神代植物園の池 かいぼり体験


先日、東京都公園協会が主催するかいぼりボランティアに参加して来た。私個人としては、念願の初かいぼり、とても良い経験ができた。

そもそも、かいぼりとは、どんなもなのだろうか。東京都公園協会の事前講習会で得た情報から説明したいと思う。

かいぼりとは

かいぼりとは、農閑期ため池の水を抜き一定期間干して清掃堤や水路にの点検補修を行なう作業だ。近年は、池の水質改善や外来種の駆除を目的に行われる例が増えてきているそうだ。

かいぼりの効果

かいぼりをするとどんな効果が期待できるのだろうか。主に以下の効果が期待できる。

池の水がきれいになる

物理的に水の入れ替えが発生するので、水が綺麗になる。

池にゴミがなくなる

池の水を抜くと、今まで見えなかったゴミが見えてくることがある。三鷹市の井の頭池のかいぼりではたくさんの自転車がでてきたことは有名だ。かいぼりで発生したゴミは除去される。

底泥の窒素除去(富栄養化物質の除去)

池に水があるときは、池底の土は、ほとんど酸素なしの嫌気条件になっている。しかし、池の水を抜き、一定期間底泥を干すことで土中に酸素が供給されるようになる。そうなると、土中の表面に近い層は、酸素ありの好気条件となり、酸素なしの嫌気条件の層との境界が土中の深くへ下がる。このとき土中では、好気条件ではたらく細菌と嫌気条件ではたらく細菌が機能して、土中のアンモニア性窒素が最終的に窒素ガスへ変化して外へ出ていく。土中の窒素成分は、水中へ溶けて池の富栄養化へはたらくので、窒素ガスとなって土中から外へ出ていけば、池の富栄養化防止に役立つということだ。

外来種の駆除(在来種の保全)

池へ勝手に生物を持ち込むことによって、もともとあった生態系のバランスが崩れ、在来種の魚などが少なくなってしまうことが多い。池の水を抜くことで、生物を捕獲・仕分けし、外来種の駆除できる。

埋土種子の発芽

水草の種子は何十年も休眠状態でいられる。かいぼりによる撹乱や水が綺麗になることで水草の種子に光が届くようになることで、休眠していた種子が発芽することがある。井の頭池では、絶滅したとされていたイノカシラフラスコモの生育が確認されたそうだ。

かいぼりの作業の流れ

かいぼりの作業としては以下の流れがある。

  1. 水質や生物の事前調査
  2. 排水
  3. 生物の捕獲・仕分け
  4. 飼養
  5. 復水
  6. 生物を池に戻す
  7. 定期的なモニタリング

このうちボランティアが行う作業は、人手を要する生物の捕獲だ。たも網や四手網を使って、ひたすら生き物を捕獲する。

いざ現場へ

今回の会場は、東京都調布市にある神代植物公園の上池と下池だ。この池はもともと人工池なので在来種も外来種もないのだが、水質改善と池を作った当時の生態系へ近づける事が目的となる。

私が担当した現場は、下池であったが、到着した時には既に、水は10cm以下に抜かれていて、水面の波紋から、エビや魚がたくさんいるのがわかった。

胴長を着て池に入る時、ヘドロにどれほど足が埋もれるのか心配したが、そんな心配は全く不要だった。足裏は15cm程ヘドロに埋もれた後、すぐに硬い底を捉えた。足裏の感覚から、池底は硬くて平らだった。確認はできなかったが、観賞用の人工池ということからコンクリートの池底だったということもあり得るかもしれない。

さて、生き物捕獲の開始だ。波紋が広がる場所をたも網で掬ってみる。

ヘドロや枝葉と一緒にエビや小魚がたくさん入った!

例えば小川で、タモ網を使いガサガサした場合、エビや小魚が数匹捕獲できれば上出来だ。ところだが、かいぼりでは、一網でいとも簡単にエビや小魚がたくさん捕獲できるのだ。これこそが、かいぼりのもっともエキサイティングな点だ。

捕獲した生き物は、バケツへ入れるが、できるだけ生き物だけをバケツへ移すことがポイントだ。泥がバケツに混ざると、小魚のエラに泥が詰まってしまうので、小魚の負担になる。なので、なるべく早めに濁りのない水槽へ運搬できるよう、バケツの水が濁ったら、バケツをこまめに取り替えることが重要だ。

その後ひたすら捕獲すること1時間、自分で捕獲したのは、コイ2匹、小さい魚やエビについては、200匹以上タモ網で捕獲したと思う。

それでも全てを獲りつくすには、もう少しかかりそうだ。午前中で一旦作業は終了したが、午後も作業したい人は、捕獲作業は続くということだ。

作業終了後に、速報として捕獲した種が発表されていたが、上池と下池で捕獲した魚は、コイ、フナ、モツゴ、メダカ、ヨシノボリ類であった。それとスジエビとカワリヌマエビ類。クサガメとイシガメの雑種もいたそうだ。

仕分けと集計作業の場には、2つのプラ舟に満員のエビと小魚が仕分けと集計を待たされていた。かなりの過密状態であった。ブクブクはプラ舟に一つずつあったが、この過密状態で酸素供給は足りているのかと少し心配になるくらいだ。あまりの数に仕分けと集計作業の人たちは少し混乱しているように見えたが、もはや浮いている数十匹の幼魚に気を留める人はいないだろう。私はここで帰宅したが、気の遠くなる仕分け・集計作業が続いたのだと思う。この作業にもボランティアを使えば良いと思うのだが。

まとめ

今回、初めてかいぼりに参加したが、比較的ヘドロが薄い池であったためか、TVで見る様な池での移動に苦労する事はなかった。なので苦労よりかは楽しいかいぼりという印象であった。

果たしてこの池のかいぼり効果はどんなものになるのでしょうか?今後の結果に注目したいと思う。