こんばんは。
前回の記事では、井の頭池の湧水復活に期待がもてる方法として、守田優さんの著書を紹介し、武蔵野市の地下水の汲み上げを適切に削減できるかが大きな課題であるとしました。で、武蔵野市の水道における地下水利用が約80%と大きいので、割合を減らせないのか武蔵野市に問い合わせてみました。
どうして地下水の割合が高いの?
武蔵野市水道部工務課からの回答を一部補足して要約します。
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【水道事業の創成期】 水道事業は、<strong>市独自の事業</strong>として昭和29年に始まった。<strong>水源は市内の深井戸100%</strong>であった。多摩地区の他の市町でも自前の地下水に依存する形で創設された。 |
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【人口急増期】 昭和30年代から<strong>多摩地区で人口が急増し水需要が逼迫した</strong>。各市町村は、東京都へ支援を要請し、その結果、東京都水道局からの<strong>23区向けの浄水からの分水が実現</strong>した。武蔵野市では昭和41年から定常的に分水を受水。当時の割合は<strong>地下水60%、河川水40%</strong>。でもこの分水料金が、23区向けの料金と格差があった。 |
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【都営一元化】 多摩地区市町は格差是正を求め、東京都はこれに応じる形で、水道事業の都営一元化を決めた。平成29年3月現在、計画対象市29市のうち、昭島市、羽村市、武蔵野市の3市を除く26市が一元化されている。 |
?という感じなので、私なりの解釈で簡潔にまとめてみます。
どうして地下水の割合が高いの?
「もともと地下水100%で水道を始めたけど、人口が増えて水道が不足したので、河川水を東京都から購入して不足を補うようにした。一方、他市のように、水道事業の一元化がまだ進んでいないから、他市に比べて、地下水の割合が高い。」
と言ったところでしょう。
武蔵野市は現在、都営一元化を進めるための準備を進めているようですが、何が問題で一元化が進んでいないのか、回答からはいまいち分かりませんでした。しかし、平成12年には次のような意向が示されていたようです。
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当面は武蔵野市の事業として運営し、一元化については市が進めている主要な施設整備が完了する段階又は一元化に関する住民のコンセンサスが得られる段階で検討する。(平成12年の意向) |
地下水の割合は減らせるの?
一元化がいつ実施されるのか分かりませんが、実施されればいづれ武蔵野市の河川水使用の割合が増え、地下水の割合は減ることと思われます。地下水の汲み上げを減らすことで、井の頭池の湧水が復活するはずだという立場をとると、「早く一元化してください!」ということになります。
一方、一元化しないで地下水くみ上げを減らす場合、東京都からの河川水の購入を増やす必要が生じます。その場合、経費を増やせる程、予算に余裕はないとのことでした。
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【水道事業の経営】 給水原価とは、水道水を1立方メートル作るのに必要とする経費で、平成27年度では184.14円/立方メートルである。 その内訳<a href="http://asoberu-ogawa.com/wp/wp-content/uploads/2017/03/H27武蔵野市給水原価.png"><img class="alignnone wp-image-1454" src="http://asoberu-ogawa.com/wp/wp-content/uploads/2017/03/H27武蔵野市給水原価-615x206.png" alt="H27武蔵野市給水原価" width="459" height="154" /></a>東京都水道局から購入する河川水は、水量で全体の約20%であるが、給水原価に占める受水費の割合は全体の45%となっている。河川水の割合を増やすことは、経費を増やすことになり、水道事業の経営を圧迫することにつながるため、大変厳しい状況である。 |
決められた予算のなかで水道事業が行われているのだから、これはもっともな回答だと思います。
まとめ
武蔵野市の水道の地下水割合を減らすには、水道事業の都営一元化の問題だったり、水道事業の予算の問題だったり、難しい政治の課題があることがわかりました。一元化を待つことが、一番現実的な気がしますが、いづれにしても地下水汲み上げ量が減る方策が早くなされることを切望します。
井の頭池の湧水復活により、東京に小川が増えるきっかけになると信じています。
参考
・武蔵野市水道部工務課からの回答
・多摩地域水道の都営一元化における広域化の意味
・多摩地区の水道