小田原メダカとか藤沢メダカってなんですか?

こんばんは?

先日小田原市の小川にいるメダカについて記事を書きましたが、そこにいるメダカは小田原メダカと呼ばれたりします。小田原産とかいう言い方もあります。

また、「藤沢メダカ、60年ぶり里帰り」という産経ニュースの記事では藤沢メダカと呼ばれたりします。

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いったい、小田原メダカとか藤沢メダカってどういう意味なんでしょうか?

地域個体群が重要

小田原メダカとか藤沢メダカという種や亜種に付けられた名前という訳ではありません。

種で言えば、以前は1種類とされていましたが2012年にキタノメダカとミナミメダカの2種類に分類されました。

そして、キタノメダカはさらに3グループ、ミナミメダカは9グループの亜種に分けられています。

では何?

小田原メダカとか藤沢メダカというのは、亜種群をミトコンドリアDNA分析により、局所的な地域個体群を分析した結果、ホタルなど移動能力の小さい昆虫と同様、地域ごとに遺伝的変異が認められることにより、その地域個体群に付けられた便宜的な名前ということだそうです。

地域ごとに遺伝的な違いが認められるので、地域個体群を、ある地域から他の地域へ移す場合、遺伝子撹乱が生じてしまい、長い間かけて生じたその地域特有の遺伝的特徴が失われていくことに繋がります。

メダカの保全ということで、他の地域にいた地域個体群を放流する例があったとよく言われますが、これが、安易な放流はダメという理由です。

地域個体群に対する理解を深めないといけないですね!!

 

 

 

特定外来生物 オオタナゴについて

こんばんは。

先日は、外来生物法における特定外来生物に追加指定されたオオタナゴの形態と取扱いに関する勉強会(主催:土浦の自然を守る会)に参加してきましたので、知らない人にも知ってもらいたいと思い記事にしてみました。

オオタナゴとは

皆さんは、オオタナゴという淡水魚をご存知でしょうか?

タナゴの仲間で、イシガイなどの二枚貝に卵を産み、産卵期のオスは体表が薄いピンク、腹部が薄い黒、尻ビレに白と黒の縞模様といった婚姻色を呈する魚(外来種)です。

2001年に霞ヶ浦で確認されて以来、爆発的に増えて、在来のタナゴ類(タナゴ、アカヒレタビラ)の生息が危ぶまれています。

これは、オオタナゴが大型になるため、産卵に使用する二枚貝争奪戦に在来のタナゴ類が負けてしまい、共存せずに、排他的にオオタナゴが増えているという事態が起きているからと考えられています。

そもそもなんで、オオタナゴが霞ヶ浦に侵入したのでしょうか?

いくつか説があるようですが、真珠養殖用として中国から輸入されたヒレイケチョウガイの卵や胚から浮出した説が有力のようです。

img_7512写真は今年生まれで体長約5cm。

特定外来生物へ指定

現在は霞ヶ浦だけでなく、千葉県、東京都、埼玉県、栃木県の利根川水系にも生息域が拡大しているということです。

そんなオオタナゴが、外来生物法における特定外来生物に追加指定され、2016年10月1日より、飼養、保管、運搬、放出、輸入等の規制が開始されました。

罰則には厳しく、例えば、
個人が「許可なく飼養等をした場合(愛がん(ペット)等の目的)
⇒「1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金」
個人が「許可なく野外に放った場合」
⇒「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」
一方、法人が「許可なく野外に放った場合」
⇒「1億円以下の罰金」

詳しくは環境省のホームページ「罰則について」に記載されています。

具体的な取扱い方

この日は、環境省の職員の方が講師として招かれていて、具体的な取扱い方を解説してくれました。

※以下、解説頂いた内容を記載しておりますが、法律的解釈を保証するものではございませんので、ご留意ください。

オオタナゴを釣ってしまったら

【キャッチ&リリース】
釣ったその場所へ放すことは規制されていません。「殺すことしたくない」と思う方は、放すのがよろしいでしょう。しかし、本来は「居てはいけない魚」であり、在来タナゴ類の生息を脅かす存在なので、釣ったその場所へ放つよりは、死に至らしめた方が生物多様性を高めることに繋がるでしょう。それと、「釣ったその場所」というのも曖昧な表現ですが、釣った河川・湖沼の河岸・湖岸と同じ岸であっても、明らかに遠い場所で放つ場合は、アウトになるとのことですので注意が必要です。

【運搬】
釣ってしまったオオタナゴを、釣った河川・湖沼の河岸・湖岸に隣接する道路に至らない範囲で生きた個体運び移すことは出来ます。ですが、生きた個体を持って、釣った河川・湖沼の河岸・湖岸に隣接する道路へ出たらアウトになるとのことですので注意が必要です。

釣った河川・湖沼の河岸・湖岸に戻すか殺処分することが明らかな状況で、数時間生きた個体を取り扱うことは出来ます。(食べるためとか殺処分するための運び移しはセーフとのことでした。)

弱らせる方向にあるかどうかはポイントで、エアーポンプを使って生きた個体をキープしていると弱らせる方向とは言えないのでエアーポンプの使用は避けた方が良いでしょう。

随伴移入

タナゴ類に関しては産卵母貝である二枚貝を媒介して、非意図的な移入が起こって問題になっています。霞ヶ浦へ移入された経緯も、随伴移入が疑われていることは先に述べました。

最近では、観賞魚店のみならず、水質浄化対策を目的として、二枚貝が流通・放流されています。二枚貝の購入や移動には、体中のタナゴ類の卵や胚の存在に注意しないといけません。

最後に

オオタナゴは、定着段階が「侵入初期/限定分布」にあることから、今回の追加指定によって、これ以上の分布拡大は絶対に阻止するという強い意志があるとのことです。

広く周知されて、在来タナゴ類が守られることを期待します。

img_7515写真は、勉強会の参加者がこの日釣り上げたオオタナゴです。この後オオタナゴは、主催者によって殺処分されたとのことです。

参考文献
萩原富司『外来種の防除:初期コントロールを目指して-霞ヶ浦におけるオオタナゴに関する調査-』

葛島一美・熊谷正裕『日本タナゴ釣り紀行』 つり人社

小川てんこ盛り! 小平市小川町の小川用水

こんばんは。

今日は、以前訪れた小川町の小川用水について書いてみました。

小川てんこ盛りな感じがテンションあがります!

小川用水は、小川村への飲み水を供給するため1656年に玉川上水から分水された用水です。(詳しくはこちらのサイトが参考になります。)

 

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立川通りの小川橋から下流の数百メートルが「彫刻の谷緑道」として整備されてます。

きもちよい水の流れを身近に感じられる場所です。

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立川通りを車で走っていても、水面は1.5mくらいは下にあるので、ここが用水路だということに初めは気づいていませんでした。なので、初めてこの景色を目にしたときは、「こんないい場所があったんだ~」と驚きました。

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1匹捕まえてみましたが、褐色の背中、銀白色のお腹、暗藍色の縦条からすると、カワムツのようです。比較的流れのある場所を好むと言われています。

よく見る魚ですが、出会えると嬉しいものですね。

この日は小雨が降る中の小川調査でしたが、天気の良いに日用水沿いを散歩するととても気持ちが良いと思います。

最後に小川用水のあめんぼ目線動画(あめんぼカメラ)をお送りします。宜しければご覧ください^^

設定で「画質=1080p」を選ぶと最高画質でご覧いただけます。

カワリヌカエビ属とヌカエビを見分ける

こんばんは。

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先日埼玉県入間市にある大森調節池で行われた生き物調査へ参加してきました。

大森調節池は、新河岸川支流の不老川(ふろうがわ)が増水した時に、洪水被害を軽減するため、一時的に水を溜める調節池です。

調節池を作るときに穴を掘ったら湧水が出てきたので、予定していたグラウンドとしての使用はうまくいかなかったそうですが、今ではこの湿地は、たくさんの生き物の生息場所となっています。

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カワリヌマエビ属の侵入

最近は在来のヌカエビと競合する外来種のカワリヌマエビ属が分布を広げているようです。新河岸川水系の場合、狭山丘陵周辺は侵入の無い最後の砦と言われてているそうですが、侵入はすぐ側まで迫っています。

今回の調査でもカワリヌマエビ属の一種が確認できました。

カワリヌマエビ属とヌカエビの見分け方

小川でヌカエビを捕まえることもあるでしょう。でもそのヌカエビはカワリヌマエビ属の可能性もあります。

ヌカエビとカワリヌマエビ属を見分ける方法ご紹介します。

ヌカエビ(在来種)

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目が真横に飛び出ている。
腰が曲がっている。

カワリヌマエビ属(外来種)

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目が少し斜め前に飛び出ている。(上から見ないとわかりません。)
腰は比較的真っ直ぐ伸びている。

注意

この見分け方は、関東での見分け方で、関西だとミナミヌマエビも目が斜め前に飛び出しているので、目だけでは区別ができないとのことです。

カワリヌマエビ属を探せ!

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多くはヌカエビですがカワリヌマエビ属も数匹います。

ぜひ探してみてくださいね!

 

生息環境が類似する在来のヌカエビが駆逐される例もあるようです。

ヌカエビは産卵場所として抽水植物を利用しますが、カワリヌマエビ属は抽水直物を利用しなくても産卵できるそうで、この点もカワリヌマエビ属が分布を広げられる理由の一つだそうです。

カワリヌマエビ属の影響を今後とも継続的に注視する必要があります。

最後に大森調節池のあめんぼ目線動画(あめんぼカメラ)をお送りします。宜しければご覧ください^^

設定で「画質=1080p」を選ぶと最高画質でご覧いただけます。

 

メダカの泳ぐ美しすぎる小川

こんばんは。

img_7439先日は神奈川県小田原市の酒匂川(さかわがわ)左岸に位置する田んぼへ行ってきました。一般社団法人おだわら農人めだかの郷が主催する「めだか米」の収穫ボランティアに参加するためです。

残念ながらこの日の収穫作業は雨のため延期になってしまったのですが、事務局長の山田さんと村田さん(めだかサポーターの会 事務局長)に周辺を案内してもらいながらお話を聞くことができました。どうもありがとうございました。

この団体は、野生のメダカの生息地を守るために、耕作放棄地となっている田んぼを利用して、低農薬で環境に配慮した米作りを行っています。最近では、酒米も作り、地元の酒造店と一緒に日本酒も手掛けています。「丹沢山 桑原」「左岸」というブランドで販売しており、すぐに売り切れになるほど人気だそうです。

環境保全活動というとボランティア100%のイメージが強いですが、ここでは米作り、酒造りという経済活動と結びついた活動が行われているため、利益の一部が環境保全活動にフィードバックされ、活動が継続しやすい状況が巧みに創り出されています。

田んぼと小川を行き来するための出入口

img_7448メダカの泳ぐ田んぼには欠かすことができないのが、この溝です。写真の左側が田んぼで右側が小川(水路)になります。既に田んぼは落水状態でありましたが、田んぼと小川の高さが同じ程度なのがお判りでしょうか?田んぼに水が張られている間、この溝は、メダカが田んぼと小川を行き来するための出入口となります。

昔はこういう風景があたりまえのようにあったのだと思うのですが、今じゃあまり見かけません。この出入り口がメダカにとって重要なんですねσ^_^;

田んぼの中の湿地

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写真は、田んぼの中のある湿地です。ヨシやジュズダマ等の植物が生い茂っていて底が見えませんが、水が溜まっている湿地です。なぜこんなところに湿地があるのかというと、冬場におけるカエルやクモなどの生息地を残しているためだそうです。夏場にはカエルやクモは、この場所から田んぼへ移動して、稲の害虫を捕食してくれるのだそうです。なので有益な生き物のために、冬場の生息地を確保しておくことはとても重要なことです。大学の研究チームがこの湿地からどれくらいのカエルやクモが田んぼへ移動しているのかを調査しているとのことでした。

常に水のある小川

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一般的な乾田では、刈り入れ前に田んぼの水を抜きます。これを落水と言います。落水後は、田んぼには水が必要ないので、水路へ流す水を止めてしまうそうです。しかしここでは、冬でも水路に水があります。この地域の水路は湧水が豊富で比較的水温が高いので、メダカの冬越しに適しているそうです。

 

これまで小川を探していくつもの田んぼへも足を運びましたが、水路が3面コンクリート&冬場は水がないといった水路をたくさん目にしてきました。なので、昔ながらの素掘りの水路&冬場でも清らかな水が流れているこの場所を見て、とても感動しました!

このような田んぼと小川がもっと増えていって欲しいと思います。

そして小川を増やすには、農業のあり方を変えていかないといけないんだと思います。

最後に、あめんぼ目線動画を撮りましたので宜しければご覧ください^^

お魚がピョンピョン跳ねてます!

設定で「画質=1080p」を選ぶと最高画質でご覧いただけます。