9月になり、我が家の家庭菜園では冬野菜の準備を始めた。家庭菜園2年目にして今回は初めて、ハクサイとキャベツの種まきからの栽培に挑戦している。キャベツの発芽が悪く、一週間経ってから再度種まきをするという軽い失敗はあったものの、今は少しづつ成長を見せている。冬に向けての収穫ができるか楽しみである。
ところで、農業にはいくつかの農法があるが、私の場合、一年ほど前に自然農という農法を知り、見よう見まねで実践しているところだ。
自然農とは、川口由一さんが提唱する農法で、耕さない、肥料・農薬を用いない、虫や草を敵としないという3原則で実践している農法だ。農薬や化成肥料を使う慣行農法や基本無農薬で有機肥料を使う有機農法とも異なる農法である。
ここで注目したいのは肥料・農薬を用いないという点だ。小川などの水域の問題解決にプラスに働くものなので注目してみたい。
まず肥料に関してだが、施した肥料の多くが作物に利用されずに雨水に溶けて、地下へと流出しているという事が起きている。
肥料の成分には、窒素やリンが含まれていて、雨水に溶けて地下水となる。窒素やリンを多く含んだ地下水はやがて川へ流れて、海までいく。これにより川や海は、栄養の多い状態、つまり富栄養化した状態になる。この栄養は、水中の植物プランクトンの餌になるので魚が増えて良いんじゃないかという発想になるが、富栄養化が過ぎると新たな問題が発生する。海の養殖場で赤潮によって魚が死んでしまう問題があるが、赤潮の問題は水域の富栄養化が原因とされている。富栄養化状態では、植物プランクトンが大発生することがあり、そうなると、水中の酸素が大量に消費され、水中の酸素濃度が低下し魚が生きていけなくなるのからだ。
もちろん富栄養化の要因は、肥料だけでなく、生活排水の川への流出も要因の一つであるが、肥料を用いない自然農の考え方は水域の富栄養化の影響を減らす方向に働く農法と言える。
また農薬に関してだが、農薬の影響で絶滅リスクが高まっている生き物がいる。
例えば水田環境では、水田の小川に生息するメダカやタナゴは絶滅危惧種となっていて、その要因として、圃場整備による生息域の破壊や外来種の影響があるが、農薬の影響もある。もちろん農薬の種類や散布量によっては個々の生き物に対する影響度は異なるだろうが、農薬は生き物にとってリスクだ。
低農薬で生き物に優しい農業を謳う場合があるが、無農薬である方がなお優しい。
無農薬でなされる自然農は生き物の絶滅リスクを減らす方向に働く農法と言える。
以上のように、自然農は、水域の富栄養化リスクと生き物の絶滅リスクを減らす方向に働く農法だと言える。
環境問題を無視できないこのご時世、環境のために何かできることはないだろうか?家庭菜園をやっている私は、肥料を用いない自然農で小川や海に良いことをやろうと思う。