微生物燃料電池のDIYやってみた〜その5〜


微生物燃料電池について、新たな実験を始めたのでリポートしたいと思う。新たな実験の目標は、微生物燃料電池で超小型の冷却ファンを回すことだ。もしファンが回れば、きっとエコな涼しい風に当たれるはずである。

ということで、前回までに作った微生物燃料電池の部品を一度ばらし、新しい微生物燃料電池を4つ作ることとした。電極の組み合わせは、安定して起電力が発生していた、炙ったステンレス網とグラファイトフェルトの組み合わせを採用した。

電池No. アノード カソード
5 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト
6 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト
7 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト
8 炙ったステンレス網 グラファイトフェルト

 

電極作り6〜グラファイトフェルト(改)〜

これまでの実験で使用してきたグラファイトフェルトの電極であるが、1月以上経過し、遂に不具合が生じてきた。

グラファイトフェルトに挿していた銅線部分が腐食によって断線してしまったのだ。

さらには、電線は細い複数の銅線でできているため、毛細管現象によって電線が水を吸ってしまい、電線を通して、容器の外に水滴がポタっと滴れる事態も発生してしまった。

このタイプの電線では、長時間の運用には向いていなかったようだ。

そこで、今回使用したのは、ステンレスの針金だ。これも100円ショップで売っていたものだ。ステンレスなので、錆びないし、細い銅線の集まりではなく、一本の線なので、毛細管現象も起きないはずだ。半田付けの手間も掛からないし、ただグラファイトフェルトに針金を差し込むだけというところも良い点だ。

材料

グラファイトフェルト(3x100x100mm)
ステンレス針金(φ0.9 x130mm)

手順
  1. ステンレス針金をグラファイトフェルトへ差し込む。

使う土

前回までの実験では、使う土が実験によって違ってしまったこともあったので、条件を一定にするため、これまで使った土を混ぜて、均一化した土を用意した。プラ舟田んぼの土、田んぼの土、川底のヘドロのスペシャルブレンド土を使用した。

組み立て後の様子

組み立てに関しては、以前の記事が参考になる。注意点としては、グラファイトフェルトがアノード電極の電線に接近していたので、絶縁のために、電線付近(上写真の左下)に食品ラップを少しだけ間に挟んだ。

実験結果

各微生物燃料電池の解放電圧(mV)の日数変化を以下に示す。

日数 電池5 電池6 電池7 電池8
0 239 212 150 445
1 511 724 532 659
2 727 831 783 773
3 738 837 795 787

3日経過後の状態で、電池4つを直列につなぎ10kΩ抵抗を接続した。そのときの、抵抗両端の電圧は1.48V、電流は0.15mAであった。

その後、抵抗を外し、各電池の開放電圧(mV)の日数変化を計測した。途中、旅行で留守にしたこともあり、計測ができなかった時もあるが、気づいたら20日以上計測を続けることになった。21日目の各電池の開放電圧は800mVを超える値となり、合計で3.43Vとなった。なかなか良い出来に仕上がったと思う。

日数 電池5 電池6 電池7 電池8
0 583 627 612 594
1 739 794 772 770
2 759 804 779 785
3 738 837 795 787
21 872 846 834 876

超小型冷却ファン

微生物燃料電池の出力電力はとても小さいので、できるだけ消費電力の小さい、超小型冷却ファンを探した結果、秋月電子通商のDC超小型冷却ファンを購入した。

秋月電子通商 DC超小型冷却ファン 0.8~2V 17mm角型

  • 消費電流:25mA(@2V)、13mA(@0.8V)

0.8Vから動作し、0.8V時の消費電流が13mAなので、微生物燃料電池を複数用意すれば、なんとか動作できるのではと思っている。

ちなみに、電池5~電池8を並列につなぎ、このファンを接続したが、もちろん回らない。ファンにかかる電圧と電流は、分極現象により電圧が下がり、約340mV、約2.7mAであった。

今回作った同じセットを、もっとたくさん作らないといけないかもしれない。

こりゃぁ、大変だ。


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