時は、やり方はいくつかあると思うが、田んぼと排水路を仕切る畔に小さい溝を切る。田んぼの水は、排水路を通り、基幹の排水路へと流れる。そして基幹の排水路から最後は、深作川へ注ぐ。

考えてみると、人間の心臓から送り出された血液が動脈から毛細血管を通り各細胞へ送られるのと同じような感じだと思う。

血液が酸素や栄養素を運んで来て、細胞でそれらを利用して、命を維持するためのエネルギーを生産するのと同様に、用水が栄養素を運んで来て、田んぼ(稲)でそれらを利用して、人の命を維持するためのエネルギー(お米)を生産するのだ。

昨今は血液の流れが悪くなることでさまざまな病気を引き起こすと言われているが、用水・排水の流れも同じで、流れを常によくしてあげる必要がある。

そう考えると、用水・排水のメンテナンスはとても重要な作業であると言える。

この作業のおかげで、きっと健康に稲が育ってくれることを祈る。

水路沿い道路の凹みの訳は?

お世話になっている自然農の会がある地域で、用水路の堀さらいがあったので、ボランティアとして参加してきた。

4月の中旬頃、見沼用水から田んぼへ水が引かれようになるので、U字溝に溜まった泥をかき出して、水の流れをよくするのが目的だ。

上の写真が、水路のU字溝で、幅はスコップ一個分だ。水路の長さは、だいたい300m程あって、その日は、7本の水路の泥をかき出す予定であったが、参加者が多かったため、2時間もかからず終了することができた。作業の合間、地元の方とも交流させて頂き、とても有意義な時間であった。その中で興味深いお話を聞けたので共有したいと思う。

先ず上の写真をご覧頂きたい。道路の左には水路、右側には田んぼがあるのだが、道路が少し凹んでいるのがお判りだろうか。

道路は元々平らな道だったというが、地盤が所々で凹んでしまったという。右側の田んぼに張った水が地下を通り、水路の壁面から少しづつ水が漏れていき、この時に、地下の泥も一緒に少しづつ流されていった結果、道路下に空洞ができ、路面が、凹んでしまったそうだ。この水路は、雨水排水と田んぼの排水を目的に周辺地域の住宅開発とともに作られたのだが、水路を深く掘ったことと、水漏れ対策が不十分であったことが原因で、このような事態が起きてしまったのだ。水路沿いの、とある田んぼでは、水漏れが悪化して、1m程の穴が田んぼに空いてしまったり、水漏れが止まらないため作付けをやめてしまっと所もあったという。なんともやるせない気持ちになる。

水路の深さは2m程であるが、水はちょろっと流れているだけだ。なので、平常時は、田んぼの水面との差が2m程あると思われる。もし水路の壁面に亀裂が生じていれば、田んぼと水路の距離も近いので、田んぼの水は、地下を通ってジワジワと水路へ流れていくのはなんとなく想像ができる。

似たような状況として、オランダの小川(溝)のことを思い出す。オランダでは、湿った土地を乾かすために、 周りに溝を掘る事がよく行われている。湿った土の水分は、溝へ移動していくので土地がだんだん乾いていくのだ。雨水排水や田んぼの排水が目的であるが、結果的に、湿った土地を乾かすことと同じことをしているように思えてしまう。

水路への水漏れ対策について役所に相談を持ちかけた事もあるそうだが、予算の都合で思い通りににはいかなかったそうだ。

自分が解決できる問題ではないのだが、仮に水路と田んぼの水面の差が小さくできるのであれば、水の移動は少なくなるかもしれない。下流を堰き止めれば、水路の水位を高められるはずだが、雨水排水機能も同時に維持しないといけないので、話は単純ではないだろう。もしかしたら、両立できる良い塩梅の水位があるのかもしれないが、現状では何とも言えないところだ。

今回、普段はなかなか耳にすることのできないお話を聴かせて頂いた。堀さらいをすると、いよいよ本格的な稲作の始まりを感じるそうだ。今年もおいしいお米ができることを陰ながら記念したいと思う。