微生物燃料電池のDIYやってみた〜その6〜


微生物燃料電池で小型モーターを回す計画を前回立てたが、電池をもっと増産していかないといけない事がわかった。そこで、微生物燃料電池の増産を少しづつ始めたのでリポートしておきたいと思う。

微生物燃料電池の増産(電池No.9-12)

電極の組み合わせは、アノード電極に炙ったステンレス網、カソード電極に、ステンレス網(炙っていないステンレス網)を採用した。

電池No. アノード カソード
9 炙ったステンレス網 ステンレス網
10 炙ったステンレス網 ステンレス網
11 炙ったステンレス網 ステンレス網
12 炙ったステンレス網 ステンレス網

各電池の開放電圧(mV)の日数変化を以下に示す。

日数 電池9 電池10 電池11 電池12
0 349 370 387 327
1 408 408 432 412
2 576 533 626 610
3 656 631 690 651
4 733 674 760 685
5 740 639 768 681
6 727 664 766 695

思ったより開放電圧が上昇しなかったが、もしかしたら、グラファイトフェルトをカソード電極に使用した時との差が発生しているのかもしれない。もしくは、10月になり気温が下がってきたことによるのだろうか。

その後、負荷を接続してみることにした。電池No.9からNo.12を直列につなぎ、1kΩ抵抗とLEDを接続し、電流を流した。およそ1日経過した後の負荷両端の電圧は2.02Vを示し、その後は1.73V程度に安定し、2週間以上点灯を続けている。

前回作った微生物燃料電池の長期モニタリング

一方で、前回作った電池No.5-No.8の解放電圧も測定を続けた。次の表は各電池の開放電圧(mV)の日数変化を示す。21日目までの結果は、前回の結果を再掲している。

解放電圧45日目にはNo.6の開放電圧が459mVまで下がった。この時、泥が乾燥してきた可能性を疑い、No.5-No.8の電池へ少し水を加えてみた。その結果、50日目にはNo.6の開放電圧は799mVに回復した。しかしその後、61日目には146mVにまで下がってしまった。

日数 電池5 電池6 電池7 電池8
0 583 627 612 594
1 739 794 772 770
2 759 804 779 785
21 872 846 834 816
45 624 459 743 757
50 859 799 828 831
61 846 146 849 794

このように開放電圧が低下する理由として、少しずつ泥が乾燥してきたことが関係しているように思われたので、泥の乾き具合を確認し、湿り気をリセットすることにした。

各電池の泥を一旦取り出してみると、やはり初期の状態に比べると乾燥しているようだった。

上の写真は、電池を作る前の初期の泥の状態であるが、これと比べるとその差は明らかだ。

水を加え、練り直した泥を、電池へ再び充填した。

湿り気をリセットした後の各電池の開放電圧(mV)の日数変化を以下に示す。

日数 電池5 電池6 電池7 電池8
0 531 366 345 541
1 552 466 479 707
2 562 538 530 741
3 591 555 574 750
5 611 567 599 679

電池の解放電圧は、回復の兆しを示したようだ。やはり、時間の経過に伴い解放電圧が低下してくる現象は、泥が乾燥してくることが関係していると言えそうだ。

解放電圧の低下をさせないために、水分の蒸発を抑える工夫が必要かもしれない。ただ、カソード電極での反応では酸素が必要なので、通気性の確保も同時に考慮しないといけないだろう。

失敗から新たに学んだことを活かし、さらに電池の増産に励もうと思う。