井の頭池の湧水復活に最も期待できる方法


こんばんは。

東京の桜の開花は3/23と予想されていますが、お花見が待ち遠しいですね。

お花見スポットとして有名な井の頭池ですが、今回は、井の頭池の湧水復活に関することを書いてみようと思います。

井の頭池は、東京都武蔵野市と三鷹市にまたがる井の頭恩賜公園内にある池で、開園100周年を迎える2017年までに、井の頭池の底が見えるようにする取り組みが行われています。

その池ですが、1963年に湧水が涸渇したため現在は地下からポンプで1日約3500トンが汲み上げられて池の水が維持されています。

これまで、井の頭池の湧水が涸渇した原因が、「周辺地域の都市化によって地下に浸みこむ雨水が減った」ためと理解していました。私がこれまで参考にした資料にもそう書かれてたものが多くありました。

しかし、守田優の著書「地下水は語る」にその本当の原因について詳しく書かれていました。

「そうだったのか~」という気持ちにさせられました。

井の頭池が涸渇した本当の原因

結論からいうと、地下水の過剰な汲み上げだといいます。

現在は、雨水が地下に浸みこんで補給されるより速いペースで汲み上げられているというのです。

一般的に雨水による地下への補給量は1日1ミリメートルという指標があるそうです。

一方、2009年の武蔵野地区の汲み上げ量(地域の面積あたり)は

武蔵野市:4.1ミリメートル

三鷹市:2.3ミリメートル

小金井市:2.0ミリメートル

だそうです。

いづれの市も、補給量のを越えて汲み上げているので、これだけで水の収支のバランスが良くないことが理解できると思います

そこで、武蔵野市のホームページをみると、水道水の約8割が地下水を汲み上げて使用していると記載されています。

三鷹市については約6割が、小金井市については約5割が地下水だそうです。(最新のデータではないかもしれません。)

「地下水だから水がおいしいよ」とうたっておりますが、武蔵野市民が飲んでいる水道水と井の頭池の湧水枯渇との因果関係について知ったら、武蔵野市民はそのまま水道水を飲み続けられるでしょうか?おそら多くの武蔵野市民はこのことを知らないのではないかと思ってます。

少なくとも私は、武蔵野市に10年くらい前に住んだことがありますが知りませんでした…

 

深井戸から汲み上げてるから井の頭池の湧水と関係ないのでは?

2017.3.28追記

武蔵野市の水道水源は、平均で地下250メートルの深井戸から汲み上げています。この地下水は被圧地下水と呼ばれています。一方、井の頭池の湧水は、浅い礫層からの地下水(不圧地下水)を水源にしています。被圧地下水と不圧地下水は普通は繋がっていないので、被圧地下水の汲み上げ量を減らしても、井の頭池の湧水が増えないのではという疑問が残ります。

しかし、武蔵野台地では、不圧地下水の層(不圧帯水層)と被圧地下水の層(被圧帯水層)がつながっているということを述べております。その裏付けとしては、1975頃、東京都土木研究所が実施した地下水の流動の調査を挙げています。武蔵野市の地下100m地点でトリチウム濃度が10から40を超えていたことから、不圧地下水から被圧地下水への漏水が生じていることを示唆しているというのです。また、掘削した井戸の周囲から人為的な漏水の可能性があることも指摘しています。

仮に漏水があったとしても、その量はよくわからないので、井の頭池の復活について確実なことは言えないと思いますが、1つの可能性として期待ができるのではと思ってます。(あくまで個人的な意見です)

課題

著者は、地下水の汲み上げを適正に削減することで、井の頭池の湧水が復活するにちがいないと述べています。

井の頭池(神田川水源)と同じく、善福寺池(善福寺川水源)、三宝寺池(石神井川水源)についても、三鷹市、武蔵野市、練馬区とつながる水脈からの汲み上げを適正に削減することで、湧水復活ができることを述べています。

雨水浸透桝を多く設置して雨水をなるべく地下へ浸透させることはとても重要なのですが、それ以上に地下水の汲み上げを削減することがもっとも重要だということだったのです。

よって、今後、地下水の汲み上げを適切に削減できるかが大きな課題となります。

武蔵野市民にとっては、自分たちの飲み水を変えてまで、憩いのシンボルである井の頭池の復活に踏み切ることができるのか?そこが大きなポイントであることでしょう。

武蔵野市がここまで地下水に頼る理由が何なのかは疑問が残りますので、改めて調査してみようと思います。

参考
・武蔵野市ホームページ
http://www.city.musashino.lg.jp/kids/sugoi/1011370.html
・守田 優(2012) 地下水は語る-見えない資源の危機 岩波新書