微生物燃料電池のDIYやってみた〜その1〜


背景

先日、微生物燃料電池というものを、たまたま知った。WEBでいろいろ調べていると、海外でも日本でも研究がすすめられていて、実用化に向けた動きもある。

東京大学の橋本和仁教授の記事を勉強させてもらったが、微生物燃料電池とは、有機物を分解してエネルギーを獲得する際に電流を発生させる「電流発生菌」を利用した燃料電池のことだ。電流発生菌に有機物をエサとして与えると発電するのだ。

人は、有機物の持っている電子エネルギーを代謝過程の中で取り込んだ後、エネルギーを失った電子を、呼吸によって取り込んだ酸素に渡し、体外に捨てている。一方、電流発生菌は、電子を電極へ渡して、捨てることができるので、電極から電流がとりだせるという。

電流発生菌は、汚水の浄化にも利用できるということで、小川の水の浄化をしながら発電もできたら、すごいことなので、ぜひ、自分でもやってみたくなった。

参考にしたサイト

海外では既に微生物燃料電池の商品化がされている。

MudWatt:アメリカのMagical Microbesが販売。教育用の微生物燃料電池キット

BioPass:スペインのBiooが販売。植物ポットの中で発電し、LEDライトが点灯する。スマホとWifi接続できる

Sprout ‘n Spark:オランダのPlant-eが販売。植物ポットの中で発電し、デジタル時計が動く。

今回、DIYのために参考にさせて頂いたのが海外のこのサイトだ。

作って二ヶ月後、容器1つで開放電圧835mV、短絡電流13mAが計測されていた。なんか凄そうだ。そして、100円ショップで材料が揃えられそうというのもとても良かった。

電極作り1〜ステンレス網+活性炭〜

上記動画では、ステンレス網に活性炭を接着し、押しつぶすことをしていた。これにより、ナノポーラス構造のカーボンを形成するらしい。ナノポーラス構造とは、スポンジのような多孔質の構造で、孔のサイズがナノメートル級のものだ。微生物から電子をうけとるための表面積を稼ぐのに都合が良いと言う事だろう。詳細はわからないが、MudWattで使用されているグラファイトフェルトより良い結果を出しているそうだ。

では、レッツDIY!

材料

電線と平型端子以外は、100円ショップで材料を揃えた。

  • ステンレスの網(アク取り)
  • 活性炭素(脱臭剤)
  • エポキシ接着剤
  • 電線
  • 平型端子
手順

1. アク取りのステンレス網を取り外す。

2. ステンレス網の両面にエポキシ接着剤をつける。手袋をつけて指で丁寧に塗る。

3. 活性炭をステンレス網に振りかける。

4. 裏面も同じように活性炭を振りかける。

5. 4で作った電極を金属版などを使って上下で挟み、圧力をかけて押しつぶす。参考にした動画では、油圧式の装置で圧力をかけていたが、そんな高価な装置はないので、木の板と、C型クランプを2個使って試してみたが、これでは、圧力が弱く、ナノポーラス構造にはきっとなっていない。(おそらく失敗)

5. 電線をステンレス網と接続する。今回はちょうど家にあった平型端子を使って、網と電線をまとめて圧着して接続した。

期待通りではないが、一先ず完成。

組み立て

電極ができてしまえば、組み立ては簡単だ。

材料
  • 容器 x1
  • 作った電極 x2
手順

1. 容器の側面上部に導線を通すための穴を二つ空ける。

2. 田んぼの土を用意する。今回は庭に作ったプラ舟の田んぼがあるので、その土を使った。

3. 土を容器に入れる。量は1~2cm程。

4. アノードとなる電極(マイナス極)を配置する。容器の横の穴から導線を通す。

5. アノード電極の上にさらに4~5cm程、土をのせる。

6. カソード電極(プラス極)を土の上にのせる。容器の横の穴から導線を通す。

これで組み立て完成だ。

実験結果1

では、テスターで電圧を測定してみる。

243mVの電圧(起電力)が発生しているのが確認できた。

んっ?参考にした動画では、800mV以上発生していたのにだいぶ電圧が低い。動画では二ヶ月後の値だからある程度待たないといけないのかもしれない。

今回、前述したように、活性炭を金属板で挟み、油圧でプレスする装置がないため、プレスがいい加減な状態になっている。恐らく、期待していたナノポーラス構造にはなっていないと思う。なので、この方法での電極作りは一旦諦め、特殊な道具なしで簡単に作れる方法を調査し、試すこととする。

続く。


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