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石神井公園 石神井池のかいぼり リポート

石神井池は、都立石神井公園にある、昭和のはじめに作られら造成池で通称ボート池と呼ばれる。あのスワンボートに乗ったことのある人は多いのではないだろうか。

その石神井池で「かいぼり」が行われるということで参加してきた。

東京都のHPによると、石神井池では、水質改善のため、昭和60年度以降、池底の堆積物の浚渫等の対策を実施してきたが、池水の濁りや悪臭の原因であるアオコの発生が続いているため、水質改善を目的とした「かいぼり」を実施することになったそうだ。

私個人としては、1年ぶりのかいぼりであったが、前回参加した水元公園のかいぼりとは違い、捕獲対象の魚は大物が多く、違った楽しさがあった。

現場リポート

午前中は、池の東側エリアの魚の捕獲から始まった。池の水は既にあらかた抜かれており岸に近い浅い部分はヘドロの表面が露出していたが、深いところには水がまだあり、そこに大物がひしめき合っていた。

水面にいる魚をさで網で掬うと、40cm以上のゲンゴロウブナやコイが多くいた。10匹以上は捕獲したと思う。中には70cm級のニシキゴイもおり、巨体を桶にいれると、跳ね飛ばす泥水で顔やマスクが泥だらけになったくらいであった。この状況はある意味TV番組さながらの光景である。

一通り大物の確保が終わると次は、小物の捕獲に移った。狙いは、岸に近い浅瀬だ。ヘドロが舞い上がっているため水中は全く見えないが、魚が水面に立てる波紋を頼りに、さで網で掬ってみる。

7~8cm程度のモツゴがちょいちょい捕れる一方で、中小サイズのブルーギルが大量に網に入るようになった。中には2cmほどの幼魚もおり、この池で繁殖している可能性をうかがわせる。私が捕獲できたのは、圧倒的にブルーギルが多く、モツゴ等の在来の魚種は少ない印象であった。

午後は、池の西側エリアに移動した。午前と同様に始めは大物のコイやゲンゴロウブナを捕獲した。

一通り大物の捕獲を終えると次は小物である。浅瀬を狙ってさで網で掬うが、モツゴが数匹網に入るくらいで、なかなか捕獲できない。小物を捕獲するには、もう少し水を抜いて、水の残るエリアを小さくしたいところであったが、本日はちょっと無理そうであった。

かいぼりで、大変だったというか、気を付けないといけないのは、ヘドロが露出している部分に踏み入ると、動けなくなる可能性があることだ。ヘドロは膝上まで溜まっており、水のあるところでは、抵抗は比較的小さくなんとか歩けるが、水のあるところから離れるに従って、ヘドロが乾いてくるので、どんどん抵抗が大きくなっていく。そうすると、足が抜けなくなってくるのだ。実際私も、深く入りすぎ、動けなくなりそうになったが、膝を両手で引っ張り上げながら一歩ずつ進み、なんとか脱出することができた。かいぼりの見物人の親子から立ち往生している私に「大丈夫~?」と声をかけてくるほどであった。ヘドロが露出している場所は深入り禁物である。

まとめ

生き物の捕獲は2日間の内、私は初日しか参加していないが、選別作業場に集まる生き物をざっと確認したところ、魚類は、コイ、ニシキゴイ、ゲンゴロウブナ、カムルチー、ブルーギル、バス、モツゴ、ヨシノボリ類が見られた。他に、テナガエビ、ヌカエビ、ザリガニ、二枚貝がいたと思われる。おそらくまだ他にもいたはずであるが、詳細は公式HP等に委ねたい。(公開されるかは不明)

約1ヶ月、池干しがなされた後に、腹水されるとのことで、蘇った石神井池の姿は3月末には見られるのではと思われる。その頃にどうなったかまた確認してみたいと思う。

今回も楽しいかいぼりであった。

水元公園 睡蓮池のかいぼり リポート

11/4、東京都公園協会が主催する都立公園の池のかいぼりボランティアに参加してきた。

かいぼりとは

かいぼりとは農閑期にため池の水を抜き一定期間干して、清掃、堤や水路にの点検補修を行なう作業だ。近年は、池の水質改善や外来種の駆除を目的に行われる例が増えてきている。かいぼりの効果については、以前の記事にも書いたのでので詳細は省くが、特に水質改善で言えば、池を干すことで底泥の状態を酸素が多い状態(好気状態)に変え、富栄養化をもたらす窒素を底泥から除去(脱窒)することを促すことになる。

水元公園

かいぼりの会場は、葛飾区にある水元公園にある睡蓮池だ。水元公園を代表する池である小合溜(こあいだめ)のかいぼりではない。

ちなみに、私は今回初めて水元公園を訪れたのであるが、園内の広さに大変驚いた。調べてみると、都内23区最大だという。園内にある小合溜という池は、かつての利根川の本流で、江戸時代には溜井(用水池のこと)として利用されていて、50あまりの町村を潤す水源だったそうだ。そのためここを「水元」と呼ぶようになったとのこと。

園内には小合溜につながる池や小川もあり、釣り人にも人気のスポットにもなっている。

現場リポート

さて、上の写真は、かいぼり開始前の睡蓮池の様子だ。池の看板には、睡蓮の他にマコモも生息していると書かれていた(小さいが写真の右上)。マコモに関しては、10月に借りている田んぼの脇でマコモダケが収穫できたこともあり、馴染み深い植物である。イネ科の抽水植物で、人の背丈程に大きくなるが、ここのマコモは、田んぼで見たマコモよりやや小ぶりであった。

さっそく池に進入すると、足がヘドロに沈む。急に深い部分に足を置くと転びそうになる程だ。一歩一歩慎重に歩いていった。

序盤は、睡蓮やマコモがないエリアで、浅場に泳ぐ2cm未満の小魚(カダヤシやモツゴ)やオタマジャクシを捕獲したが、あまりそれ以外の魚が出てこない。

その後、マコモのエリアへ進入していったところ、マコモ近くの深みで、4~9cmほどのフナや、4cmほどのモツゴがぞくぞくと網に入るようになった。水はヘドロの土が撹拌された泥水状態で、魚たちもだいぶ弱ってきているようであった。かいぼり終盤には、水面に横たわるフナがよく見られるようになった。

そんなフナやモツゴを、そしてそれ以上に出てくるオタマジャクシをせっせと捕獲した。

このオタマジャクシの正体であるが、捕獲した生き物の展示ブースに特定外来生物のウシガエルとそのオタマがいたのでの、恐らくウシガエルのオタマだったと思う。10cmを超える大型オタマもいた。このかいぼりで、大部分は駆除されると思うが、かいぼりがなかったら、大量にウシガエルの大合唱があったのだろうか。

かいぼり終了後、本日の結果が簡単に発表された。

大物としては、カルムチーが2個体捕獲された。50cmを超える大物だった。それからミシシッピアカミミガメとイシガメがそれぞれ1個体づつ。

アメリカザリガニはプラ船いっぱいの水揚げだった。

小型の魚類では、モツゴ、ギンブナ、ドジョウ、タイリクバラタナゴ、カダヤシで、メダカはその時点でで確認できていないとのことでった。

昨年に続き、3度目のかいぼり参加であるが、泥だらけになりながら、ひたすら生き物を網で追いかけるのは、新鮮な体験となる。自然から離れた生活をしている人にとっては、良い刺激が得られる事だろう。おススメである。恐らくまた来年もボランティアを募集すると思うので興味があったら応募してみたらいかがだろうか。

私はまた来年も参加したいと思う。

野川公園の昔は〇〇、野川公園・飛地の池でかいぼり

明けましておめでとうございます。

今年も精一杯、小川に関するコラムを書いていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、12月末にも、東京都公園協会主催のかいぼりに参加してきたのでリポートしたいと思います。

今回の会場は、野川公園の飛地(とびち)にある名もなき池だ。普段は柵で囲われており、入れない場所なんで、珍しい生き物が出てくるかもしれないということであった。

野川について

野川は、東京都国分寺市にある日立製作所中央研究所内に水源をもつ多摩川の支流である。昔の多摩川の流れが武蔵野台地を削ってできた崖の連なりは国分寺崖線(こくぶんじがいせん)と呼ばれているが、野川は、この崖から湧き出る湧き水を集めながら、主にこの崖に沿って流れている。ほとんどが湧き水だというから水がキレイで、子どもが川に入って水遊びができる都内でも有数の小川だ。

崖から湧き出た水が小川となって野川へ流れ込んでいて、そんな数十メートルの小川の流れがたくさん見られるのも野川の特徴だろう。

開発の歴史

野川公園における野川沿いはその昔、湿地帯であったという。1947年に撮影された航空写真を見せてもらったが、川沿いに田んぼが広がっているのが確認できた。しかしその後、一帯にはゴルフ場が建設され、湿地のほとんどは埋め立てられてしまったという歴史がある。

野川公園の木と芝生の配置をみると、なんとなくゴルフ場の面影を感じられる。

そんな埋め立ての歴史があるにも拘らず、今回のかいぼりでは、希少種であるホトケドジョウが見つかった。

一体なぜ?

正確なところは分からないが、崖に近いところであり、湧き水が3箇所から絶える事なく流れていたため、奇跡的に開発の影響を逃れたのかもしれない。とは言え、かいぼりでは、大きな材木やらがたくさん出てきたので、開発はすぐそこ迄迫っていた事は容易に想像できる。

名もなき池なので、「奇跡の池」にふさわしい名前が今後つけられる事を期待したい。

捕獲した生き物

かいぼりで捕獲した生き物は以下。

  • カワリヌマエビ属
  • アメリカザリガニ
  • ミナミメダカ
  • ホトケドジョウ
  • モツゴ
  • シオカラトンボ (ヤゴ)など

まとめ

前回参加した、神代植物公園でのかいぼりと違い、捕獲した魚類の個体数は、圧倒的に少なかったが、この池で、繁殖を繰り返している可能性が伺えた。

カワリヌマエビ属は外来種であるが、ホトケドジョウの保全と言う意味では、カワリヌマエビ属が餌になるため、このまま共存状態が良さそうだ。

今回の作業で、当時あったであろう生態系へと戻っていくことを期待したいと思う。