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里山の雑木林の利用は滑川町のミヤコタナゴを救う(その1)

こんばんは。

日曜日は久しぶりに小川調査に出かけました。

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まず訪れたのは、埼玉県比企郡滑川町(ひきぐんなめがわまち)にある「滑川町エコミュージアムセンター」です。

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ここでは、国指定天然記念物ミヤコタナゴ(日本固有の淡水魚)を見ることができます。

関東地方に生息するミヤコタナゴは以前はどこにでも見られた魚だったのですが1960年ごろを境に急激に姿を消し、絶滅危惧種に指定されています。現在は千葉や栃木でわずかに生息するのみです。

埼玉県でも絶滅したと考えられていたのですが、1985年に滑川町のため池で偶然発見されて、さいたま水族館で人工繁殖が行われます。その後、1992年に水族館から譲り受けられてエコミュージアムセンターで飼育されています。

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2002年には町内のため池に稚魚200匹を試験放流したそうです。

同施設の担当の方にその後の経過について伺いました。

何回か生息の調査をしたそうですが、うまく自然環境に根付いていないかもしれないとのことでした。

自然を回復するということは簡単でないということを改めて感じさせられます。

では、自然環境に根付くようになるにはどうしたらよいでしょうか?

つづきは、次回のコラムに書きますね。

湧水のシンボル、バイカモが自生する水路

こんばんは。

年末に行った長野県南佐久郡佐久穂町にある妻の友人の別宅へお邪魔させてもらいました。

知らない地へ訪れた際は、恒例の早朝小川調査です。朝の散歩がてら近くの小川へ行くのはウキウキしますね。

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友人のお家の前に水路が流れていたので、この水路沿いに歩いてみました。この水路、山からの水を集めて千曲川へ注ぐ流れのようでした。この日は、朝雪が降っていたので、写真の左下に雪が積もっているのがお分かりでしょうか?

で、注目頂きたいのは、この水草の群生です。湧水のシンボルであるバイカモがたくさん生えていました。

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個体を少量採取したものがこれです。

バイカモは、冷たい流れのある河川や水路などに生育する常緑多年草の沈水植物です。春から秋にかけて梅の花に似た白い小さな花を咲かせます。 これが名前の由来になっているそうです。漢字で書くと「梅花藻」。節から出る白く長い根(不定根)で流されないように水底に張り付きます。

止水域では上手く育たないとのことですが、理由はおそらく光合成のために光を受ける量が少なくなるからだと思います。以前、知り合いの方(有限会社ピクタの陶さん)から聞いた話ですが、ミクリなど、流れのある川に育つ水草は、流されることで葉っぱを横一杯に伸ばすことができるので、光をたくさん受けることができるそうです。止水域では、葉っぱがたくさん光を受けられる状態にはならないので光合成が少なくなるそうです。バイカモでもこの話が当てはまるのだろうと思います。

淡水二枚貝の調査体験

こんばんは。

文化の日の今日いかがお過ごしでしたでしょうか?子供に文化の日ってなぁにと聞かれて、うまく答えられませんでした(汗)。「1946年(昭和21年)に日本国憲法が公布された日」ですって。反省…

今日は、茨城県の霞ケ浦周辺の水路で淡水二枚貝の調査に参加してきました。近年、霞ケ浦では水質汚染などにより生態系の破壊が危ぶまれており、「土浦の自然を守る会」では、霞ヶ浦を救済するために定期的に魚類調査や二枚貝の調査をしています。

【なんで二枚貝の調査をするの?】

みなさん、タナゴって魚をご存知でしょうか?二枚貝の中に卵を産むという特徴を持った淡水魚です。水草や石の表面に卵を産む魚もいますが、卵が他の魚に食べられてしまいす。ですがタナゴは、ある程度大きくなるまで二枚貝に守られて成長するので、大人になる確率が上がるのです。しかしその産卵母貝である二枚貝がいないと、子孫を残せないので、二枚貝が少なくなると、タナゴも少なくなってしまいます。なので、タナゴの調査とセットで二枚貝の調査もしているのです。

この日は、とある水路で調査をしました。調査した面積にどれくらいの二枚貝が生息しているのかの調査です。

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水路は水深20cm程で、川底には二枚貝が潜れるような細かい砂がありました。胴長を履いて、川底に膝をつきながら手さぐりで二枚貝を探し当てます。まさに宝探しです。

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そして、私も見つけました~ドブガイ類です。殻長(かくちょう)は10cm程ありました。見つけられるとやっぱり嬉しいですね。

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10名ほどでドブガイ類とイシガイがこれだけ獲れました。

とは言え、やっぱり数が減ってきていて、10年後にこの場所で捕れるかどうかは保証できないそうです。

淡水二枚貝は水質汚染に敏感だそうです。

絶滅はさけねばなりません。

川や水路を汚さないようにしましょう!

 

 

湧水豊かだった頃にいた井の頭池の生き物 その3

こんばんは。

湧水豊かだった頃にいた井の頭池の生き物、シリーズでお伝えしています。

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湧水豊かだった頃の井の頭池の再現だそうです。

ここではヤリタナゴ、モツゴ、タモロコなどが飼育されていて、ゆらめく水草(セキショウモ類)の中を泳いでいました。透き通った水中に鮮やかな水草の緑がとても心地よく思います。


水草から絶えず気泡が発生しており、お魚達の酸素を供給している様子が伺えます。

昔のような井の頭池を早くみてみたいですね(^^)

次回は湧水を増やす取り組みについてお伝えします!

湧水豊かだった頃にいた井の頭池の生き物 その2

こんばんは。
湧水豊かだった頃にいた井の頭池の生き物、シリーズでお伝えしていますが、今回はミヤコタナゴです。

ミヤコタナゴは関東地方に広く棲んでいましたが、1974年に国の天然記念物に指定され、今では千葉県、栃木県、埼玉県の限られた場所に残っているだけです。

井の頭池にも昭和30年代まで生息していたようで、湧水を水源とする清澄な小川や田んぼの水路を中心に多く棲んでいたようです。

しかし、湧水は枯れ、小川はコンクリートで固められたり、埋め立てられたりして、生息できる場所が急速に失われました。

ちなみにミヤコタナゴは、小型の二枚貝(特にマツカサガイを好む)に産卵し、幼魚の間貝体内で過ごし、8~9㎜に達すると貝から出てくるそうです。

なので、ミヤコタナゴを保護には、二枚貝と湧水の保全が必要なんですね。

エビモの鮮やかな緑色と、ミヤコタナゴの婚姻色のオレンジ色がとても綺麗で絵になります。個人的には、ずっと見ていたいです(^^)

湧水豊かだった頃にいた井の頭池の生き物

こんばんは。
東京都井の頭自然文化園の水生物館に行ってきました。

井の頭公園にある井之頭池は現在は濁っていて池の底が見えませんが、昭和30年代までは池の底が透き通って見えるほど美しい池だったそうです。
ところが、戦後、市街化が進むにつれて地下水位が低下し、湧水が枯渇するようになりました。それに伴い池の水質も悪化し、生き物が消えていったようです。

消えてしまった生き物は、
オイカワ、アブラハヤ、ヒガイ、ウグイ、ムサシトミヨ、ミヤコタナゴ、水草類
です。

水生物館では、消えてしまった生き物の一部が飼育されており、観察できます。

今回は、ムサシトミヨについてお伝えします。

ムサシトミヨは、背に8~9本のトゲをもつ体長が3~6cmの小さな魚で、小鳥のように巣をつくり、オスが子育てをする珍しい魚です。寿命は1年程度で、子育てが終わると力尽きたかのように寿命がきます。なんとも儚いですね。

我が家の金魚は、産んだ卵を親がパクパク食べていましたが、子どもへの愛情たっぷりなお魚ですね。

井の頭池は、2017年までに水質を浄化し池の底が見えるようにすることを目標とし、、行政・市民・団体が努力をされています。消えてしまった生き物が再びこの池で会える日を楽しみにしています。

ムサシトミヨが生息している場所は、埼玉県熊谷市にある元荒川の源流部のみで、源流部の400mが、県指定の天然記念物に指定されています。

元荒川の源流部は、水草がゆらめく清流で、ぜひ行ってみたい小川です。
さすがに、保護区域は無理かもしれませんが、あめんぼ目線カメラで撮影をしてみたいものです。

この水草はお家に持って帰って良いですか?

こんばんは。

先日ご紹介した寺尾調節池に、オオフサモの群生が見られました
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オオフサモは、南アメリカ原産の抽水性の水草です。

法律で、特定外来生物に指定されていて、飼育、栽培、保管及び運搬が原則禁止されています。(詳しくはこちら)

結論としては、持って帰っちゃいけません!

問題となる一例ですが、茨城県霞ヶ浦では、湖の一部や周辺水路で大繁茂し、在来種への影響が危惧され、駆除が行われているそうです。
 
 
小川で水草を採取する際は、間違って採取しないように特殊外来生物に指定されていないかチェックしましょう!

よく見るときもかわいい水性生物

こんばんは。
今日は水性生物による水質判定についてお話しします。
川にどんな水性生物がいるかで水質の程度を知る目安が決められています。
環境省が水性生物による水質判定の情報提供しています。
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ということで、試しに柳瀬川の河原で水性生物を探してみました!
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河原の石をひっくり返してみると、ヒラタカゲロウ類や
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ヒラタドロムシ類が見つかりました。

ヒラタカゲロウ類は、きれいな水の指標生物で、ヒラタドロムシ類は、ややきれいな水の指標生物です。
判定をするにはもっと複数の指標生物を採する必要がありますが、指標生物によって水質を判定できるんですね^ ^
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きれいな水の指標生物であるナミウズムシ(プラナリア)なんかは、より目なところがきもかわいい感じです^_^