先日、又吉直樹のヘウレーカというテレビ番組で、「なぜ水がここに流れているの?」という内容が放送されていた。慶応義塾大学の岸由二先生が、案内役で、流域についての事がとてもよく分かる内容でとても勉強になった。
先生によると「地面の水は、流れる水と流れない水」があるということで、その事がよく分かる場所として、神奈川県三浦市にある小網代(こあじろ)の森が紹介されていた。
小網代の森には、1300m程の浦の川(うらのかわ)という小川が流れており、この森が浦の川流域を形作っている。水の流れを遮る人工物がなく、大地に降った雨水の流れがそのまま観察できる希少な場所だという。ちなみに、流域とは、降った雨がその川に集まる区域のことだ。集水域とも言われる。
番組終盤には、流域の最大の機能について紹介されていた。
「流域は水を集める。流れる水になることも、流れない水になることもある。流れない水は池に溜まったり、溝に集まったり、土に浸みたりする。土に浸みた水が川を作る。流れない水とは、乾燥していても川に水が出てくるもとになる。これが流域の最大の機能の一つ。」
とても、分かりやすい内容であった。
「流れない水」という表現が始めはピンと来なかったが、湿地帯における保水効果のことを意味しているということで、後から合点がいった。
もし保水効果がなければ、川の水は雨が降った時しか流れないことになってしまうだろう。保水効果があるからこそ、雨が降らない時も、少しづつ保水した水を放出し、川の流れが作られるのだ。
我がまちの石神井川の上流部では、雨が降らないと、水の流れがなくなってしまう川だ。もともと水源に湧水が豊富な川ではないので、流域の保水機能が十分ではなかったとも言える。だが、近年の流域における開発により、田んぼ・畑、森や湿地が減り、保水機能はさらに減少しているといえる。降った雨水は一気に川へ集まり、増水にによるリスクが増加している。
保水機能を向上するために、私たちにできることは無いものなのだろうか?改めて考えさせられる。
番組の最後には、小網代の森で何を学べるかが紹介されていた。
「小網代の森は、源流の森から海まで、全部1つの自然の水の循環が体験できる場所。ここで水のことのことを体験すると、密集している街で何をしてはいけないか、流域の洪水を緩和するにはどうするべきか、そういう知恵をここから学ぶことができる。」
子どもの夏休みも残りわずかであるが、この夏、小網代の森へ行ってみて、水のことを学んでみてはいかがであろうか?
私も行ったことがないので、ぜひ一度訪れてみたい。