予想外な景色~びん沼川上流部


先日、さいたま市と川越市および富士見市の境界にあるびん沼川を訪れた。

びん沼川は、荒川の旧河道。明治43年の大水害がきっかけで荒川の直線化工事が行われたことからできた川だ。

びん沼川の下流部は、びん沼調節池として調節池機能をもち、増水時には、新河岸川の水は、新河岸川放水路、びん沼調節池を経て、南畑排水機場のポンプによって強制的に荒川に排水されるという。

市境や県境と言えば川であるが、直線化された荒川の方には市況がなく、旧河道であるびん沼川に市境があるのが、なんとも歴史を感じる部分である。

びん沼川の中下流部は、ヘラブナの釣り場として人気のスポットであるが、人のいない上流部へと向かった。上流部の川岸は雑木林で囲まれており、立ち入りずらい場所であるが、樹々が薄い辺りから進入を試みた。

外側からは全く見えなかったが、内側は予想外の景色であった。かいぼりで水を全部抜いてしまったようにも見えるが、氾濫原の湿地というような景色だ。ちょうど進入した区間は、水が無い場所であったが、この少し上流には池のようになっていた。水利組合のポンプ場のような施設もあったので、ため池として使うために、敢えて堰き止めているのかもしれない。

厚く堆積したヘドロの上に小川が流れている。中央にある小川の流れまで近づこうものなら、足がズブズブと沈んで底なし沼にハマってしまう。こういう時のために、かんじきがあるときっと便利なんだろうと思う。

川の表面には何やら茶褐色の沈殿物や光沢のある被膜が見られた。これは、油が浮いているわけではなく、鉄バクテリアが作り出した酸化鉄だという。被膜には、3価の鉄の酸化物α-Fe2O3 などが含まれているそうだ

α-Fe2O3と言えば、ラスコーの壁画で彩色に用いられたベンガラという赤色顔料と同じ成分だ。沈殿物を採取すれば、壁画が描けるのだろうか。

因みに被膜や沈殿物を手で触っていたが、案の定、手が鉄臭くなった。この臭いって一体?改めて鉄の臭いについて調べてみた。なんと、鉄そのものの臭いではなかったようだ。鉄イオンが皮脂と反応してできる1-オクテン-3-オンなどの揮発性物が臭いの元だそうだ。被膜や沈殿物の付近には鉄イオンも豊富にあるだろうから、私の手からたくさんの臭いが発生したという事だ。

最後に、びん沼川上流のため池を、あめんぼカメラで撮影したのでシェアしたいと思う。

紅葉が綺麗。