田無駅から西武線新宿線を使って都内に通勤していると、東伏見駅と武蔵関駅の間に、池のある公園が見える。
東京都練馬区にある武蔵関公園だ。
この公園には富士見池というひょうたん型の池がある。その昔、「関の溜池」という湧水池あり、石神井川の水源の一つになっていたという。
現在は、北側はボート池になっていて、3月から11月の間、手漕ぎボートを楽しめる。
夏場、電車の窓から見える池は、緑色に見えたが、12月のこの日、緑色ではなかったが、茶色く透明感はなかった。湧水の激減で水の循環が少なく水質はよろしくないようだ。
一方で石神井川を覗くと、水の透明度がとっても良いのに驚いた。垂直の鉄の護岸の見た目から、ドブ川のイメージをついつい持ってしまいがちだが、上から覗くと40cm程の水深の川底がはっきりと見える。クリアな水があるだけに、鉄の護岸が本当に残念な感じだ。
すぐ上流にある早稲田大学グラウンド横は鉄の護岸と正反対で、多自然型工法で整備されている。
瀬や淵といった要素に加え、岸辺の植物が、自然な川を形作っている。川を眺めていると、川底の深みに小魚の姿や、カワセミがビューンと通り過ぎるのも観察できた。ここはいい感じの小川となっている区間だ。
護岸の隙間からは湧水がいくつか確認できた。この湧水が水質向上に貢献していると思われる。
そんな石神井川の水をポンプで揚水(参考資料には1日540立方メートという記載も)して池へ導水しているらしいが、効果は出ていないようだ。
平常時の貯水量が不明だが、満水時貯水量(33800立方メートル)の半分としても、全部の水が入れ替わるのに約1ヶ月かかる計算になる。井の頭池の湧水が豊富だった時は、1週間で池の水が全部入れ替わる湧水量であったというから、導水量は池の水質維持には十分とは言えないだろう。
気になったは、池の水質悪化を防ぐためと捨てた釣り糸が野鳥にからまるのを防ぐためという理由で、つり禁止という看板があることだ。一見するとよくある看板の禁止事項にも思えるが、少し違和感を感じた。
撒き餌を含む釣り餌が池の富栄養化の原因の一つになり得ることは理解している。しかし、どれほど影響しているのか、ちゃんと把握した上で記載しているんだろうか。釣り禁止の現在、水質改善ができていない状況を考慮すると、釣り禁止が水質改善の効果をもたらしていないと言える。
おそらく落ち葉といった有機物が池に入る量の方が圧倒的に多いだろうから、落ち葉に由来する池の富栄養化の方が大きいと思う。池への導水量が増やせない事情があるとするなら、池に入る有機物量を減らすとい手もある。池の水質改善を本気で考えているなら、釣り餌の流入を止めるだけではまず足りない。池から落ち葉やヘドロを出すことも必要だろう。流行りのかいぼりの計画はないのだろうか。
私は釣り禁止を止めろと言いたい訳ではない。池の水質改善に効果が高くないのに、看板の最初に書くのはどうなんだろうという疑問があるだけだ。捨てた釣り糸が野鳥にからまるから釣り禁止だとシンプルに書いていただいた方が、良いのではないかと。
池の水質改善気になるのは、そばを流れる石神井川の川底が池の底より低いことだ。昭和の河川改修で川底を深くしたからだ。
このことから池の水が地下を通って石神井川へ流れているとの指摘もある。
参考
https://www.env.go.jp/water/junkan/case2/pdf/11.pdf