小川を舞台とした感動ストーリー

こんばんは。

先日はある講演会で、小川を舞台とした感動的な話を聞いたので是非シェアしたいと思う。

昔、埼玉県のとある中学校で、問題が起きていた。

たくさんの窓ガラスが割られ、荒れに荒れた中学校。校長は困り果てていた。

そんな中、ある研修会社と知り合い、生徒をとある研修に参加させることになった。
その研修とは、農業研修である。

一方、受け入れ先の農家は、手伝って欲しい作業を考えていた。素人に重要な稲の収穫作業を任せる訳にもいかない。また、田植え作業もイベント的な要素が強い。実際には田植え機でやってしまうのが一番効率がよい。

であれば本当の意味で役に立つ作業をしてもらいたいと考えた。

農家のじいちゃんばあちゃん達にとって、一番骨の折れる作業。それは田んぼのそばを流れる小川(土水路(どすいろ))の泥上げ作業だ。

この土水路の泥上げ作業をやってもらうのが一番嬉しい。

研修当日、生徒達はなんとか作業を終えたという。

そして、農家の人は、生徒達へは心から感謝を伝えたそうだ。

すると次の日、生徒に明らかな変化が起きたという。

「おはようございます」とあいさつをするようになったと。

いままで聞いたことはなかったという。

校長はこう振り返る。「この研修のお陰だ、農家の人の力になれた実感、そして感謝されたことが彼らを変えたのではないか」

農家の人と生徒達の心の繋がりが大きいと思うが、そこに小川があったからこそ起きたキセキと言えるかもしれない。

小川を舞台に繰り広げられるストーリーを今後も探してみたいと思う。

講演会で聴いた地域づくりの秘訣とは?

こんばんは。

先日、水辺からはじまる生態系ネットワーク全国フォーラムという講演会に参加してきました。

河川を軸とした生態系ネットワークを作ることで魅力ある地域づくりを
実施してきたいくつかの事例のお話を聴くことができました。
その中で、兵庫県豊岡市の中貝市町のお話がとても印象に残りました。

豊岡市の取り組み

豊岡市では、円山(まるやま)川流域においてコウノトリと人が共生する環境の再生を目指して多様な主体が連携してコウノトリの野生復帰を果たし、現在も活動をしています。

コウノトリといえば赤ちゃんを運んでくる幸せの鳥というイメージがありますよね。

しかし、そのコウノトリですが、生息環境の悪化により数を減らし、1971年に日本の空から姿を消したというのです。国内最後の生息地であった兵庫県豊岡市では、コウノトリの野生復帰に向けた取り組みが進められました。

例えばこんなこと…

  • 飼育下での保護増殖や放鳥
  • 「コウノトリを育む農法」と呼ばれる無農薬・減農薬農法の普及
  • 湿地の再生(ハチゴロウの戸島湿地)2012年7月にラムサール条約に登録

そして、現在はこの取り組みの結果個体数も187羽になったとのことです。

地域づくりの秘訣は?

パネルディスカッションでは、地域づくりの秘訣について聴くことができました。

同じ夢をみることが大事

この言葉はとても響きました。いざ再生に向けて多様な人が集まったとしても、それぞれに違った価値観をもっているというのです。

ある人は、環境が一番、ある人はお金が一番などと。

だからそこで対話を重ね、同じ夢を見る必要があると。

「環境をよくすると、経済がよくなる」という流れに持ってゆき、それが共有できれば、お金一番の人も味方になって行く。

そして、その夢は、思いを強く持っている人がトップを口説き落せれば話は次第に進んで行くと。

とても聴き入ってしまいました。

夢を持つことは素晴らしいことですが、自分の中だけで持っていてもダメなんですね。その夢をみんなに(特にキーとなる人にも)話し、どんだけ素晴らしいことが起きるかを語ることが大事なんですね。

自分の小川への思いと重なる部分があり、小川の素晴らしさを発信することはとても意義深いことなんだと改めて思うことができました。

最後にこんなお話もされていました。

川の水より魚が多かった」という70年前の話。

実際にはあり得ない表現かもしれませんが、70年前に比べて、我々は明らかに何かを失っているのです。

できることならその頃の川で遊んでみたいと思います。

我々はその時期に戻ることはできませんが、同じ時間をかければ、失ったものを取り戻せる可能性があるのです。

「川の水より魚が多かった」時代、見てみたいですね~

小川と切っても切り離せない「生物多様性」の問題

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、年末年始いかがお過ごしでしたでしょうか?

私は年末にかけて、「<生物多様性>入門」(鷲谷いづみ/岩波書店)を夢中で読んでおりました。

「地球温暖化」というキーワードは今や多くの人に知れ渡った境問題の1つだと思いますが、「生物多様性」の問題というと、まだまだ認知度の低い問題かと思います。
生き物のあまり興味のない私の妻や母に聞いても、やっぱり「生物多様性」という言葉は聞いたことが無いと。。。

小川の生態系にとって、切っても切り離せない「生物多様性」の問題。「生物多様性」の問題とはいったいどんな問題なのでしょうか?

生物多様性とは

一般的に次の3つの意味があると言われています。

  1. 生物の種類がたくさんあること。
  2. 同じ種類であっても、形や色彩や大きさ、行動の違いといった「個性」があること。
  3. 樹林・草原・水路・水田・ため池など、異なる性質の生態系が多く組み合わされていること。

生物の種類がたくさんあって、同じ種類でも個性がたくさんあって、樹林・草原・水路などの異なる性質の生態系が多く組み合わせれていると生物多様性が高いということになります。

生物多様性の問題とは

まず、人間の暮らしって、「豊かな自然」に支えられているってことはなんとなく理解できるのではないかと思います。

例えば、

  • 食料や燃料などの資源
  • きれいな水や空気
  • 災害防止機能
  • さまざまな喜びや楽しみ、癒し

などを、人間は豊かな自然から得ていますよね。

先ほどの生物多様性は、人間が得るこれら恩恵の源泉であることを認識しないといけません。だから生物多様性が低くなると、人間が得られる恩恵も減るということなのです。

では、今得られている恩恵を維持するために、現時点で人間に利用されている生物のみを保全すればよいのでしょうか?

答えはノーなのです。

現時点では人間に利用されていない生物も、将来よく利用される可能性があるのです。

古来より人間は、生物が環境に適応して獲得してきた形質(戦略)から学んできたといいます。

例えば、オナモミのかぎ状のとげは、マジックテープ(面ファスナー)からヒントを得ているそうです。そして、最近では、群れて飛ぶ鳥に関する理論から車の自動運転技術への応用が検討されているとか。

「生物が長い年月をかけて獲得してきた貴重な戦略情報を、人間がそれを解明し、認識し、利用し、楽しむひまもなく、絶滅によって永久に失わせてしまうことは愚かである。」という言葉に問題の本質が伺えました。

つまり、人間にとって宝であるこの戦略情報を、後世の人たちに残せないことは問題であるということなのです。

だから、生物多様性の保全が必要であるということだったんですね。

小川の生物多様性を考えるうえで、とても理解が深まった1冊でした。

より詳しく見てみたい方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。