こんにちは。
前回に引き続き、田無用水の再生という思いを込めて、田無用水を再生すると得られる3つの良いことをご紹介したいと思います。
良いことその2〜「水が人を呼ぶ」法則
昭和27年、東京都より田無用水の流水の中止通知が川筋の町村長宛てに届き、時の町村長は直ちに連盟で流水継続の請願書を提出しています。その請願書の中で、とても素敵な言葉を使っているのが印象的でした。
「水は人を呼び人はそれを慕って集う。」
まさに言い得て妙な言葉です。おそらく当時も語り継がれている言葉なのだと思います。
そして請願書の中でもこの言葉通り田無用水流域へ人が集まり発展してきたことを書きつづっています。
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この分水流域に来たり住んで開墾の鍬を振るう人が漸次増加するに及んで今日のごとき市町村が反映することが出来た訳であります。しばらくしてこの流域の住民はこの水によって食料の増産及び防火のために少なからざる恩恵に浴しつつ、生業に勤しみ子孫の繁栄のために努力しけり。 |
この言葉は、ビジネスにおける集客やまちづくりの方法に対して良いヒントを与えてくれます。
田無駅の北口には青梅街道を挟むように2本に分かれた田無用水がありました。現在は蓋がされて「やすらぎのこみち」や「ふれあいのこみち」と呼ばれる歩道になっています。そしてこの周辺には商業施設もたくさんあります。
もし、この歩道機能を残しつつ、小川のような田無用水が再生されたなどうなるでしょうか?
この名言が正しいとすると、当時は生活用水を得るため水を求めて人が集まってきましが、現代においては、小川から安らぎやふれ合いを求めて人が集まってくるはずです。
そうなるとどうでしょうか?商業施設の人たちにとって、田無用水という小川が集客のツールになってくるのです。田無用水沿いのカフェなんて最高です。小川に流れる清流の音を聴きながら過ごす時間はどれほど贅沢な時間になるでしょうか。
最近ではタリーズコーヒーが水辺のカフェということで、隅田川沿いにカフェを運営していますが、「水辺の賑わいを創出し、まちを活性化する」といった考えと同じことが言えるんだと思います。
通勤路として使っていた人だってメリットがあります。それまで、駅から家までの通り道でしかなかった歩道が、心癒される空間に変わったらどうでしょうか?会社でイヤなことがあっても、気持ちよくそこを通ることで、少しは元気になったりするのではないでしょうか。
このように水があると人が集まり、まちが活性化するのです。
再生に向けての課題解決できる?
「歩道機能を残しつつ、小川のような田無用水が再生させる」ということは難しい課題ではありますが、通路が狭ければウッドデッキのような通路の下に水が流れるようにしたり、通路が広ければ、半分は通路、半分は水路のようにして、水辺に親しめるような空間を作ったりできると思います。できる場所から少しずつ、工夫していけば良いと思います。
田無用水の昔の様子
読んでいると心が躍ってしまう田無用水の昔の様子を文献から引用します。
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本流の川幅は、三、四尺位(90cm~120cm)で水量も多く、毎年春、秋には川浚いをしたので、水は綺麗で飲用並びに灌漑用に用いられ、<span style="text-decoration: underline;">夏になると子どもたちが泳いだ</span>ものである。 |
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用水は一日も渇くことなく水ぬるむ春ともなれば、ネコヤナギの芽が銀色にふくらみ、初夏には<span style="text-decoration: underline;">ホタル</span>が川面に飛び交い、秋には野鳥のさえづり、冬には笹つららができ、<span style="text-decoration: underline;">四季折々の風情は人の心を癒し平和な流れ</span>であった。 |
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川のふちは土手で、そこにはオオバコ、シバクサ、ドクダミ、ヘビイチゴなどいろいろな野草が生えていた。また、水の中には、<span style="text-decoration: underline;">メダカ、フナ、エビ、ドジョウ</span>などこれもいろいろな魚がおよいでいた。 |
「都会」と「用水という癒し空間」の融合は、新しい時代の潮流になってくると思います。
現代に生きる我々であっても水を慕う心は昔から変わっていないはずです。
参考
・『夏休み特別教室「田無の昔を知ろう」その2(水と暮らし)』田無市教育委員会
・『田無用水』保谷象一郎 著