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自然の変化を味わう〜武蔵関公園の池

12月の石神井清掃に参加してきた。

この日もポリ袋などのプラスチックごみが草木に絡まっているのが目立った。その他、お菓子の個包装、タバコの吸い殻、空き缶、ペットボトルを始め、空の財布やカード類も。常習的にここへいろんな物を捨てる輩がいると思われる。非常に残念な話だ。

プラスチックごみの中には時間が経っているため、手で触るとぼろぼろに崩れるポリ袋もあった。大きめのプラスチックが崩壊して、近年話題のマイクロプラスチックになっていく過程がこういうことなんだなと改めて感じる。

さて、先月に引き続き、石神井川の上流は、水量が豊富であった。湧き水の箇所も数カ所あり、見ていると心が洗われる気持ちになる。いい感じの小川が継続しているので、この状態が続いてくれると嬉しい。

下流の武蔵関公園の富士見池も見てきた。9月頃に見たときは、池が緑色のアオコで覆われていた(写真右)が、驚くほど透明度が良かった(写真左)。写真では判らないが、水深4050cmの池底までがはっきりと見える程であった。台風の大雨の時に池の水が全部入れ替わったのだろう。

こちらは、落ち葉の吹き溜まりだ。緩い流れがあるらしく、落ち葉はこの場所に吹き溜まってくるようだ。9月のアオコも同じ場所に集まっていた。このままだと、アオコの残骸もそうだが、この場所に落ち葉が沈み、ヘドロが堆積していく一方である。ヘドロからは、リンなどが溶け出してくるので、来年のアオコ発生の栄養源になってしまう。落ち葉を池から除去すれば、来年夏のアオコ抑制に繋がると思うのだが。

さっ、果たして、この水質はいつまで維持されるのだろうか。移り変わりのある富士見池であるが、こういった自然の変化を観察するのも一つの楽しみだと思う。自分で変化を見つけて楽しんでみてはいかがだろうか。

水量が増えた11月の石神井川

先日、11月の石神井川の川掃除ボランティアに参加してきた。

この日、まず驚いたのが、川の水量の多さだ。ここ数年、石神井川の様子を観察してきたが、自分観測史上、最多の水量であった。

一体なぜこれほどの水量になったのか?それは、東日本に大雨による洪水の被害をもたらした台風19号の影響であることは容易に想像がついた。

神奈川県箱根町では、台風が上陸した10月12日の日降水量として全国歴代1位となる922.5mmを観測したという。

では、同日の石神井川上流がある西東京市ではどうであったのだろうか。気象庁のデータでは、西東京市に隣接する練馬区のデータが公開されているので、それを参考にしたいと思う。10月12日の日降水量は、なんと282mmを観測し、1976年からの観測史上1位となっていた。そのため1989年8月1日の日降水量が233mmで2位となった。30年ぶりに練馬区の日降水量の記録が塗り替えられるほど、石神井川上流域に大雨が降ったということだ。

さて、大雨から4週間も経過したこの日、石神井川は、見たことのない水の深さとなっていた。胴長を着て川に入ると、膝下まで水が来る。水深50cmは超えていた。いつもは表面が見えている岸辺が、水に覆われてしまっていた程だ。恐らく、台風前における水深の2倍以上になっていたと思う。6月の梅雨前までは、この場所の水が枯れていた事を考えると本当に希な事が起きたと言える。

別の場所では、見慣れない箇所から地下水が滲み出ていたのが確認できた。大雨によって地下水位がだいぶ上がったためと思われる。こんな湧水がポイントが他にも出来上がっていて、そこからの湧き水が、川の水量に貢献しているのだ。

各地で災害をもたらした台風であったが、一方で、地下水という恵みがもたらされたようだ。

また、増えたのは水だけでなく、ゴミも増えていた。いつもの清掃場所に2ヶ月ぶりにきたのだが、枯れ草に絡まるポリ袋ががとても目立っていた。増水時に流されてきたものと思われる。他には、お菓子の個包装、ビニール紐、空き缶、タバコの吸い殻、ガラス瓶、陶器のかけら、ライター、ゴルフボール、カード類、空の財布、コンビニ弁当ゴミ、ポリ袋に詰められたモルタルのようなもの、などなど。

それから、少し下流の場所では、大掃除でもしたのか、明らかに家庭ででた不用品の数々がポイ捨てされていた。丸めると米俵くらいの大きさになるゴムマットのようなもの、アイロン、鍋などなど。大量のゴミが収集された。

上の写真はこの日の成果である。年末に向けて、大掃除も始まる時期だろうが、次回は、粗大ゴミを見ないで済む事を期待したい。

川に増えるのは、水量と多様な生き物だけであって欲しい。

小川へのポイ捨てを減らすアプローチ

先日、石神井川の清掃活動に参加してきた。毎月第一土曜日に開催されるボランティア活動だ。

集合場所である弥生橋まで行く途中に石神井川の様子を見ながら向かうのだが、いつも清掃する場所では、ゴミは少な目であった。

それならばと思い、少し上流に位置する、いつもゴミがあり気になっていた場所へ出張することにした。通常の活動場所ではないため、ゴミが多めな場所だ。

この場所でゴミを拾うには、まず川へ降りないといけないが、この付近に降りやすい緩斜面や階段はない。弥生橋の緩斜面から川をずっと歩いて行く方法も考えられるが、途中深い水溜りがあるため、胴長を着ていても渡るのをためらう難所がある。したがって、コンクリートの岸に備え付けられている梯子を使って降りる事とした。

水の流れが草で堰きとめられており、水が溜まっている箇所に無数のゴミが浮いている。空き缶、ペットボトル、弁当ゴミ、タバコの吸殻等…

ゴミの回収には、持参した20Lのゴミ袋4つをすぐに使い切ってしまったが、まだこの2倍の量が残ってる様子であった。集積場所まで手持ちで運ぶには4つが限界であったので、この日はこれぐらいとし、来月再挑戦する事とした。

この場所での戦いはしばらく続きそうである。

ところで、約一年前にも清掃活動の記事を書いたが、その時は、ナッジについて少しだけ触れた。

ナッジ(nudge)とは、直訳すると「ひじで軽くつく」という意味で、強制することなく自発的に人々の行動を変容させるアプローチを指す。小便器にハエのシールを貼ると、無意識にそこを狙ってしまうので、小便の飛散を抑え、トイレ清掃費を削減したという話は、私が初めて知ったナッジの一例だ。

一方「ナッジ」に似たアプローチとして、「仕掛学」というものがある。「仕掛学」は大阪大学経済学研究科に所属する松村真宏教授が提唱している手法で、ナッジとは少し異なるそうだ。ナッジは心理的バイアスを使って「意識させないで」行動を誘導するが、仕掛学は仕掛けを使って「意識させて」行動に誘導する。

その仕掛学の例として、ゴミのポイ捨てに関するものが紹介されていた。

一つ目は、「ミニチュアの鳥居」だ。目的の場所にミニチュアの鳥居を設置すると、鳥居の持つ神聖なイメージが影響して、落書きやポイ捨てといったネガティブな行動を抑制する効果が生まれるそうだ。

二つ目は、スウェーデンで実験された「世界一深いゴミ箱」だ。ゴミ箱にゴミを入れると数秒間に渡りゴミが落下するような音が流れ、最後には底にぶつかるような衝撃音がする。音を面白がり、人々は自ら進んでゴミをゴミ箱に入れていくという。

どちらもとても興味深い。このアプローチは石神井川でも応用できそうな気がしている。

ゴミの多かった先の場所に、ミニチュアの鳥居を置いたらどうなるだろうか?ゴミのポイ捨ては本当に減るのだろうか?社会実験として、とっても面白そうである。神聖なイメージという事であれば鳥居以外も考えられるかもしれない。

また、世界一深いゴミ箱であるが、ゴミが投げ入れられた事を検知するセンサーとラズベリーパイなどの小型コンピュータ、スピーカー、電源等を用意すれば簡単に作れそうである。ただ、全く同じではつまらないので、「〇〇なゴミ箱」としてオリジナリティのあるものを作りたいところだ。

小川のゴミを減らすアプローチとして、ナッジや仕掛学は今後も注目していきたいと思う。

用水を〇〇に貢献する生き物を育む場として活用

先日『虫と一緒に家庭菜園』(小川幸夫さん 著)を読んだ。農薬に頼らず野菜を食害する虫を他の虫に駆除してもらおうという考えで、野菜を栽培しているそうだ。例えば、アブラムシを食べるテントウムシ、イモムシを狩るハチ、は畑の中で益虫として大事にしている。虫たちの食う食われるの関係を利用し、害虫だけが増えすぎないように配慮しているのだ。

実際この方法でピカピカの野菜ができているというのだから達人技だ。

最近では、畑に池を作り、カエルやトンボが住むビオトープ作りに挑戦しているという。彼らにも、畑の害虫狩りに一役買ってもらおうというアイディアがとても良い。

この点から、改めて水辺の重要性に気付かされた。

以前、畑の空き地に小川のようなビオトープ池を作れないかと近所の農家さんに提案し、断られた事を思い出した。カエルやトンボが水辺を繁殖の場として利用し、住み着いてくれれば、彼らが近くの畑の害虫を減らしてくれる可能性があるという説明ができればよりメリットを感じてもらえたのかもしれない。

池だけだと止水を好む生き物しか集まらないことになるが、緩い流れの小川と一緒に池のような止水域を併設すれば、緩い流れを好む生き物と、止水を好む生き物の両方が棲息可能な環境を提供できるので、より多様性のある環境となる。

なので、もし畑にビオトープを作るなら、この点、池と小川をセットで提供したいところだ。

ところで、畑に小川で思い出すのは、江戸時代に開発された武蔵野の新田の数々と玉川上水の分水網だ。

小平市には畑の近くを用水が流れる景色が今でも残されている。かつては飲料水として豊富な水が流れる小川であったようだが、ここにカエルやトンボがいたかどうかは定かではない。しかし、幸いにも現在は水量が少ないため、全体的に流れは緩く止水に近い状況もできやすいので、カエルやトンボが棲みつくには良いのではないかと思う。

害虫駆除に貢献してくれる生き物を育む用水という視点でも用水を活用することができるのではと思う。

用水の保全・再生に向けてのヒントになりそうだ。IMG_8610

小川などの水域の問題を解決する農法は?

9月になり、我が家の家庭菜園では冬野菜の準備を始めた。家庭菜園2年目にして今回は初めて、ハクサイとキャベツの種まきからの栽培に挑戦している。キャベツの発芽が悪く、一週間経ってから再度種まきをするという軽い失敗はあったものの、今は少しづつ成長を見せている。冬に向けての収穫ができるか楽しみである。

ところで、農業にはいくつかの農法があるが、私の場合、一年ほど前に自然農という農法を知り、見よう見まねで実践しているところだ。

自然農とは、川口由一さんが提唱する農法で、耕さない肥料・農薬を用いない虫や草を敵としないという3原則で実践している農法だ。農薬や化成肥料を使う慣行農法や基本無農薬で有機肥料を使う有機農法とも異なる農法である。

ここで注目したいのは肥料・農薬を用いないという点だ。小川などの水域の問題解決にプラスに働くものなので注目してみたい。

まず肥料に関してだが、施した肥料の多くが作物に利用されずに雨水に溶けて、地下へと流出しているという事が起きている。

肥料の成分には、窒素やリンが含まれていて、雨水に溶けて地下水となる。窒素やリンを多く含んだ地下水はやがて川へ流れて、海までいく。これにより川や海は、栄養の多い状態、つまり富栄養化した状態になる。この栄養は、水中の植物プランクトンの餌になるので魚が増えて良いんじゃないかという発想になるが、富栄養化が過ぎると新たな問題が発生する。海の養殖場で赤潮によって魚が死んでしまう問題があるが、赤潮の問題は水域の富栄養化が原因とされている。富栄養化状態では、植物プランクトンが大発生することがあり、そうなると、水中の酸素が大量に消費され、水中の酸素濃度が低下し魚が生きていけなくなるのからだ。

もちろん富栄養化の要因は、肥料だけでなく、生活排水の川への流出も要因の一つであるが、肥料を用いない自然農の考え方水域の富栄養化の影響を減らす向に働く農法と言える。

また農薬に関してだが、農薬の影響で絶滅リスクが高まっている生き物がいる。

例えば水田環境では、水田の小川に生息するメダカやタナゴは絶滅危惧種となっていて、その要因として、圃場整備による生息域の破壊や外来種の影響があるが、農薬の影響もある。もちろん農薬の種類や散布量によっては個々の生き物に対する影響度は異なるだろうが、農薬は生き物にとってリスクだ。

低農薬で生き物に優しい農業を謳う場合があるが、無農薬である方がなお優しい。

無農薬でなされる自然農は生き物の絶滅リスクを減らす方向に働く農法と言える。

以上のように、自然農は、水域の富栄養化リスク生き物の絶滅リスク減らす方向に働く農法だと言える。

環境問題を無視できないこのご時世、環境のために何かできることはないだろうか?家庭菜園をやっている私は、肥料を用いない自然農で小川や海に良いことをやろうと思う。

風呂の水 再利用するなら 植木かな⁉︎

先日、養父志乃夫(やぶしのぶ) さんの著書『里山里海』を読んだ。

里山の暮らしでは、資源の循環がとても効率的に行われてきたというのがとっても良くわかる本だった。

その1つに水の効率的な利用の事が書かれていた。使い回し術がほんとうに凄すぎて感心する。

本書の一節を要約すると以下になる。

  • 沢からの水を上・中・下の3段の水槽へ導く。
  • 上段水槽では沢水から塵を池底に沈殿させて、うわ水を飲料水とする。
  • 余水は、中段水槽へ落ち、ここで食器や鍋釜を洗う
  • 余水は、下段水槽へ落ち、この水が洗濯に利用される。
  • この余水と母屋からの排水(風呂水など)が一緒になり池に集まり、含まれる飯粒や野菜屑などの有機物がコイのえさになる。
  • この池から出る余水は下方の水田に落とされ、イネに養分を吸収させて、浄化された(有機物がより除去された)残り水が里川(小川)へ流れる。

このように、水質浄化の機能を兼ね備えていたため、小川は清い水を保つ事ができていたのだ。

食器洗いや風呂の排水には、程よく有機物が含まれていて、イネの生育にプラスに働き、なおかつ、排水が浄化される。(もちろん当時の洗剤は合成洗剤はなく、米ぬかなどの自然物が洗剤として使用されていた事を断っておく。)

誰かが得をすると誰かが損をするという経済が身近にある一方で、得なことしか起きていないという点に注目したい。しかも、お金もいっさいかかっていないのだ。

生態系の物質循環のおかげである。

それに比べると現代の暮らしは、水をどれくらい使い回しているだろうか?

私の家で実践できている事と言えば、せいぜい次の2つくらいだ。

  • 毎日の洗濯に風呂の残り水を利用する。
  • 植木の水やりに米のとぎ汁を使う。(気付いた時)

雨水を貯めて利用するケースは増えてきているが、我が家では未だだ。

まとめ

里山での水利用方法について学んだが、今の生活スタイルに合わせた、より効率的な水の使い回し術は、考えればもっとありそうだと思う。

程よく有機物が含まれている風呂の残り水が植物の生育にちょうどいいのであれば、もっと積極的に再利用を考えてみたいものだ。

そのまま下水にいけば、下水処理のコストがかかるが下水に流さなければ、その分のコストは浮くわけだ。

雨水タンクをうまく利用して、風呂の残り水を、雨水タンクへ移せたら、再利用もしやすいかもしれない。

お風呂メーカの方にぜひ開発してほしい!

 

石神井川の清掃活動で拾ったゴミの量 〇○ヶ月分!

西東京市の石神井川でゴミ拾いのボランティアをしているMeC西東京さんの清掃活動に参加させて頂いた。

MeC西東京さんは、石神井川にホタルを呼び戻そうと活動をされていて、3年前から、ホタルの幼虫とカワニナの放流にも取り組んでいるとのことだ。

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で、本日回収したごみがこれ。

5人で、約2時間、早稲田大学東伏見総合グラウンド付近の弥生橋を中心に約500mの区間であったが、この量。

月一回の清掃活動を実施しており、たまたま1月が天候の都合で中止であったため、2ヶ月ぶりということであるが、2か月でこの量とは驚かされた。

この日、私が目にしたゴミのうち印象に残っているものを記してみよう。

  • ビニールゴミ
  • あめ玉の小包装
  • コンビニのビニール袋に縛られた弁当ゴミ(中は弁当のトレー、空き缶、空き瓶、ペットボトル)
  • 梅酒とか作る大きめのガラス瓶
  • プラスチックの製保存容器
  • 壊れたビニール傘
  • ステンレス鍋
  • コーヒーメーカー(小型家電)
  • オイルヒーター

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圧倒的に多いのは上から3つのビニールゴミと弁当ゴミだ。

オイルヒーターなんて高さ80cm程の大物だ。

「不要なもの」だから「川へ捨てる」という発想へどうして展開されるのだろうか。川はゴミ捨て場でないことくらいわかるはずだ。

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さらにひどい話も聞かせてくれた。

MeC西東京さんが、市のごみ減量推進課と連携して、拾ったゴミをある集積場所に集め、後日そのゴミを回収してくれるようなシステムになっているそうだが、そこに便乗して、集積場所へ勝手にゴミを捨てていく人がいると。

さすがに酷い行為なので警察に通報したが、犯人特定には至っていないそうだ。

市と協力して防犯カメラ設置も検討しているとのことだが、本当にひどい話だ。

ごみを捨てる人が後を絶たない現状を目の当たりにした。

何か対策ができないものなのだろうか。

先日「オイコノミア」というTV番組で、「ナッジ」の事を紹介していた。

ナッジ(nudge)とは、科学的分析に基づいて人間の行動を変える戦略で、2017年ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授が生み出したそうだ。

その一例だが、小便器にハエのシールを貼るだけで、これまでの小便の清掃費が8割も減少したという話が有名だ。ハエを狙い撃ちするため、小便の飛散が減るというのだ。

きっと私も狙っちゃうであろう。

恐るべき、「ナッジ」!

ナッジを使って、ゴミを捨てる行動を抑制できないだろうか?

その昔、東久留米の清流・落合川もゴミの問題があったと聞いた。今でこそ、夏場は子ども達が川に入って遊べる小川であるが、私は、子ども達が遊ぶ姿やきれいな小川の風景そのものが「ナッジ」になっていたのではないかと思う。

石神井川のゴミ抑制のための「ナッジ」をみんなで考えてみてはどうだろうか?

石神井川の中を歩いてみると、〇〇が味わえる

石神井川の川の中を歩いてみた。

IMG_9425自分の素直な感想ではあるが、これは、間違いなくおもろい

非日常が味わえる。

人の生活空間とは分断された場所だからだ。

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その訳は2つある。

1つは、構造上の理由だ。石神井川上流域は、垂直に切り立った護岸が続く。親水性の川とは真逆である。川底に降りるためには、いくつか設置されている梯子を使って降りる必要がある。もちろんその梯子は、基本的に河川の関係者が使用するものだろう。

もし一般の人がここへ降りようとするなら相当な労力が要るはずだ。一般の人を寄せ付けない構造になっている。

もう1つは、見た目の理由だ。一部個所からは、雑排水が流れていて、汚水が溜まっているのが見える。間違ってもそんなところには入りたくないと考えるのが人の心情だ。その気持ち悪さが人を遠ざけている。

このように、石神井川上流域の中は、人の生活空間と分断された、人が近寄らない場所なのである。

だが、人が近寄らない場所だからこそ、逆に行ってみたくなることもある。何が出てくるのかわからないというドキドキ感だ。

実際に、川底に降り立つと普段は感じない緊張感を感じる。何が起こるか予想がつかないことからか、危険を察知しようとする感覚が研ぎ澄まされているように思えた。人間が本来持っている、身を守るための能力なのだろう。

川底には、小さいテトラポットのようなブロックが敷き詰められていて歩きにくいため、転倒するかもしれないリスクがある。

さらに、急に側面の配管から汚水が吹き出してくるかもしれないリスクもある。

石神井川の中は、常にリスクが隣り合わせだ。その意味では、前人未到のジャングルのようなものかもしれない。前人未到のジャングルを進めば、きっと、いつ敵に襲われるかもしれないというリスクと隣り合わせになるだろうから。

石神井川の中を歩く目的

では、そもそもなぜ石神井川の中を歩きたいと思ったのか?

私の掲げるビジョンとして、あそべる小川を増やす活動をするというのがある。3年以上続けているが、良さげな小川で遊んでばかりで、小川を増やす具体的な活動ができていない事に気がついた。

ちょうど新年を迎えたばかりなので、基本に立ち返り、小川のゴミ拾いからでも始めようと思ったのだ。

そこで、思ったのは、「池の水を全部抜く」というテレビ番組の異常な人気ぶりだ。胴長を履いて、水の中に入って、何が見つかるかのドキドキを楽しんでいるように思えた。恐らく、テレビで観ているだけでなく、実際に胴長を履いて水に入る経験をしたいという人が多いのではないかと思っている。

それならば、胴長を履いて、石神井川の中に入って、ゴミを拾うことをみんなでやったらおもろいのではと思ったのだ。お宝が出てくるかはわからないが、何が出てくるかわからないドキドキを味わえる点は人気の番組と共通していると思う。

なので、まず自分が、石神井川を歩いてみようと思った訳だ。

そして、歩き始めると、さまざまな疑問が湧いてきた。

水の流れがどこから始まっているの?
どんな生き物がいるの?
どんだけゴミがあるの?

この疑問については次回にしたいと思う。

その側溝が繋がっている先は?

年末の体験であるが、大掃除でよくある風景について書きたいと思う。

IMG_9378写真は、誰もがよく目にするであろう、側溝だ。雨水を排水する目的があり、大抵は川へ繋がっている。

この写真の側溝も、写真奥にある右から左へ流れる川(暗渠になっている)へ繋がっている。通常は雨水が流れるが、年末の大掃除の時期ということもあり、泡を含んだ汚水が流れたのだろう。流し残した泡が側溝に溜まっていた。

私も側溝に汚水を流してきた経験があるが、最近は、注意していることがある。

中性洗剤などを含む汚水はできるだけ側溝に流さないようにしている。

側溝から流れる汚水が、最終的に川に繋がっている可能性が高いため、川を汚さないための配慮からだ。

こういった汚水は、キッチンや洗面所など、下水と繋がったところに流すよう心がけている。

昨今の都市部では、下水道普及率の高まりが良く、川の汚染が激しかった頃に比べると水質はだいぶ良い。汚染源の一つである家庭排水が川へ直接流れ込む事はほとんど無くなってきた。

しかし、一方で、掃除などで使用した雑排水が、雨水排水路を経由して川へ流れているケースがけっこうある気がしている。どれくらいの影響があるのかはわからないが、とても気になっている。

写真の川は3面コンクリートの小川であるが、上流の台地に降った雨が少しずつ湧水となって集まった流れで、見た目とは裏腹に、意外に水が綺麗だ。そんな水が汚れる原因が、すぐ側にあることを知ると、ちょっと考えさせられる。

自分の経験から想像すると、やはり、悪影響についての認識が無い事に尽きると思う。

掃除で使った汚水をを、側溝に捨てても、川を汚している意識はきっと無いんだろうと思う。下水処理場に繋がっているんでしょ!くらいの勢いだ。

でも実際にこの側溝は、下水処理場ではなく、川に繋がっている。汚いものを何でも吸い込んでくれる魔法の穴では無いことを少なくとも認識しておきたいところだ。

年末の掃除の時に、この事を思い出してもらえたら幸いだ。

 

 

あなたの組織で始める環境活動のはじめの一歩

今の世の中、「生物多様性の保全や持続可能な利用」というものが求められている。生物多様性条約という国際条約に日本も締結しているからだ。

有名企業が里山を再生し、そこに生息する希少な生き物を保全するなんていう活動は、この配慮からだ。

でも、このような活動をやっているのは一部の企業だけだ。「職場で、省エネやってます」という程度のエコ活動に留まる企業も少なくないのではないか。

組織に合った、もう一歩進んだ環境活動をするのであれば、組織の中で、少人数のグループを作り、環境向上をテーマに話し合うことをおすすめしたい。

先日、勤務先の会社でこれを実践してみたので、この活動の一部を紹介したい。

少人数のグループ活動

活動のはじめ

先ずは活動の開始だ。会社がこのような活動を立ち上げるか、社員がこのような活動をしようと会社に提案してもよいだろう。

ポイントは、この活動をすることが会社にとって次のメリットがあることを理解してもらうことだ。

  • 企業が持つ技術やサービスを使って「生物多様性の保全や持続可能な利用」への貢献をすることで、企業の社会的責任を果たす新たな取り組みとなる。
  • 社員が一つのテーマに沿って話し合うことで、社内のコミュニケーションが良くなる。
  • チーム内で協力し合いながら特定の問題解決を行うプロセスを学ぶことができる。

あと、この活動をとりまとめる事務局のような存在があるとより良いだろう。

テーマ募集

活動が開始したら、テーマの募集だ。環境向上に関するテーマを募集する。応募した人がテーマリーダーになる。

私の場合、社員のスキルアッププロジェクトとして、少人数のグループ活動のテーマ募集が既に立ち上がっていたので、自分がそのテーマ募集へ応募した。テーマは「小川・ため池の自然環境向上」だ。

メンバー募集

メンバーは理想的には5人程度がベストだ。意見を出しやすい人数にすることが重要だ。会議で人がたくさんいると意見を言いにくいのと同じだ。

私の場合は、3人で活動を開始した。3人は最低限の人数だと思う。

活動期間

活動期間は、100日が良い。私の場合も100日であったが、理由は100日かけて話がまとまらないものはどれだけ時間をかけてもまとまらないとうことだ。

目的・目標

テーマリーダーは、事前に目的と目標を決めておく必要がある。

目的は、「何のためにこの活動をするのか」であって、目標は、「その目的を果たすためにどこまでやるか」だ。目的や目標をしっかり決めておけば、議論が発散しそうになった時に、立ち返る拠り所になる。

会合の進め方

1回の会合時間は100分がちょうど良いのでおすすめする。また、会合の開催ペースは、メンバーそれぞれの仕事の事情があると思うのでメンバー間で話し合って決めるのが良いだろう。

私の場合は週1回のペースで全15回の会合を持つことができた。

進め方にルールがある訳ではないが、環境向上がテーマになるので、私が行った以下のような流れが参考になれば嬉しい。

  1. 問題点の分析
  2. 解決案のブレスト
  3. 解決案の絞り込み
  4. 絞った解決案の詳細検討
  5. 今後の課題整理

会合を始める前には、司会や板書担当・議事録担当を決めておくことも必要だ。

また、時間通りにスムーズな会合を行うには、リーダーが事前にアジェンダ(議題)を用意しておくことは必須だ。その会合で得たい結果が得られるように議題と議論する時間の目安を決めておくと良い。

議論が発散しそになったら、司会役が間に入り、議論を元の軌道へ戻すことも必要になるだろう。

もしかしたら、会合中、メンバー間で意見の食い違いがおきるかもしれない。複数の人間がいるので、自分と同じ意見を持つ人もいれば、異なる意見を持つ人もいる。当たり前のことだ。だが、大事なのは違う意見の人と話し合うことで、自分の案でもない、相手の案でもない、第三の案を導いていくことだ。自分の意見を通すため、相手とかけひきをすることは不要である。こういう考えで良い議論を導いていって欲しい。

成果発表会

最後には成果発表会は欠かせないだろう。メンバー全員が一所懸命考えた結論について、社内へ発表をして欲しい。その結論は小さな一歩かもしれないが、環境向上へきっとつながるだろう。

また結論だけでなく、活動の中で起きた紆余曲折もぜひシェアしてほしいと思う。物語があると共感を得やすいからだ。

キーパーソンの共感を得られれば、その成果が具体化するチャンスかもしれない。

まとめ

あなたの組織で始める環境活動のはじめの一歩について、私の経験を交えて紹介した。

企業が持つ技術やサービスを使って「生物多様性の保全や持続可能な利用」への貢献についてぜひ話し合って欲しいと思う。この活動が広がりを見せることで、生物多様性の危機が少しでも小さくなってくれたら嬉しい。

できれば、小川の自然環境向上をテーマにしてもらえたら個人的にさらに嬉しい!