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緑色の池の水を綺麗にしたい~その2~

前回、紙のコーヒーフィルターを使って、池のアオコの濾過実験を行なった。コーヒーのドリップに時間がかかるように、濾過にはそれなりに時間がかかるので、外から力を加える事で、効率を上げられないか考えてみた。

そこで考えたのが、遠心力だ。バケツに水を入れてグルグルと回しても水が溢れないという遊びをした事があると思うが、それと同じように、濾過する液体に遠心力をかけたら、濾過が早く進むのではないかと考えた。

試しに小さいバケツの中に濾過装置一式を置き、子どもの頃に回した記憶を思い出しながら、グルグルと10秒ほど回してみた。

むむっ、濾過のスピードは早まったが、濾過された液体は緑色だ。いったい何が起きているのだ。

アオコを形成する藍藻は、群体(コロニー)を形成し、複数の個体が集まって生活をしているそうだ。なので、個体でいる時よりもサイズが大きくなっている。重力(1G)で濾過される時は、群体が紙のフィルターを通過しないで除去できたのだと思うが、その群体に遠心力を与えたため、その群体が分断されて、サイズが小さくなり、紙フィルターを通過するようになったのではないかと予想している。

なので、この予想が正しければ、小さい個体を漉し取るよりは、群体が形成された状態で漉し取ることを考えた方が良さそうだ。

さて、次は、もう少し本格的なフィルターを自作して挑戦したいと思う。

ネットを検索してみると、既に多くの人が、災害用の水確保や自宅の池の浄化を目的に、ペットボトルを使った浄化フィルターを作っている。それぞれ少しづつ素材やその詰め方の順番が異なっているが、基本的な構成要素は、次の4つだ。

  1. 砂(細かい砂、粗い砂)
  2. 砂利、小石

詰め方の順番としては、水が上から浸透していくに従って、大きな不純物から取り除かれていくのをイメージして、下から順に、1→2→3→4の順で詰めていくやり方を採用した。

ただ、雨水が地下の砂礫層を浸透していく場合を考えると、砂や砂利が層に分かれていることはなく、混じり合っている。なので、層に分けずに、例えば、炭と砂と砂利が混ざり合っていても、問題ないのかもしれない。

材料

  1. タオルハンカチの端切れ(5cmx10cm)
  2. ハンマーで砕いたバーベキュー用炭
  3. 川砂
  4. 小石
  5. 2L ペットボトル

作り方

1) 2Lのペットボトルの底部分をカッターで切り落とす。

2) ペットボトルの口を下にして、容器の上へ設置する。

3) 1から4までの素材を順番に詰める。

実験

水道水を注いで、水が通過する事を確認したら、いよいよ実験。

アオコを含む池の水は1週間前に採取した水のため、一部腐敗し臭いがキツイ状態になってしまったが、この水を使った。水は枝葉などの大きいゴミを含むため、ザルでゴミを漉しながら、濾過装置へ注いだ。

その後、下からは、透明な水が落ちてきた。濾過が上手くできたようだ。しかし、しばらく経つと、やはり目詰まりが発生して、水が落ちるスピードが徐々に遅くなってきた。

結局、一晩待って、ようやく濾過が終了した。透明感は今ひとつであるが、一応濾過はできたようである。

ただ、濾過時間がとても長いのは、大きな課題であり、目詰まりをどう克服するかがポイントだ。次の一手を考えることにしよう。

あと、健康を害する恐れがあるので、くれぐれも濾過した水は飲まないように!

 

緑色の池の水を綺麗にしたい~その1~

武蔵関公園にある冨士見池を久しぶりに訪れてきた。

2017年12月に訪れたときは、池の水が緑色ではなかったのだが、この日の池は、一面緑色であった。特に池の南側には、緑色の抹茶の粉のようなものが表層を覆い尽くしていた。

富栄養化した湖沼などに発生するアオコと呼ばれている微細藻類(主に浮遊性藍藻)だ。

池の水をペットボトルに入れて観察すると、その濃さがよくわかる。抹茶といえば聞こえは良いが、毒性のあるアオコもあるようなので注意が必要だ。汲み取るときにわかったが、粉のように見えるものは表層数cmに集中して浮いているようだ。

少し北に行くと、池へ向けて水が供給されている箇所があった。すぐ側にポンプ所があるので、そこからの水が流れ込んでいるのかもしれない。しかし、この水量では、池の緑色は全く薄まることがなく、焼け石に水という印象だ。

池の北側では、水門から池の水が少しずつ石神井川へ放流されていて、石神井川の透明な水と池の緑色の水が合わさるところで、境界線が生じている。色の違う二つの川が合流した時に、二色のコントラストが生じるのと同じ光景を見ているようだ。

さて、こんな緑色の池は、景観として面白くはないので、なんとか透き通るような池にできないものだろうか?

まず浮かぶアイディアは、藻類だけをろ過して除去できないかということだ。すぐに始められそうなろ過といえば、コーヒーの紙フィルターがある。

さっそく、実験してみることに。透明のプラスチック容器の上にコーヒーの紙フィルターを置き、池の水を注いでみた。

とてもゆっくりではあるが、ぽたぽたとろ過された水が溜まってきた。一見透明ではあるが、よ~く見ると、少し緑色だ。フィルターの目を通れる程、小さいサイズの藻類だと思われる。しかし、すぐにフィルターは目詰まりを起こし、なかなかろ過が進まなくなった。これでは、実用には向いていない。別なろ過方式を次回検討したいと思う。

ちなみに、ろ紙に残った濃厚な藻であるが、何かに利用できないだろうかと思い、試しに指に少量をつけて、紙に文字を書いてみた。

割とイケる!

もっと濃度を高めれば、緑色の墨汁として使えるかもしれない。

アオコで書道が流行れば、池からアオコが消えるかも。

追記

海外ではアオコの発生する場所でカヌーをしていた人が 皮膚炎になったり、 アオコの水を飲んだ人が下痢をしたりといった事例が知られているそうなので、接触には注意されたい。

参考: アオコをつくる藍藻 こどもガイド 国立科学博物館

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その2〜

前回は、電極としてステンレス網に活性炭を接着し、押しつぶすことでナノポーラス構造のカーボン電極を作ることを期待していたが、プレスする道具がなかったので、上手くいかなかった。今回は、特殊な道具なしで簡単に作れる方法を調査し、試すこととする。

電極作り2〜炙ったステンレス網〜

WEBで情報を集めていると、農研機構が実施した炙ったステンレス網をアノード電極に使う方法が良さそうという事がわかった。

これは、ステンレスを炎で炙ると、表面が酸化鉄に変化し、発電細菌であるGeobactoer属細菌が酸化鉄に集まりやすくなるからだそうだ。これにより、出力密度が高くなるという事だ。

では、レッツDIY!

材料
  • ステンレス網(アク取り)
  • 電線
手順

1. ステンレス網の取っ手を外す。

2. ステンレス網をキッチンのガスコンロで焼く。

ペンチでステンレス網を持ちながら、ガスコンロの火で炙ると、色が変わっていくのは確認できたが、この焼き加減で良いのか、いまいち正解がわからない状態であった。(焼きが甘いような気が…)

3. ステンレス網の枠の接合部を開き、電線を入れ閉じる。

4. 接合部を圧着工具で圧着する。(ちょっと強引な方法のため、見た目が悪い)

この方法であれば、活性炭を網につける方法よりは、格段に手間が減った。とりあえずこの電極をアノードとして使い、再度実験してみる。組み立てについては、前回と同じ方法で行なった。

実験2結果

アノード電極: ステンレス網を炙ったもの

カソード電極: ステンレス網に活性炭をつけたもの

を電極にして、電圧を測定した。

作りたての電圧測定をすっぽかしてしまったのだが、作ってから15時間後の結果としては404mVの電圧が確認できた。

この状態でしばらく様子を見ることにした。

4/7 5:30; 404mV

4/8 6:30; 400mV

4/18 21:30; 571mV

4/19 20:30; 666mV

4/22 20:30 700mV

少しづつ電圧が上がっていき、2019/5/14現在 700mV前後で安定している。

電流については、デジタルマルチメーターを購入した後に計測してみようと思う。

試しに、100Ωの抵抗を繋いでみたが、抵抗両端の電圧は、下がりに下がって4mV程になってしまった。ん?そうするとオームの法則で計算すると、電流は0.04mAってことか?何だか色々と見直さないといけない事がありそうだ。

100円ショップで材料を揃えるこだわりは一旦横に置き、MudWattの電極にも使われているグラファイトフェルトを購入して試してみたいと思う。

続く。

微生物燃料電池のDIYやってみた〜その1〜

背景

先日、微生物燃料電池というものを、たまたま知った。WEBでいろいろ調べていると、海外でも日本でも研究がすすめられていて、実用化に向けた動きもある。

東京大学の橋本和仁教授の記事を勉強させてもらったが、微生物燃料電池とは、有機物を分解してエネルギーを獲得する際に電流を発生させる「電流発生菌」を利用した燃料電池のことだ。電流発生菌に有機物をエサとして与えると発電するのだ。

人は、有機物の持っている電子エネルギーを代謝過程の中で取り込んだ後、エネルギーを失った電子を、呼吸によって取り込んだ酸素に渡し、体外に捨てている。一方、電流発生菌は、電子を電極へ渡して、捨てることができるので、電極から電流がとりだせるという。

電流発生菌は、汚水の浄化にも利用できるということで、小川の水の浄化をしながら発電もできたら、すごいことなので、ぜひ、自分でもやってみたくなった。

参考にしたサイト

海外では既に微生物燃料電池の商品化がされている。

MudWatt:アメリカのMagical Microbesが販売。教育用の微生物燃料電池キット

BioPass:スペインのBiooが販売。植物ポットの中で発電し、LEDライトが点灯する。スマホとWifi接続できる

Sprout ‘n Spark:オランダのPlant-eが販売。植物ポットの中で発電し、デジタル時計が動く。

今回、DIYのために参考にさせて頂いたのが海外のこのサイトだ。

作って二ヶ月後、容器1つで開放電圧835mV、短絡電流13mAが計測されていた。なんか凄そうだ。そして、100円ショップで材料が揃えられそうというのもとても良かった。

電極作り1〜ステンレス網+活性炭〜

上記動画では、ステンレス網に活性炭を接着し、押しつぶすことをしていた。これにより、ナノポーラス構造のカーボンを形成するらしい。ナノポーラス構造とは、スポンジのような多孔質の構造で、孔のサイズがナノメートル級のものだ。微生物から電子をうけとるための表面積を稼ぐのに都合が良いと言う事だろう。詳細はわからないが、MudWattで使用されているグラファイトフェルトより良い結果を出しているそうだ。

では、レッツDIY!

材料

電線と平型端子以外は、100円ショップで材料を揃えた。

  • ステンレスの網(アク取り)
  • 活性炭素(脱臭剤)
  • エポキシ接着剤
  • 電線
  • 平型端子
手順

1. アク取りのステンレス網を取り外す。

2. ステンレス網の両面にエポキシ接着剤をつける。手袋をつけて指で丁寧に塗る。

3. 活性炭をステンレス網に振りかける。

4. 裏面も同じように活性炭を振りかける。

5. 4で作った電極を金属版などを使って上下で挟み、圧力をかけて押しつぶす。参考にした動画では、油圧式の装置で圧力をかけていたが、そんな高価な装置はないので、木の板と、C型クランプを2個使って試してみたが、これでは、圧力が弱く、ナノポーラス構造にはきっとなっていない。(おそらく失敗)

5. 電線をステンレス網と接続する。今回はちょうど家にあった平型端子を使って、網と電線をまとめて圧着して接続した。

期待通りではないが、一先ず完成。

組み立て

電極ができてしまえば、組み立ては簡単だ。

材料
  • 容器 x1
  • 作った電極 x2
手順

1. 容器の側面上部に導線を通すための穴を二つ空ける。

2. 田んぼの土を用意する。今回は庭に作ったプラ舟の田んぼがあるので、その土を使った。

3. 土を容器に入れる。量は1~2cm程。

4. アノードとなる電極(マイナス極)を配置する。容器の横の穴から導線を通す。

5. アノード電極の上にさらに4~5cm程、土をのせる。

6. カソード電極(プラス極)を土の上にのせる。容器の横の穴から導線を通す。

これで組み立て完成だ。

実験結果1

では、テスターで電圧を測定してみる。

243mVの電圧(起電力)が発生しているのが確認できた。

んっ?参考にした動画では、800mV以上発生していたのにだいぶ電圧が低い。動画では二ヶ月後の値だからある程度待たないといけないのかもしれない。

今回、前述したように、活性炭を金属板で挟み、油圧でプレスする装置がないため、プレスがいい加減な状態になっている。恐らく、期待していたナノポーラス構造にはなっていないと思う。なので、この方法での電極作りは一旦諦め、特殊な道具なしで簡単に作れる方法を調査し、試すこととする。

続く。