小川の流れを辿ると地域の〇〇が見えてくる

小川の流れを地図で辿っていくと、いろいろな地名を目にすることになる。その中でも、地形に関係する漢字を含む場合は、そこへ実際に行ってみると、その高低差を感じことができ面白い。

地域の地形が見えてくる。

私の住んでいる西東京市並びに近隣地域の例を挙げてみたいと思う。

谷戸(やと)

西東京市に新川という川がある。といっても雨が降った時に水が流れるだけで普段は水は流れていない。流路のほとんどは暗渠になっている。

その川の上流を辿ると、西東京市谷戸町にあたる。ちょうど谷戸小学校の前あたりだ。

IMG_5824新川の暗渠

谷戸というだけあってゆるい谷状の地形になっていて、昔はこの谷戸から水が湧き、新川を形作っていた可能性がある。

Google Earthで標高差を見ると、新川の始まりの場所は、周辺より2m程低い地形をしている。実際に行ってみると、そのような土地の高低差を見ることができる。

沢(さわ)

東久留米市を流れる落合川の周辺には、沢(さわ)が付く地名がいくつかある。南沢、前沢だ。落合川やその支流の流れが「沢」であり、ここから地名が付いたと思われる。

沢の中心部(水の流れ)へ近づくにつれて土地が低くなっていくのが感じとれるだろう。

沢については辞書によって定義が異なるようだが、落合川の支流を例にとると、低地、浅い、植物が茂っている、細い川という要素をもっている。

IMG_7652沢頭(さがしら)の流れ(落合川支流)

沢登りをするような、山間の小さな流れとはまた異なる趣である。

沢は小川のひとつと言えそうだ。

窪(くぼ)

西東京市芝久保という地名がある。一般的に「久保」は「窪」の当て字なので、窪地がある可能性が高い。芝久保の場合は、例外ではなく、実際に窪地は存在する。

芝久保の地名が地形に由来していることが想像できる。

ちなみに「さいかち窪」という小平霊園にある窪地は黒目川の最源流部であり、2~3年に一度くらい水が湧き出る状態が見られるそうだ。

このように「窪」が小川の源流部になっているケースもある。

まとめ

地名に見かける地形に関係する漢字を3つ紹介した。

小川へ訪れる際、この漢字を含む地名を発見したら、その漢字が示す地形をしているか、歩きながらぜひ確かめてみて欲しい。

地域の地形が見えてくるはずだ。

辛いだけの上り坂は、地域の地形を感じる貴重な資源に見えてくることだろう。

小川と硝酸態窒素との関わり

硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)というものをご存じだろうか?

硝酸態窒素とは

硝酸イオン(NO3-)のように酸化窒素の形で存在する窒素(N)のことをいう。人間を含む動物が硝酸態窒素を大量に摂取すると、メトヘモグロビン血症などの酸素欠乏症を引き起こす可能性があることが指摘されている。なので、水道水質基準にも基準値が設けられ管理されている。

河川では

現在、河川の環境基準では、硝酸態窒素の項目は含まれていないが、河川の水質調査では、継続的な水質観測が行われている。

以前参加させて頂いた、新河岸川水系を対象にした身近な川・里川の一斉調査という川の水質調査活動では、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素に加え硝酸態窒素に関しても調査していたことを思い出す。

魚への影響

ところで、以前こんな話を聞いた事がある。絶滅危惧種のムサシトミヨは、埼玉県熊谷市の元荒川上流部にしか生息しない淡水魚で、保護増殖活動が行われている。保護増殖が成功した後には、昔に生息していた地へ移入する話があったようだ。しかし移入先の水質として、硝酸態窒素の濃度が、生息していた当時より高いという事があり、移入した場合の問題が心配されていた。

なぜ高いのか、正確なところは不明だが、農地で施される肥料が原因しているのではということだ。過剰に施された肥料成分(硝酸態窒素)が水に溶け、地下水として流れ、河川に流入しているのだ。

冒頭で触れた、硝酸態窒素による酸素欠乏症という事も、魚への心配事の一つであったのかもしれない。

アクアリウムでも

私は自宅の水槽で淡水魚を飼育を楽しんでいる。元気な野菜を育てるには土づくりからと言われるが、元気な魚を飼育するには、水つくりが大事である。魚のフンなどの有機物が、水中のバクテリアによって分解され、有機物→アンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩へ変化していく課程がある。

水つくりがうまくいっていても、硝酸塩が最終的に蓄積されていくので、硝酸態窒素の除去として、定期的な水替えが必要になるのだ。

まとめ

硝酸態窒素について、理解は深まっただろうか?

体内に取り込み過ぎると人間にリスクがあるように、小川の魚にとってもリスクがあるので、注意しておくべき物質であるだろう。

野菜作りでは、ついつい化学肥料を多めに撒いてしまうことってあると思うが、地下に浸み込み河川への汚染に繋がっていくという事実をぜひ知っておきたい。

 

 

 

小川の傍にも生えるシロツメグサなどマメ科の植物がもつ特徴とは?

問い

小川の傍にも生えるシロツメグサなどマメ科の植物がもつ特徴とは?次の4つのなかから1つを選んでください。

  1. 根粒菌と共生し、根粒菌が作る窒素化合物を得て生育する
  2. 根粒菌と共生し、根粒菌が作るリン化合物を得て生育する
  3. 根粒菌と競争する
  4. 毎日恋人を気にかけメールする

ヒント

根粒菌は大気の約80%を占める○○を使います。

 

 

 

 

正解

1.根粒菌と共生し、根粒菌が作る窒素化合物を得て生育する

解説

小川の傍にはマメ科の雑草が生えていますが、よく知られているマメ科の雑草といえば、シロツメグサではないでしょうか。四つ葉を探すのに夢中になった経験は誰にでもありそうですね。

そんなマメ科の植物は、根に根粒という器官をもち、その中に根粒菌というバクテリアの一種が棲んでいます。根粒菌は、大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定という)、植物の生育に必要な窒素を提供する機能を持っています。一方で根粒菌は、植物から光合成で得た栄養をもらいます。マメ科植物と根粒菌はお互いにメリットを享受している「共生」の関係にあるといいます。

なのでマメ科の植物はやせた土地でも育ちやすいようです。

自然栽培というのをご存知でしょうか?農薬も肥料も使用しない栽培方法です。肥料が無かったら畑はやせる一方ではないかという疑問がでますが、マメ科植物の窒素固定の働きが自然栽培のプロセスに一役買っているといということです。

さて解説です。

根粒菌が作るのはリン化合物ではなく窒素化合物(アンモニア)ですので2は不正解となります。マメ科植物は、根粒菌と競争している訳ではなく、「共生」の関係にあります。3も不正解となります。4のように「マメ」な性格な人はきっと異性にモテるに違いありません。

参考

「奇跡のリンゴ」石川拓治 幻冬舎

「すごい畑のすごい土」杉山修一 幻冬舎