微生物燃料電池のDIYやってみた〜その13〜


微生物燃料電池で小型冷却ファンを回すマイプロジェクトを実行中である。

電池セルの性能アップを模索する中、電池セルのヘドロに米ぬかを投入することで、性能アップできるかを試すこととした。そこで前回は、現状の電池セルの性能測定した。今回は米ぬかを投入し、電池セルの性能測定する。

米ぬか投入方法

米ぬかの投入方法であるが、まずカソード電極を取り外し、アノード電極の上にあるヘドロを一度取り出し、米ぬかを5gをアノード電極の上に振り撒く。表面のヘドロと撒いた米ぬかをヘラで軽く混ぜる。その後、ヘドロを入れ戻し、カソード電極を取り付ける。

この方法により、電池セルNo.35およびNo.36の2つについて実施した。

結果

電池セルのそれぞれには10kΩの抵抗をつなぎ、日数経過による電ある[mV]を測定した。

日数 No.35 電圧 No.36 電圧
0 592 521
1 554 516
2 505 475
3 343 356
8 140 127

3日経過したところで、大幅に電圧が下がり始めたので、抵抗を外した状態で開放電圧を測定することとした。しかし、開放電圧は下がる一方で、8日目にいてはそれぞれ140mV、127mVと非常に小さい電圧となってしまった。

これでは、性能アップのどころの話ではない。失敗である。

なぜ失敗?

アノード電極やカソード電極の状態をリセットすべく、電極を水洗いした後開放電圧を測定してみたが、全く良くなる傾向がみられなかった。

その後、ネットである論文(*1)を見つけ内容を読んでみると、有機酸組成の変化が微生物燃料電池の性能に影響を与えるということが書かれていた。電流発生菌の餌となるのが乳酸や酢酸などの有機酸であって、例えば、電流発生菌である、Geobacter属は酢酸を餌に、そしてShewanella属は乳酸を餌にするとのことであった。つまり餌となる乳酸や酢酸の割合が変化すると電池の性能に影響を与えるということのようだ。飯が変わると人間も働きが悪くなるというのはとてもありそうな話だ。

米ぬかを投入したことによって、有機酸組成が変化し、これまで築かれていた電流発生菌の組成が変化、つまり、電流発生菌が大幅に減少してしまったということが起こっているのかもしれない。逆に、米ぬか投入で、電流発生菌よりも優先する微生物がいるのかもしれない。

さて、次の一手は?

米ぬかはいったん横に置いておいて、乳酸や酢酸を投入することで性能アップができるのかの実験に切り替えてみようと思う。

乳酸といえば乳酸菌飲料、酢酸といえばお酢。どちらも我が家にあるものなので実験できそうである。

ちなみに我が家ではヤクルトは少々値が張るので、ピルクル派である。

続く。

*1: 有機酸組成の変化が微生物燃料電池の性能に及ぼす影響 土木学会論文集G(環境),Vol.72,No.8,III_145-III_152,2016


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