人工物である水路(時として小川と呼ばれるものもある)は、水をある場所へ運ぶために、時として川など水路にとっての障害物を超えないといけない時がある。
そこで、水路が障害物を超えるいくつかタイプを紹介したいと思う。
水道橋(すいどうきょう)
まずは障害物の上を通るタイプだ。
水道橋は、川や谷を超えて水を運ぶための橋である。
JR水道橋(すいどうばし)駅は、江戸へ飲料水を供給するための神田上水が、神田川を超えるために作られた水道橋があったことに由来する。
また、同じく江戸へ飲用水を供給するために作られた玉川上水の分水においても水道橋が見られる。
小平市には玉川上水の分水である田無用水と鈴木用水が交差する場所がある。田無用水の上を鈴木用水が通過する水道橋になっていて、石樋(せきひ)には「昭和五年十月成」の文字が刻まれている。
伏越(ふせこし)
次に障害物の下をくぐるタイプだ。
伏越は、わかりやすく言うと、川などの下をくぐって水を運ぶための構造物である。
先日、埼玉県上尾市瓦葺にある伏越を訪れた。この伏越は、見沼代用水が綾瀬川の下をくぐる構造物である。
かつては、伏越タイプではなく、木製の水道橋タイプ(掛樋(かけとい)と呼ばれていた)であったが、昭和43年にコンクリート製の伏越になったそうだ。
ちなみに、見沼代用水は、利根川の水を引いて埼玉県にある見沼たんぼへ農業用水を供給する水路だ。
そして、伏越には、逆サイフォンの原理が利用されている。
写真は、綾瀬川が左から右へ流れており、見沼代用水は、奥から手前へ流れている。写真奥の綾瀬川左岸から綾瀬川の下をくぐり、再び綾瀬川右岸に用水の水が運ばれている。途中、上向きの水の流れがあるというのが何とも不思議な感じがする。
伏越の仕組みを利用した水道橋
伏越の仕組みと水道橋の合わせ技として、逆サイフォンを利用した水道橋というものも存在する。深い谷を越えるための巨大な水道橋を作るよりコストが抑えられるようだ。
まとめ
水路が障害物を超える3つのタイプを紹介した。
散歩や観光でこのような構造物に出会った場合、どのタイプなのか見極めの参考にしてもらえれば幸いである。
参考
鹿島建設ホームページ